先日のパパしるべで、パパたちに「子供に見せたくないもの」についてアンケートで聞きました。
その中でも多かったのが、テレビ番組やYouTubeなどの動画コンテンツに関するもの。
今回は夫婦の間で、「子供に見せたくない番組」の価値観のギャップがあることに悩むパパからのご相談です。
夫婦での感覚をすり合わせるためにはどう話し合えばいいのでしょうか?
アドラー式子育ての熊野英一さんからのアドバイスをいただきましたので、ご紹介します。
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どのくらい制限したらいい!?親が子供に見せたくないものをアンケート
子どもが成長していくなかでは、ぜひ見てほしい、参考にしてほしいと思うものがたくさんあります。 一方で、できれば触れさせたくない、見せたくないものもありますよね。 テレビの番組やYoutubeなどの動画 ...
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「子供に見せたくない」のには理由がある
気持ちはわからなくはないですが、中には理解しがたいものもあって困っています。
どう折り合いをつけていけばいいでしょうか?
見せたい、見せたくないという感覚は人それぞれではありますが、断りもなく遮断してしまうのはあまりいい対応とは思えないですよね。
だからといってこちら側も強く反発するとぶつかってしまいます。
じゃあ、どうしたらいいのか?一緒に考えていきましょう。
まずは妻に共感ファースト
ポイント
アドラー心理学では、コミュニケーションの基本は「共感」と考えます。
相手の目で見て、相手の耳で聞いて、相手の心で感じること。
自分の価値観はいったん置いておいて相手に憑依する感覚です。
まずは自分の「理解できない」という思いは外して、頑なに見せないようにしている妻に共感してみましょう。
そのためには、妻に話を聞くところから始める必要があります。
この時「なんでそんなに見せたくないの?」と聞くと問い詰める雰囲気になりがちなので「理解したいから教えてくれる?」という寄り添う姿勢がオススメです。
もしかしたら、妻自身に何か刺激的な動画にトラウマのようなものがあるかもしれません。
さらに育った環境の中で、妻の両親が強く制限していたことで、そうするものだと思い込んでいるのかもしれません。
話を聞いているうちに妻の気持ちや、「ダメ!」とスイッチが入るポイントについても共感できるようになる可能性はあります。
そこまでいけば、考えていくための糸口が見つかるかもしれません。
子どもを守る気持ちはOK!
暴力的なものや性的なものなど、子どもにとっては刺激が強すぎるコンテンツがあることは間違いありません。
また教育的なことなどを考えたときに、余計な刺激から守ろうという考えは決して悪いことではないと思います。
そこに関しては、きっと夫婦で共通する思いでしょう。
考えなければいけないのは、それを実現するための方法として適切かどうか?
現状、方法にもギャップがあるように感じますが、妻の気持ちに「共感」したところで、すべて「同意」する必要はありません。
あなたにはあなたの考えがあってもいい。
妻に合わせなくてはいけないわけではありません。
大切なのは、考えが違う二人かもしれないけど、一緒に考えること。
妻にとって一緒に考える相手として認められることです。
ジャッジせずに話を聞いてもらえるという安心感はコミュニケーションにおいて重要です。
まずは妻と話し合える「精神的な環境」を作ることから始めてみてください。
子供を育てる上での本来の目的は何か?
悪影響と決めつけるのはどうか
質問を見る限り、妻はなんの説明もなく突然取り上げるような強硬姿勢だと思いますが、これはあまり好ましくないと感じます。
刃物を扱ったり、火をつけたりするような危険なものについては、即取り上げる必要があると思いますが、動画コンテンツはそこまでのものではないと思いますし、その方法だと何がダメなのかを理解しないままになってしまいます。
反対に、例え暴力的なシーンがあるものでも、それを見たら必ず暴力的な人になるわけではありませんよね。
ちょっと決めつけているきらいがあると思います。
人はそこまで映像作品に支配されてはいないと思います。
親の行動や周りの友達、社会の風景などいろいろなものを見ていますよね。
時に間違いや勘違いもあるかもしれませんが、少なくとも見たものの中からかっこいい、かわいい、自分もやってみたいなど何かしらの理由で真似るものを選んでいるはずです。
アニメでお尻を出しているキャラクターをみても、恥ずかしいと感じる子もいるでしょうし、自分はやりたくないと感じる子もいます。
一方で、大人もそうですが、不適切なものを見たときに、反面教師として参考にするタイプの人もいます。
子どもだからといって判断力がまったくないということもありません。
子どもだからすぐに真似るというのもまた決めつけだと思います。
子供はいつかは親から離れていく
保育園や幼稚園に行ったり、お友達の家に遊びに行ったり、小学校、中学校と進んでいく中で、子どもは少しずつ親の目が届かない時間が増えていくものです。
そうなると、子どもが目にする全てを親が監視できないのです。
だとすれば、子ども自身が判断できるようになることが必要。
つまり親としては判断できる人を育てることが本当の目的だと思います。
また、そのためにもわが子がしっかりと判断できる人になれる、と心から信じることも必要です。
例えば、動画に関して言えば、方法のひとつとして、様々なタイプの動画を一緒に見て、感想を言いあったり、それがフィクションであることなどを真摯に伝えたりしてみてはどうでしょうか?
この時もまた子どもの意見や感想に対してジャッジすることは控えましょう。
そもそも感想に合っている間違っているはないはずです。
ネットやスマホが普及して、玉石混交の情報があふれる時代なので、心配になる気持ちもわかりますが、強硬姿勢ではなく建設的に進めていく方法を、ぜひ夫婦で考えてみてください。
熊野さん、ありがとうございました!
改めておさらいすると…
ポイント
- まずは強硬姿勢の妻に共感ファースト。糸口を見つける
- ジャッジせずに聞いて話し合える関係を築く
- 判断できる子を育てることを目的だと考える
- 一緒にいろいろな動画を見て子どもと一緒に考えていく
子育てをしている中で、心配なことに注目すると際限なく浮かんできてしまうものです。でも、いつかは離れていくことを考えたら信頼して自立を促すことはどうしても必要になりますよね。心配を信頼に変えることって本当に難しい…一緒に頑張っていきましょう!
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