2歳ごろにやってくるイヤイヤ期を超えたと思ったら、今度は4歳くらいになると再びわがままが爆発する時期がやってくると言われます。
「うちの子、すぐ怒るし、思い通りにならないと泣き叫ぶ…」「4歳になったのに感情のコントロールができないのは普通?」
そんな悩みを抱えていませんか?
4歳児は自我が芽生え、感情の起伏が激しくなる時期です。
今回はまさにその4歳で感情のコントロールがきかない娘との接し方に悩むパパからのご相談。
子どもの心の発達段階や、感情をコントロールできない原因、家庭でできる対策を、アドラー式子育ての熊野英一さんからアドバイスをいただきました。
子どもの感情と向き合い、穏やかに成長を見守るためのヒントになれば幸いです。
4歳は様々な感情と付き合っていく練習の時期

保育園ではいい子のようなのですが、家族の前だと思い通りにならないことがあると急に怒り出すなど、感情のコントロールがきかなくなることが多くて悩んでいます。
こういうときはどうしたらいいのでしょうか?
2歳前後のイヤイヤ期が注目されることが多いですが、保育業界でも「4歳の壁」という言葉があるように、4歳くらいは感情が爆発しやすい時期という風にも言われています。
きっと困っている人も多いと思いますので、そんな4歳児との向き合い方について考えていきましょう。
感情をぶつけるということは順調に成長している証
まず、4歳という時期について考えてみましょう。
いわゆる「赤ちゃん」というイメージの時期も終わり、会話も比較的スムーズに進むようになってくるくらいの時期だと思います。
同時に、できることも増えてきた頃であり、感情面でも複雑になってくるタイミングだと思います。
とはいえ、「自分はこうしたい」という「自我」や、「やってみたい」「こうできるだろう」といった様々な感情はあるものの実際はうまくいかない、思い通りにならないことを目の当たりにすることも多く、感情と付き合っていく練習中です。
本人の中で折り合いをつけるのはまだまだ難しいところなんだと思います。
そんな中で、感情を家族にぶつけるというケースが増えることは極めて自然なことであり、割と順調に成長している証のようにも感じます。
また、それをしっかりと家族に出せるのは安心感や信頼があるものだと思うので、それ自体は決して悪いことではないでしょう。
あなたからみれば、単に「感情のコントロールができない」と感じてしまうかもしれませんが、この前提は常に忘れないようにしてもらえたらと思います。
4歳はどう学んでいくのか?
先ほども「練習中」と表現しましたが、何事も最初からできるわけではありません。
感情と上手に付き合っていくために、子どもたちは何度も繰り返し体験することとともに、近くにいる大人たちという見本を真似ていくという形で学んでいくものです。
参考
子どもは近くにいる大人の中で“最も強い人”の真似をする
という言葉があります。
この“強い”という言葉が意味するのは、威厳や肉体的な強さのことではなく、“自立している”“大人として振舞える”というニュアンスに近いものです。
そう考えたときに、あなたがすることはとてもシンプル。
そう、「子どもが真似るべきお手本の大人」となっていくことだと考えられます。
では、具体的にどうしたらいいのでしょうか?
子どもの1次感情に寄り添う声掛けが大事
怒っている娘さんの“1次感情”は何か?
アドラー心理学のポイント
「怒り」は“2次感情”であり、本当に伝えたい“1次感情”がある
- 感情はポジティブなものもネガティブなものも否定するものではなく上手に付き合っていくもの
- 感情は自分でコントロールできるもの
大人でも「つい怒ってしまう」と言う人がいますが、アドラー心理学ではそうは考えません。
なぜなら、もしもその怒る相手がとてつもなく怖そうな人だったり、仕事の上司だったりした場合に、「つい怒ってしまう」ことはあるでしょうか?
ほとんどの人は怒りをグッと抑えることができるはずです。
もちろん、4歳の娘さんはまだ練習中ではあると思いますが、きっとコントロールできるようになるはずです。
また、「怒り」という感情については、落胆、不安、心配、寂しい、悲しいといった“1次感情”があって、それがうまく伝わらないときに使う“2次感情”と考えます。
今回の4歳の娘さんで考えてみましょう。
例えば、スーパーで欲しいお菓子があったのに買ってくれなくて怒って泣きわめいたりするのであれば、「買ってくれるかも」という期待が叶わなかった「落胆」や、自分の願いをかなえてくれなったことに対する「寂しい」気持ちがある。
それを表現する方法として、「怒り」を使っている
...と推測ができると思いませんか?
そうやって1次感情に注目したら、ぜひやってみてほしいことがあります。
1次感情に共感ファースト!わかってもらえる経験を積み重ねる
ここまではあくまで大人として4歳の娘さんの気持ちを推測しているにすぎません。
だから、本人に直接訪ねてみてはどうでしょうか?
「もしかして、今、〇〇な気持ちになってるの?」
できれば、抱きしめるなどスキンシップをとって落ち着かせた状態が好ましいですが、とにかく4歳の娘さんに乗り移るような感覚で共感した上で聞いてみてください。
また、あくまで推測なので「もしかして」という前置きがあると聞かれている方も「決めつけられている」とは感じずにいられるでしょう。
果たして娘さんはどう答えるでしょうか?
もしも、あなたの推測が当たっていたら、娘さんからすれば「わかってもらえた」という経験に繋がると思います。
より深い信頼を得ることができれば、もっと穏やかなコミュニケーションを取ることにもつながるはずです。
一回や二回でかならずできるようになるとは言えませんが、繰り返し相手の気持ちに寄り添う声かけをしていけば、そのうち、怒りを使わない形で1次感情を伝えてくれるようになっていく可能性は高いと感じます。
そして、ちゃんと伝えることができたら、「教えてくれてありがとう」「よく教えてくれたね」と「ヨイ出し」をしてあげることができればさらにいい経験になっていくでしょう。
自分の1次感情にも目を向けてみましょう
きっと大人の方も冷静であれば、落ち着いた対応ができると思いますが、仕事や家事育児で忙しい時はなかなかそういう余裕が持てないこともあると思います。
ここではやめてほしいと思っているところで子どもの感情が爆発してしまうと、大人も怒ってしまうことがよくあると思います。
そんな時は自分の1次感情にも一度目を向けてみてください。
落胆、心配、不安、寂しさ、悲しさなど、あなたが娘さんに対して怒っているのもきっと何か1次感情があるはずです。
そして、その1次感情に目を向けることで、わざわざ「怒る」という方法を取らなくても伝えるようにしていけば、それもまた、子どもにとってはいいお手本になると思います。
正直なところ、コントロールできるとはいえ、「ついカッとなる」こともあると思いますが、まずは自分が冷静になることから始めてみてください。
応援しています!
熊野さん、ありがとうございました!
改めておさらいすると…
ポイント
- 感情を出すこと自体は悪いことではない、成長の証
- 子どもが真似る手本になるべく、1次感情に共感することを繰り返す
- 自分の1次感情にも注目して冷静に対応する
子育てをしていると、よく「成長とともに落ち着くから大丈夫」と言われることが多いですが、渦中は本当に大変なものです。
とはいえ、順調に成長している証だと信じて、繰り返し、気長に関わってみてください!
熊野さんのアドラー式コミュニケーションの講座では、家庭はもちろん仕事でも使えるコミュニケーションのコツを学ぶことができます。
「子育てが思い通りにいかない」「仲良くしたいのに夫婦関係がギクシャクしてしまう」「職場の人間関係がうまくいかない」など、悩みを抱える方は自分で解決できるためのコミュニケーション術を学びます。
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