先日、パパしるべのLINE公式アカウントで「イクメン」という言葉に関するアンケートを実施したところ、「呼ばれたくない」と答えた人が7割という結果になりました。
「イクメン」という言葉自体が死語と呼ばれたり、その呼び方にネガティブな感情を抱く人も増えているようです。
今回は実際に「イクメン」と呼ばれることに違和感を覚えて、モヤモヤしているパパからのご相談。
アドラー心理学を基にしたアドラー式子育ての熊野英一さんから、どのように向き合ったら良いかアドバイスをお伝えします。
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今でも「イクメン」がほめ言葉だと思っている人がいる
産まれた時に育休をしっかりととったおかげで子育てにスキル的な不安もなく、楽しませてもらっています。
ですが、地域の子育て施設や公園などいろいろなところに子どもを連れて行ったときに、主に昭和世代の先輩から「すごいイクメンだね」と言われることに違和感がすごいです。
自分としては普通のことをしているだけのつもりですが、何か揶揄されているような感覚があって。
このモヤモヤする気持ちはどうしたらいいでしょうか?
子育てを楽しんでいるとのこと、素晴らしいと思います。
きっとかわいい盛りなんでしょうね。
さて「イクメン」と言われることにモヤモヤするという声は最近、本当に増えていると感じています。
どう向き合ったらいいか?考えてみましょう。
流行語の難しさ
日本語に限らず、言葉は常に新しいものが生まれていて、反対に古くなって使われなくなるものもあります。
特にその旬が短いと思うのがいわゆる新語、流行語の類。
世に出てきた時は、ある種ブームのようにもてはやされ、時間が経つと必要以上に時代遅れ感が出てしまうものです。
実際「イクメン」自体も2010年に「新語・流行語大賞」に選ばれていますが、それから13年が経って、世の中の空気感は変わってきています。
単純に使われなくなって死語になってくれればいいのですが、「イクメン」の場合、当時はポジティブな使われ方をすることが多かったものの、最初から反発する声もあった表裏一体の言葉でもありました。
そういう意味では、いろいろな流行語の中でも特に扱いが難しい言葉のように感じます。
時代についていくのは難しい
また、言葉は世代によっても違います。
一口に「若者」といっても、小学生と中高生と大学生では使う言葉が違ったりしますよね。
しかもものすごいスピードで変わっていきます。
親世代がこれについていくのは本当に難しい、というかほぼ不可能に近いと思います。
同じように子育て世代と違う世代では、どうしてもズレが出てしまうことが多くあります。
きっと「イクメン」という言葉にもその側面があるのではないでしょうか?
質問の中にも主に先輩が使うと書かれていますが、10年以上前に「イクメン」という言葉を知って、これがほめ言葉だと認識している人たちにとっては、今でもほめ言葉であまり変わっていないことが考えられます。
つまり、悪気もなければ、なんなら良かれと思って言っていることも多いと思います。
この認識が変わらないのは、当事者ではないからであることが多いと思います。
その言葉のニュアンスの変化は言われる方ではないとなかなか気づけません。
これだけ嫌いな人が多いのに、今でもいろいろなところで「イクメン」という言葉が使われているのは、その現場に当事者があまり関わっていないからだと思います。
また残念ながらそもそも子育てをしている人自体が世の中ではマイノリティなので、より伝わりにくいという背景もあります。
ほめているつもりがモヤモヤさせているのは、言っている方としても本意ではないはず。
この視点は持っておいた方がいいかもしれません。
「イクメン」が嫌いな言葉という人もいることをちゃんと伝えてみる
反発ではなく伝える
明確に揶揄していたり、差別的な言い方だったりしない限りは「イクメン」と言われても強く反発する必要はないと思います。
そこで争いを生んでもいいことはありませんよね。
基本的には気にしない、華麗にスルーするくらいのつもりでいるのが、無難だと思います。
ただ、ほめ言葉だと思っている以上「イクメン」を連発してくる人も多いですよね(笑)。
そんな時には、先方の価値観をアップデートすることに貢献してみてはどうでしょう?
例えば、「イクメン」と言われた時に
昔はそういうのありましたね~久しぶりに聞きました
など、さりげなく時代が変わっていることを伝えてみる。そして、
最近、言われてモヤモヤするという人も多いみたいですよ
と事実を穏やかに伝えてみる。そんなスマートな対応はどうでしょう?
「なに古臭いこと言ってるの??」
と反発するよりよほどこちらの気持ちを聞いてくれると思います。
そして、みんながそんな対応をしているうちにきっと徐々に言葉は葬られていくはずです。
セルフチェックも忘れずに
何かの言葉で集団を一括りにするというのは、よくあることです。
昔で言えば「新人類」最近だと「ゆとり世代」なんかもそうでしょうか。
他にも出身や学歴で括ることも無意識にしてしまいがちなことです。
これは世代を問わず誰でもあると思います。
質問の中に「昭和世代」という言葉もありましたが、それもまた括りの一つだと思います。
我々の親を含め「昭和世代」にもいろいろな人がいます。
そして、これから子育てをしていく中では、子どもたちに対しても「あの保育園出身だから」とか「親の仕事が○○だから」などバイアスがかかった発言をしてしまううことが出てくるかもしれません。
気になる言葉を言われてモヤモヤする気持ちを払しょくすることも必要なことかもしれませんが、同時に「自分はそういうことをしていないか?」というセルフチェックのいい機会もぜひしてみてはどうでしょう。
熊野さん、ありがとうございました!
改めておさらいすると…
ポイント
- 悪気なく良かれと思って「イクメン」を使う人はまだまだたくさんいる
- 反発する必要はない、穏やかに伝えて相手のアップデートをサポートする
- 自分はやっていないか、セルフチェックも忘れずに
古代エジプトの壁画に「最近の若い者は」と愚痴が書かれていたという話を聞いたことがありますが、結局こういった世代のズレはずっと変わらないものなんだと思います。
じゃあ、どう付き合っていくか?と考えた時に、やっぱり穏やかに進めていけるスマートさは身に着けたいですね。
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