妻と娘との会話に入れず、「家族から孤立している」と感じてつらい…。
そんな思いを抱える父親は、実はあなただけではありません。
なぜ孤立感を感じてしまうのかという心理的背景や、孤立感を和らげるための考え方・行動のヒントをご紹介します。
アドラー心理学のスペシャリストの熊野英一さんの視点も交えながら、家族との関係性を前向きに見直すきっかけをお届けします。
父親は家族の中で本当に孤立しているのか

でも、自分はその会話の輪に入れず、なんだか孤立してしまっていると感じます。
やっぱり男だから仲良くできないのでしょうか?ずっとこのままだと思うと辛いです。
家族みんなで楽しく話してご飯を食べたりする時間って本当にかけがえのないものですよね。
それがなかなかうまくいかないとなると、本当に辛いですよね。
これからのことを考えてどうしていったらいいか、一緒に考えていきましょう。
なぜ孤立を感じるのか?
人は、複数の人がいるコミュニティの中で、ひとりだけ仲間外れにされていると感じると「孤立している」と思うものです。
今回の場合、妻と娘が話している会話に入れないことで孤立を感じているということですが、それは単に「その会話に入れていないだけ」であって、本当に孤立しているわけではないかもしれません。
また、意見や価値観が違うことで「自分だけ孤立している」と感じる場合もあると思います。
家族に限らず、自分とは違う価値観や意見を持っているのは当たり前のこと。
今回は妻と娘が楽しそうに会話している姿を見たかもしれませんが、妻と娘の間にも違うところは必ずあります。
そういうシーンを見ることが多いように感じているかもしれませんが、それはたまたまかもしれないのです。
質問の内容だけでは正確な判断はできませんが、少なくとも嫌がらせをされているわけでもなさそうですし、客観的に見る限り、そこまで深刻ではないような気がします。
では、なんでそんなに孤独を感じるのでしょうか?
同じ出来事も人によって解釈が違う
アドラーはこんなことを言っています。
アドラー心理学のポイント
私たちが経験する現実とは、自分自身で意味をつけたものだ。
これはアドラー心理学の「認知論」に基づく考え方。
同じ出来事でも人はそれぞれの価値観や経験をもとに異なる解釈をするものだ、ということです。
最近、妻と娘の会話に入れていないという出来事を、あなたは「仲間外れにされた」と認知したようですが、妻と娘からすると「ただ、二人で共通の話題を話していた」と認知していただけ。
なんなら「パパが入れない会話になってしまい申し訳ない」と心の内では思っているかもしれません。
なので、本当の気持ちはわからないものの、出来事だけをネガティブに捉えてしまっている可能性があります。
その認知の違いはどうにもできないかというと、そんなことはないと思います。
先入観や思い込みを手放してみよう!
男女の価値観が必ず合わないとは限らない
一般的に男性と女性で価値観や考え方が違うことが多いものですが、それは「必ず」ということではありません。
人によっては男女でも似ている場合もありますし、逆に同性でもまったく合わない人もいます。
人は性別だけでなく、世代や出身地など、いろいろなカテゴリーに対して経験などから一定の先入観や思い込みを持ってしまうものですが、その思い込みがあると、認知がゆがんでしまうことがあります。
おそらくあなたは「男女は話が合わない」という思い込みを持っているのかもしれません。
また娘さんに至っては世代も違いますから、より合わないものと思い込んでいませんか?
まずはその思い込みを手放してみてください。
孤立を感じていることを家族に話してみよう
妻や娘は、あなたが孤立を感じていることを知っているでしょうか?
あくまで推測ですが、多分知らないと思います。
であれば、一回聞いてみたらどうでしょう?
なんか最近、二人の会話に入れないことが多くて孤立しているみたいに感じてつらいんだよね。
そのくらい軽い感じで。
もし「だろうね」と言われたら、それは強烈なショックを受けそうなので聞くのも勇気がいるかもしれません。
しかしおそらくは、「は?そんなこと感じてたの?」や「そうなんだ。それはごめんね」と返ってくる可能性も十分にあると思います。
どうでしょう?
自分が勝手に思い込んでいた状況と違うことがわかれば、かなり心が軽くなりませんか?
話や価値観が合うところを探してみよう
今回の質問にあった妻と娘の会話に関しては確かにあなたが入れないものかもしないし、意見が違うこともあるかもしれません。
ただ、入れる会話、3人で話せることがまったくないわけではないと思います。
また、妻とは話せること、娘とは話せることがそれぞれにあったりしませんか?
合わないポイントや違うポイントにフォーカスしてしまうと、「合わない人」と認知してネガティブな思考に陥りがちですが、それが全部ではないので、比較的合うところを探して焦点を合わせてみてほしいと思います。
そうすれば、「合う人」と認知することができるので、ちょっと合わないことがあっても「そういうところもあるよね」と思えるはずです。
そもそも「合う人」と「合わない人」という極端な認知をせずに、みんな「合うところも合わないところもあるもの」くらいがいいかもしれません。
家族に限らず、職場や仲間内でも孤立していると感じることがあったとしたら、
- まずは自分の認知が思い込みに左右されていないか?
- ちょっと間違った認知をしていないか?
見直してみるようにしてみたらいいかなと思います。
まずは、妻と娘にそれとなく聞いてみるところからはじめてみましょう!
熊野さん、ありがとうございました!
改めておさらいすると…
ポイント
- 本当に孤立しているのか?自分の認知を冷静に見直してみる
- 思い込みを手放してみる
- 合わないところばかりを見ない。合うところを探してみる。
一回、ネガティブな思考に入ると負のスパイラルに入ってしまい、どんどんネガティブに思い込んでしまうことがあると思います。
でも、そんな時こそ一度冷静になってみる必要がありそうですね。
著書のご紹介
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