「保育園どこ行く?」「習い事何する?」のような大きなものから、「明日の靴下どれにする?」「タオル何使う?」といった日常的なものまで、子育ては選択の連続。
そんな日常的なシーンにおいて、子育ての選択ができず優柔不断である自分に悩み、直したいと思っているパパからのご相談です。
どうしたら優柔不断な性格を直せるのか?
どうしたらちょっとしたことでもすぐに決められるようになるのか。
優柔不断な人に潜む問題や原因を踏まえて、アドラー心理学を基にしたアドラー式子育ての熊野英一さんから具体的なアドバイスをご紹介します。
優柔不断を直すために、決められない理由を考える
どうしたら優柔不断は直せますか?
子どもたちを見ていると、深く考えずに「これがいい!」と決める子もいれば「うーんどれにしようかな」と考え込む子もいますよね。
大人だったとしても同じです。
これもまたひとつの個性。
とはいえ、自分でこのままではよくないと思うなら具体的にどうしていけば決められるようになるか考えていきましょう。
転ばぬ先の杖の大切さ
子育ての究極目標は、子どもの命を守ること。
何ができるか、何ができないかは生きていてこそ考えられることなので二の次です。
ふと周りを見ると、車が走っていたり、手を挟んでしまうものがあったり、日常には危険がたくさん潜んでいるわけで、そこから身を守るためには、リスクを見つける能力も必要です。
優柔不断な人の多くは、選択することによって起こる様々なリスクに気が付けるタイプだと思います。
そういう意味では、「転ばぬ先の杖」という言葉もあるように、リスクを回避するためには大切なことでもあります。
誰にだって不安なことはあるので、それがやや多いというだけで優柔不断であること自体は問題ではないと思います。
優柔不断を直すポイント1:決められない理由を考えてみる
いろいろな想定をすることは大切ですが、その結果、限りある時間の中で決められず、周りの人に迷惑をかけてしまうなど影響しているのであれば、それはできるだけ決められるように取り組んでみることも必要かもしれません。
そのためには、「決められない原因」を考えることも大切ですが、「目的論」で考えるアドラー心理学の視点でいえば「どんな目的で決めないのか」ということに注目していきましょう。
これが優柔不断を直すためのひとつ目のポイントです。
決められない理由1
ひとつはきっと「間違った選択をしないため」。
誰だって間違った選択はしたくありません。
できれば最善の選択、もしくはベターな選択をしたいものです。
優柔不断な人は、何かを選んでよくない結果を招いてしまったらどうしよう?という不安が強い傾向があると思います。
また、人によっては間違った選択をしたことで他者から責められた経験などから、必要以上に恐れているというケースもあるでしょう。
ただ、ほかの選択をしたらうまくいっていたかどうかはわからないことがほとんどです。
タイムマシンでもない限り同じ状況は二度と来ません。
結果論として、あっちの方がよかったかもしれないと思う時もあると思いますが、それは終わってみてはじめてわかることなので、どうにもできないこと。
だからこそ必要以上に間違った選択を恐れることはないといえるでしょう。
決められない理由2
もうひとつ、決めない理由として考えられるのは「責任を取りたくない」という思い。
先ほど言ったように、常に最善、ベターな選択をすることは不可能です。
それでも選んだことで何か結果は出るわけで、その結果が合っていても間違っていても、自分が決めたことだからと結果を引き受ける、つまり責任を取ることが必要になります。
「責任」のことを英語では「responsibility(レスポンシビリティ)」と言います。
分解すると「レスポンス=対処する」「アビリティ=能力」。
結果を引き受けて対処することこそが「責任を取る」ということなのですが、これは選択をすることで発生します。
つまり、「責任を取りたくない」から「選ばない」ということだと思います。
最近は「責任論」という言葉もあって、何かと起こったことに対して「誰が悪い」と責任を負わせて責める傾向もあるので、それも恐れてしまうことがあるかもしれません。
いずれにしても失敗への恐れがベースにあると感じられますが、そもそも本当に失敗してしまう可能性はどのくらいあるのでしょうか?
不安になったら銀河へ飛べ!
優柔不断を直すポイント2:視野を広く持ってみる
決めなくてはいけないことは日々次々とやってきます。
ただ、その大小はさまざま。
そして、数でいえば「子どもの通園するときの靴を選ぶ」といった小さい選択が圧倒的に多いはずです。
この靴選びを例に考えてみてください。
「赤を選んだらご機嫌に保育園に行ってくれた」という成功もあれば、「青を選んだためにイヤだと癇癪を起して1時間遅刻した」という失敗もあります。
しかしこれは長い人生で見たら、そんな大きな影響があるでしょうか?
現実的には、子どもの将来を変えるような出来事ではないはずですし、自分の人生がそんなに変わることもなさそうですよね。
もちろん、その瞬間は大変ですが、きっとどこかで帳尻は合うはず。
おそらくほとんどの選択は結果的に大したことはないのです。
最悪鉛筆を転がして決めてみたっていいようなことでしょう。
その瞬間、その場面だけに注目してしまうと、余裕を持った判断はしにくくなってしまいます。
だから、よくこんな例をお伝えしています。
参考
一回、銀河まで自分の魂を飛ばして今の状況を見てみてください。
銀河まで飛んだら、まず靴の色なんて見えません(笑)。
困っているあなたの姿も見えません。
例え見えたとしても、もしかしたらあなたの周りでもっと重大な事件が起きているのが見えるかもしれません。
選択に悩んだ時にぜひ一度やってみてください。
本当の失敗なんてなかなかない
とはいってもいきなり考え方を変えるのは難しいもの。
なので、ぜひその練習としてやってみてほしいことがあります。
それは、間違えても大したことのないものをいっぱい決めてみることです。
例えばそれは今日のランチで何を食べるか?何色の靴下を履くか?といった日常的なこと。
これを「なんとなく」ではなく「意識的に」選んでみるのです。
ランチでいつもとは違うメニューを選んでみる
思ったよりもおいしくはなかった
でもおなかは一応いっぱいになった
次は別のメニューを選ぼう
ランチの目的は「ちゃんとおなかをみたすこと」と考えれば、思ったよりおいしくなくても目的は達成しているのでOK。
そして、次は選ばないという経験則も得たとなれば十分ですよね。これ失敗でしょうか?
思ったよりもおいしくなかった時点で失敗と感じるかもしれませんが、目的を満たしていて、学びも得たならいいと思いませんか?
それに、たった一日いまひとつのランチを食べたくらいで人生は変わりますか?
つまり、何を選んでもその結果を引き受ければ、大した問題ではないという経験ができるはずです。
これを繰り返していくうちに、選ぶことになれていきます。
また、たとえ選ぶこと自体をちょっと間違ってもどうにかなるということも気づき、失敗が怖くなくなる、というか、そもそも大きな失敗はそんなにないことがわかってくると思います。
こういった経験を通じて決めることができるようになれば、それはもう優柔不断な人ではないですよね。
さあ、まずはこれをやるかやらないか?
優柔不断に迷うことなく、やると決めて臨んでみてください!
熊野さん、ありがとうございました!
改めておさらいすると…
ポイント
- 優柔不断はリスクを見つけられるといういいところもある
- 何を目的に決めていないのか?考えてみる
- その瞬間、その出来事だけに注目せず、自分を銀河に飛ばして視野を広げる
- いきなり大きな決断ではなく小さなことを意識的に決めて練習していく
子どもがサクッと「これがいい!」というと、「よく考えてみなよ」と言ってしまうことが多いと思いますが、それを続けると親の正解を選ぼうとしたり、優柔不断で選べない子になってしまったりするものです。
どんな選択をして、どんな結果になっても、最終的になんとなると考えると、子どもたちの選ぶ練習に付き合っていくことも大切だと感じました。
また、熊野さんのアドラー式コミュニケーションの講座では、家庭はもちろん仕事でも使えるコミュニケーションのコツを学ぶことができます。
「子育てが思い通りにいかない」「仲良くしたいのに夫婦関係がギクシャクしてしまう」「職場の人間関係がうまくいかない」など、悩みを抱える方は自分で解決できるためのコミュニケーション術を学びます。
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