「パパ1000人のホンネを届ける!」を目標にスタートした「パパしるべ総研」。
今回はその約半年に及ぶアンケート調査の結果から、2021年現在のパパたちのホンネを分析した「パパのホンネ白書2021」の後編。
アンケートの回答から見えてきたホンネに対して、大正大学心理社会学部准教授で男性学が専門の田中俊之先生と、cでNHKeテレ「すくすく子育て」でもおなじみの小崎恭弘先生に、いくつかのアンケートをピックアップして分析していただきました。
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パパのホンネ白書2021 前編 ~今どきのパパが求めるものは~
「パパ1000人のホンネを届ける!」を目標にスタートした「パパしるべ総研」。 今回はその約半年に及ぶアンケート調査の結果から、2021年現在のパパたちのホンネを分析した「パパのホンネ白書2021」の前 ...
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同じパパだからこそ共感できる回答の数々
まず、大正大学の田中先生がピックアップしたのは、4人に1人が職場で「パタハラ=パタニティー・ハラスメント」を受けたことがあるという、厚生労働省の調査結果を受けて6月に実施した「パタハラ」に関するアンケート。
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「お前の子どもは会社に1円も貢献していない」本当にあったパタハラの実態
男性の育休取得に関して、世間では前向きに議論されていますが、一方で厚生労働省の調査では4人に1人が職場での「パタハラ=パタニティハラスメント」を受けたことがあるという結果が出ました。 LINEの参加型 ...
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子育てをしようとしているパパにとって、パタハラは大きな問題なんですが、男性が被害者になっているという認識は世の中にはまだまだ少ないと感じます。
だからこそこうしてメディアには積極的に取り上げて欲しいトピックです。
内容を見ると、パタハラをしている人の1位が『男性上司』という結果も象徴的。
上の世代からすれば、決して悪気はなく、むしろ親切なアドバイスのつもりだったりするのですが、そこに世代間のギャップが大きく出ていますよね。
男性の育休に関してはいろいろな議論が出ていますが、企業側も、かつてのような男性社員は残業や休日出勤は『当たり前』という感覚が残っているところがあり、育休を取った男性社員もまた、かつてのような感覚があると1ヵ月も育休をもらったのだからもっと働かないと、と感じるという話も聞いたことがあります。
そうなると当然もっと育児をしてほしい妻とは板挟みになるわけで、真面目な人ほど苦しくなってしまう現状があると思います。
パタハラの現状はぜひ定点的にアンケートを続けて欲しいと思います。
とくに今回のように『お前の息子は会社に一円も貢献していない』というリアルなコメントも強いメッセージになるので、こういった質的なデータも残すことに意義があると感じます。
社会的に大きな反響を呼んでいる「パタハラ」については、パパしるべで今後も追いかけて行こうと思います。
男性に取って厳しい現状が少しでも変わっていくことを願います。
続いては、パパたち自身に関するアンケートの中から「ホッとできるゴールデンタイム」に関するアンケートと、「パパ友」に関するアンケートについて。
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パパたちがホッとできる“ゴールデンタイム”はいつなのか?
毎日仕事に家事育児にお疲れ様です! パパもママも本当に忙しいですよね~ 日々あっという間に時間が過ぎていくと感じている人、多いのではないでしょうか? そんな中で、皆さんには“ホッとできる時間”があるの ...
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パパ友は9割が必要と回答!パパ友の作り方やメリットはどんなところ?
子育てをしている20代〜50代のパパ200人に、LINE参加型アンケートコミュティ「パパしるべ総研」で毎週アンケートを実施。パパたちのリアルな声を見てみましょう! あわせて読みたい 夫婦喧嘩を子どもの ...
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パパ友については、仕事と家事育児に追われる中で、やはり男性も共感してくれる人がいないと精神的にキツいことを象徴していると感じます。
学生時代の親友ほどじゃなくてもよくて、割とライトな関係でもいいのですが、それがなかなかできない。
僕自身も今、保育園に子どもを通わせていて、送迎などで他の保護者と会うことはあるのですが、立地の関係もあって、園側からもあまり近くで話し込まないで欲しいと言われている状況。
なかなか難しいですよね。
同じようにストレス解消が必須な中で、ガス抜きの時間についてもとても重要だと思いますが、アンケートの結果を見ると『全然ない』が8.8%にとどまっていることにはホッとしています。
みんないろいろと工夫をしながら自分を整えているんだと感じました。
ちなみに僕のガス抜きはNetflixの動画を観ることです。
それだけでもガス抜きになりますが、内容が話のタネになることもあるので、とても重要だと感じています。
アンケートに求める仲間の存在
そして、つい先日行った夫婦のホンネに迫るアンケートについても感じるモノがあったようです。
夫婦の実状に迫ったアンケートは非常に興味深かったです。
例えばプレゼントに関するアンケートでは、モノよりも体験などの方が喜ばれているという結果を見て、そうだったのか!と思いました(笑)
“ママに自由な時間をプレゼントする”というのは自分ではまったく考えつかなかったことですから、リアルに参考になりました。
モノと体験どちらが嬉しい!?夫婦のプレゼント事情に関するアンケート
秋深まる11月。 いよいよ今年もやってまいります11月22日「いい夫婦の日」。 家族をともに運営し、人生を共にするパートナーですから、大切にしていきたいですよね。 そこで「パパしるべ」では、この日に向 ...
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また夫婦の課題についてのアンケートでは、内容についてというよりは、解決に向けてしていることについて『夫婦の話し合い』が4割を超えて最も多かったことがよかったと感じました。
日本では、波風を立てないために話し合いはしない夫婦が多いと思っていましたが、これだけ向き合っている結果をみると、パパたちが頑張っている姿を垣間見た気がします。
いま夫婦が直面している課題とは?アンケートで見えるリアルな実態
11月22日「いい夫婦の日」に向けた夫婦のホンネ調査アンケートシリーズ第2弾。 人生を歩んでいく中では、様々な困難が待っています。 では今、夫婦が直面している困難はなんでしょうか? 今回は、そんな夫婦 ...
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そして、夫婦のお風呂に関してのアンケート。
この中でもお風呂でコミュニケーションをとっているという夫婦の存在が明らかになりました。
いつも過ごしているリビングなどから環境を変えた場所で話をするというのは、とてもいいアイデアだと思います。
5割の夫婦が一緒にお風呂に入る!?入るor入らないそれぞれの理由
11月22日「いい夫婦の日」に向けた夫婦のホンネ調査アンケートシリーズ。 いよいよラストの第4弾は、まもなくやってくる11月26日の「いい風呂の日」にちなんで、顔を合わせて話すのはちょっと恥ずかしい夫 ...
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一方でお風呂のアンケートからは、パパたちが今求めていることが改めて感じられたと思います。
例えパパ友がいたとしても、プレイベート過ぎて直接しにくい話があります。
ここまで突っ込んだ情報は、匿名のアンケートだからこそ得られたもの。
これは多くのパパ、ママにとってありがたいデータだと思います。
なかなか繋がることが出来ていないパパたちは、家事や育児を頑張れば頑張るほど視野も狭くなり孤独を感じていくところがあると思います。
こういったアンケートの結果から知ることができる他の家の事情や、また知ったことに寄って仲間がいると感じられることこそが、今のパパたちにとってとても意義があることだと思います。
現在、絶賛子育て中の田中先生だからこそ、実際にアンケートに答えているパパたちと同じ目線で分析してくれました。
終始話していたのは「繋がり」「仲間」というキーワード。
パパ友に関するアンケート以外からも垣間見えたホンネなのかもしれません。
お金と偏差値に翻弄される今どきのパパたち
一方で、大阪教育大学の小崎先生は、お金に関するアンケートに注目。
今どきのパパだけでなく夫婦が持ちがちな価値観が浮き彫りになっていると話します。
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気になるパパ達の懐事情!子育て世代は毎月いくら貯金してるの?
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貯蓄の目的の6割以上が教育資金という結果は、今の家庭を象徴しているように感じます。
かつてのようにわかりやすいロールモデルがなく、自分の立ち位置がわかりにくいのが現代のパパたちが持つ悩みです。
子育てに関して教えてもらうのはパートナーがほとんどで、そのモデルはパートナーの父親であることが多いので、今の時代のモデルにはなりにくい。
多様性が求められ、なんでもアリだからこそ、すごくしんどいんだと思います。
学生達にライフデザインの講義をするときも、自分たちが“正解がない、モデルなき時代を生きていること”を伝えますが、だからこそ“自分が新しいモデルであることを意識して生きること”が必要だと感じています。
それほどまでに迷っているからこそ、お金と教育に辿り着くケースが多いのではないでしょうか?
極端に言えば『お金をかけて教育することが親に出来る唯一のこと』というある種の呪縛のようなものがあると思います。
子育ての中でお金と偏差値はわかりやすく数字で表せるもので、確実なもの、堅実なものをと考えると結果を求めやすいものだからです。
ただ、一方で“教育”という言葉の捉え方の幅が狭いこともまた前の世代から受け継いでしまっていること。
いい大学を出て、いい会社に入るという昔ながらのサクセスストーリー以外をあまり知るチャンスがなく、文化的な価値や子どもが得意なことを伸ばすことも教育の一つ。
その辺りの視野を広げないといけないと感じます。
小崎先生が挙げてくれた貯蓄に関するアンケート以外にも、夫婦の課題に関するアンケートなどで、子どもの教育への関心の高さが伺えます。
それが、多様性が求められる時代の流れのカウンター的にあるとは思いませんでした。
子ども中心、子ども第一主義への警鐘
また、夏に行われた東京オリンピックを受けて実施したスケボーに関するアンケートからは、意外な分析がありました。
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オリンピック効果!子どもにスケボーやらせたいパパが増えてる!?
東京オリンピックで新たに採用された新競技「スケートボード」。 結果はなんと5つのメダルを獲得するメダルラッシュ! しかも!最年少は12歳! 近い世代の活躍を見ていて「自分も始めてみたい!」と子どもが言 ...
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子どもがスケボーをやりたいと言ったら、やらせるというパパが100%という結果でした。
この結果が悪いというわけではないのですが、このところ子どもの言うことを聞きすぎている、やさしすぎる親が多いように感じています。
パパが子育てに関わるメリットのひとつに、父親と母親が持つそれぞれの価値観や多様性の中で育つことがあると思います。
子どもが言うことに対して夫婦が違う意見をもっていてもいいわけです。
ところが、熱心に子育てに関わるが故に“第二のママ”になってしまうパパもいて、すごくもったいないと感じます。
時には子どもの言うことに毅然と反対意見を提示するなど、壁や軋轢になることも必要。
叱ることも子どもが叱られることを学ぶ機会になるのではないでしょうか。
その他にも子どもを中心に第一に考えることがあまり良くない傾向になっていると感じることがあります。
先ほどの教育にお金をかける傾向に繋がるのですが、子育てにはたくさんお金がかかるというイメージがあると思います。
最近、塾などの教育関係や保険のCMを多く見かけると思いますが、不安を煽るマーケティングの手法が世の中に広がっている中で、そこにダイレクトに影響を受けているのが子育てであり、不安だからこそお金をかけている、もしくはそのために蓄えている傾向がありますよね。
住環境もそうです。
子ども全員に子ども部屋を与えることが当たり前のように語られることがあります。
教育、住環境などいろいろなことについて充分に与えないといけないと考えると、もう1人子どもを産もうとは考えられない。
子どもを大事に育てようとし過ぎることが少子化の根源にあると言えますよね。
子どものために親ができることが、本当にお金をかけることや教育を与えることだけなのか?
全部整った状態で育てなければいけないのか?
情報に流されることなく、いったん冷静に見直してみる必要があると感じます。
“子どものために”という言葉が多く聞かれる今の子育て。
それ自体は悪い事ではありませんが、やや加熱しすぎているという小崎先生の指摘には耳が痛いと感じる方もいると思います。
またその背景にあるのが、多くのパパが迷い、何かにすがりたい気持ちにあるとは、今の時代の子育ての難しさをより感じました。
田中先生、小崎先生、ご協力ありがとうございました。
そして、そんな今だからこそ、パパたちが仲間の存在を感じ、また視野を広げるためにもこれからも様々なアンケートを実施していくことが必要ですよね!
これからも多くのパパたちの声を集めていきたいと思いますので、ぜひ皆さんも広げていってください!
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引き続きよろしくお願いいたします!
田中俊之
内閣府男女共同参画推進連携会議有識者議員、渋谷区男女平等推進会議委員、プラチナ構想ネットワーク特別会員。
1975年、東京都生まれ。大正大学心理社会学部准教授 男性学を主な研究分野とする。
著書『男性学の新展開』青弓社、『男がつらいよ―絶望の時代の希望の男性学』KADOKAWA、『〈40男〉はなぜ嫌われるか』イースト新書、『男が働かない、いいじゃないか!』講談社プラスα新書、小島慶子×田中俊之『不自由な男たち――その生きづらさは、どこから来るのか』祥伝社新書、田中俊之×山田ルイ53世『中年男ルネッサンス』イースト新書、『男子が10代のうちに考えておきたいこと』岩波ジュニア新書
日本では“男”であることと“働く”ということとの結びつきがあまりにも強すぎる」と警鐘を鳴らしている。
小崎恭弘
兵庫県西宮市初の男性保育士として施設・保育所に12年勤務。
三人の男の子それぞれに育児休暇を取得。
それらの体験を持ちに「父親の育児支援」研究を始める。
テレビ・ラジオ・新聞・雑誌等にて積極的に発信を行う。
父親の育児、ワークライフバランス、子育て支援、保育研修等で、全国で年間60本程度講演会等を行う。
これまで2000回の公演実績を持つ。
NHKすくすく子育て、視点・論点、たすけて極めびと、ビビット等出演
朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、神戸新聞等でそれぞれに連載を持つ。
NPOファザーリングジャパン顧問、東京大学発達保育実践政策学センター研究員。
兵庫県、大阪府、京都府等様々な自治体で委員を務める。