愛知県岡崎市とタッグを組んで子育てを盛り上げるための協働事業を行ってきた、NPO法人ファザーリング・ジャパン。
春から進めてきたすべての事業が終了しました!
今回は、記念すべき第1回目となる「おかざきパパマイスター」の認定式と、完成した「パパって最高!~岡崎市版父子手帳~」を岡崎市の中根康浩市長に届けてきた模様をレポートします。
4回連続講座ラストにあふれるホーム感
すっかり岡崎市のお店に詳しくなってきた、パパしるべ編集長のジョージです。
この2年間で果たして何回岡崎市に行ったことでしょう。
地元の方々には到底及びませんが、だんだんと朝昼晩にごはんを食べるお店を検索無しで考えられるようになってきました。
さて!
岡崎市のパパたちに知って楽しい子育ての知識や、コツを届けるべく今年度からスタートした新しい事業、「おかざきパパマイスター養成講座」。
23年12月にいよいよ全4回の最終回の講座を迎えることができました。
集まった時から会話が始まるホーム感
前半は、僭越ながら編集長自身が講師を担当。
ここまでの3回を振り返りつつ、日々勉強しているアドラー心理学を基調とした、夫婦や親子のコミュニケーションを円滑にするためのコツを伝えさせていただきました。
ここまでの3回に加え、懇親会でもパパたちからいろいろな話を聞いてきました。
そこで知った、それぞれの悩みを少しでも軽くすることができればと気合を入れてお話ししましたが、みんなたくさん笑ってくれて、たくさん頷いてくれるので本当にやりやすかったです。
今までいろいろな場所で講演をさせてもらいましたが、これだけしっかりと話を聞いてくれる環境はなかなかないものです。
きっと、これまでの講師のみなさんもとても楽しく講義ができたのではないかと感じました。
そして、今回は後半戦がいつもと違います。
原則全4回の講座を受けたパパたちは、ついに「おかざきパパマイスター」に認定されるのです!
アットホームな認定証の授与式
記念すべき岡崎市で初めての「おかざきパパマイスター認定式」は、自身も2児の父親である岡崎市の中根康浩市長の言葉からスタート。
「思春期になると子どもは離れていってしまうので、パパを楽しめる時期って意外と短いもの。その期間を充実した時間にしていただきたい」
市長は自らの経験を踏まえ、パパたちへの思い、そしてパパマイスターたちの今後の活躍への期待を語りました。
そして、いよいよ認定証の授与へ。
市長から認定証を渡されたパパマイスターたちは、ひとりひとりこれからのパパとしての抱負を宣言していきます。
「いろんなことに挑戦してたくさん失敗してたくさん学んでいきたい」
「子どもが自慢できるパパになれるように頑張ります」
「笑顔溢れる家庭を作るために心からありがとうといえるパパになります」
「ネットワークが広がって本当によかった。困った時も楽しい時も“チームわが家”でいきたいと思います」
「肩肘張らず、気楽にパパを楽しんでいきます」
「ありがとうの輪を周りにも広げていけるような家族になっていければと思います」
「アンパンマンのように愛と勇気を与えられるようなパパになりたい」
「こんなにたくさんの同じ悩みをもった仲間がいてうれしかったです。これからも頑張っていきます」
誇らしげにそれぞれの言葉で思いを高らかに語る姿は、とても素晴らしかったです。
ここに、記念すべき初代おかざきパパマイスターが誕生しました。
皆さん、本当におめでとうございます!
認定式ということでもっと緊張感の高いものになると想像していましたが、会場にはマイスターたちの子どももいたので、ほんわかアットホームなムードで幕を閉じました。
遂に完成!岡崎版父子手帳「パパって最高!」
マイスターの認定が終わったからといったそれで終わりではありません。
今年度、新たにスタートしたのが、岡崎市版の父子手帳を作ること。
これまで多くの自治体の父子手帳作りに関わってきたファザーリング・ジャパンのアイデアや、専門家の知見を集約した一冊は、母子健康手帳と同時に配布されます。
パートナーが妊娠してから、男性たちが出産や産後の事を学ぶ機会は、残念ながらそう多くはありません。
また、出産する女性に向けた情報に比べて、男性の目線でまとめられた情報は少ないのが現状です。
この父子手帳は、産前産後の女性のカラダの変化や、育休制度に関する情報。
さらに激動の産前産後を、夫婦で協力して乗り切るために必要なコミュニケーションのコツまで、男性にとって共感性の高いコンテンツをまとめたもの。
出産前、早い段階から子育てに臨む不安が少しでも軽くなり、前向きに望むことができればと思います。
先輩パパたちのメッセージもいっぱい!
そして、ここでもおかざきパパマイスター養成講座を受講したみなさんが活躍してくれました。
まず、「パパって最高!」というタイトルは、受講生たちのアンケートで決まったもの。
さらに、先輩パパとしてこれからパパになる人たちへのメッセージも考えてもらいました。
そして、もうひとり、これからパパになる人へのメッセージを綴ってくれたのが、中根康浩市長でした。
先日、その感謝の気持ちを伝えるべく、出来上がった父子手帳を持って、市長のところへ行ってきました。
おかざきこそだて会議、おかざきパパマイスター認定式、そしてこの父子手帳のメッセージなど、岡崎のパパを盛り上げるためにたくさん協力してくれた市長は、何よりこの父子手帳の完成を喜んでくれました。
市長が注目したのは、わが子のいろいろな“はじめて”を記録する「はじめてレコーディング」や、服などのサイズを記録する「サイズレコーディング」のページ。
「自分は母子健康手帳ももらったとき以外はほとんど見なかった。こうやって何度も開いて記入していくことで、パパとしての意識もきっと高まっていくところがあると思う。自分たちの時代にあったら、意識もかわったかもしれない」
続いて話題は、おかざきパパマイスター養成講座について。
「最初は定員が集まるか不安だったけど、これほど多く集まったのは本当によかった。定員を超えるパパたちに受講できるチャンスを作ってくれた職員たちにも感謝。認定式の雰囲気も本当によかったので、これからが楽しみ」
と期待を語るとともに…
「次は料理教室なんかも楽しいかも。キャンプなどアウトドアを通じた交流や学びも楽しそうですね」
と、広がるアイデアを披露してくれました。
仕事や企業、夫婦、そして…
今年度は男性の家事育児参画をテーマとしたアンケートを夏前に実施。
おかざきこそだて会議では、昨年度同様、その声をピックアップして掲示して、来場者に共感したものを聞くシールアンケートを行いましたが、その結果も市長に報告。
そもそもアンケートの回答が短期間で1000件以上集まることがすごいのですが、シールアンケートでも400以上の共感シールを貼ってもらえたことにもビックリ。
そのシールの多くが、男性たちの心の声に対する共感だったことは象徴的でした。
男性が家事育児をやりにくい理由や、より多くの男性が家事や育児に関わるためにどんな事が必要かについて届いた声としては、長時間労働や育休を取りやすい職場環境といった企業に対するものが最も多く共感を得ていました。
一方、妻への思いやりや夫婦で協力するためのコミュニケーションについてもほぼ同じくらいの数。
さらには、男性自身に育児をする「当事者意識」が重要という声は女性からだけでなく、男性からも挙がっていて、家事育児に対する意識の高さが感じられました。
2年目にして本格的に動き出した岡崎市とファザーリング・ジャパン協働の子育て支援事業は、本当に多くの人に参加いただき、また支えていただき、一定の効果が感じられるものでした。
一方で、社会問題となっている長時間労働をはじめとする働き方や、夫婦のコミュニケーション、また男性が子育てを学ぶ機会の少なさといった課題はまだまだ取り組んでいかないといけないところはあると思います。
そのために必要なのは継続すること。
こういった取り組みを地道に続けていくことこそが、長い目で見た時に、より子育てがしやすい街を作っていくことに繋がっていくと感じます。
「岡崎は古い街だからこそ、まだ昔ながらの考え方も残っているように感じる。ただ、認定式で楽しそうにしていたパパたちを見ていると、若い世代の意識は確実に変わってきたように感じるので、そういう人たちに変えていってもらいたい」
市長もまた、現状に甘んじることなくよりよい環境づくりへの思いを強く持っている先輩パパの一人。
岡崎市とファザーリング・ジャパンが継続して一緒に取り組めることを強く願います。
これで、今年度の岡崎市との事業は全てが終了しました。
岡崎市の皆さん、今年度はありがとうございました。
さあ、来年度は、どんな形で岡崎市のパパたちを盛り上げていこうか?すでにワクワクしています。
一人でも多くのパパやママ、子どもたち、そして周りの人たちが「パパって最高!」と思える岡崎市を目指して、頑張っていきます!