自尊心が高く、非行が少ない!パパ育児のすごい効果

インタビュー 特集

自尊心が高く、非行が少ない!パパ育児のすごい効果

先日、改正育児介護休業法が成立して、今まで以上に男性の育児参加国追い風が吹いています。

一方でいまだに「男に育児なんてできるわけがない」という声も。

では、実際に男性が育児に関わることでいいことはないのでしょうか?

家族社会学を専門とし、『「育メン」現象の社会学』をはじめとする男性の育児に関する著書を手がけている、お茶の水女子大学の石井クンツ昌子教授にお話を伺いました。

研究ではいい結果がたくさん!

研究ではいい結果がたくさん!

石井先生の取材風景

元々、ご自身の父親が育児に積極的だったことがきっかけで父親の育児に関する研究を始めたという石井先生。

30年以上が経つ中で、父親が育児に参加することで子どもにどんな影響が出るのかを研究した結果はあるのでしょうか?

「研究結果なので、もちろん全ての人に当てはまるわけではありませんが・・・」

と、前置きした上で、様々な研究結果について教えてくれました。

いい影響があるという結果がたくさんあります。

二人親家庭で父親の子育て頻度の違いがどのように子どもの発達に影響を与えているのかを見た海外での研究も含めていくつか例を挙げると『父親と多くの時間を過ごした女の子は成人になってからの精神状態が良好』『父親からの愛情を多く受けて育った子どもは成人後の自尊心が高く、人生に対する満足感も高い』『父親の子育て参加の頻度が高いほど成人後の子どもの教育・経済的な業績は高く、反対に、非行は少ない』という結果があります。

さらに『父親とたくさん遊んだ子どもは情緒性、社会性、自発性独立意識が高い、育児をする父親を持つ3歳児は情緒的・社会的発達が良い』『父親とかかわりが多い幼児は友人ネットワークが広い』という結果もあります。

また、父親との関わりは生活範囲の拡大にも繋がり、大人に対しても友好的な態度をとれるなどの人間関係の多様性など社会性が豊かで、言語能力が高くなる傾向があることもわかっています。

こんなにもいい結果が出ているとは!なんともうれしいことです!

妻の満足度も上がる!わけではない

妻の満足度も上がる!わけではない

父親が育児に関わると、妻の負担が減ることも考えられます。

そうなると、やはり妻にもいい影響があるのでしょうか?

子どもに対してはポジティブな結果が多い一方で、妻に対してはちょっと気をつけなければいけないポイントもあるようです。

父親が育児に関わることで夫婦の意見が食い違い、その結果、関係がギクシャクすることにもなり得るのです。

また、育児に積極的な男性のパートナーは結婚満足度が高いかというと必ずしもそうではないのです。

どうやら家事や育児にまったく参画しない夫に対しては諦めのようなものが生まれる、つまりある意味で不満を持たないのですが、いわゆるイクメンの妻たちの声を聞くと『夫はもっとできる』と思ってしまいハードルが上がっていってしまう傾向があるようです。

もちろん、夫婦間のコミュニケーション頻度が上がることや、妻のストレス軽減やポジティブな養育態度につながるといういい結果もありますので、育児をやらない方がいいというわけではありません。

父親のストレスは万国共通

父親のストレスは万国共通

先の改正育児介護休業法の成立も含め、日本の父親を取り巻く環境は変わっていますが、やはり世界に比べると数字的には見劣る部分もあります。

その辺りは今後、どうなっていくのでしょうか?

研究を始めた1980年代に比べれば日本も変わってきています。

男性が育児をすることへの世間の目はもちろん男性自身の考え方も前向きになっていますし、職場の理解度も高くなっていると感じます。

今や父親育児の文化は定着したとも考えられますが、諸外国と比較すると育休取得率をはじめ、まだまだ行動が伴っていないと感じます。

ノルウェーやスウェーデンなどの北欧諸国や、アメリカなどを『イクメン大国』と表現することがあります。

実際に父親が家事や育児に関わることが多いのですが、これは伝統的にそういう文化があったのではありません。

『育児は母親がするもの』という文化はもともとほとんどの国でもそう思われてきていて、そこから変わったのです。

そういう意味では、これからもっと日本も変わる可能性は充分にあります

北欧諸国もそんな考えがあったんですね・・・。

一方で、他にもこんな共通点があるそうです。

興味深いのは、仕事や稼ぎと家庭の板挟みになってしまう辛さや夫婦関係など、いわゆる父親がストレスだと感じるポイントは万国共通であることもわかっています。

イクメン大国で暮らしているからといって父親が全てハッピーというわけでもなく、どこの国で調査しても同じような悩みが出てくるのは、ちょっと意外に感じるかもしれないですね。

北欧のイクメンにもそんなストレスがあるということは、なんだか親近感を覚えますね。

父親同士にもっとつながってほしい!

父親同士にもっとつながってほしい!

これから男性が今まで以上に積極的に育児に関わっていくための課題はどんなところにあるのでしょうか?

先ほどイクメンであるほど妻のハードルが上がってしまうと伝えましたが、父親自身もそのハードルを越えようと頑張り過ぎて追い詰められてしまうというケースがあります。

しかし、日本では母親に比べて父親に対するサポートが少ないのも現状です。

つまり困った時に相談できる環境が足りていないのです。

また、例え相談できる場所があったとしても、相談するのを恥ずかしいと感じるなど父親側の心理的なハードルも大きいように感じます。

こういったことを解消するための方法は人によって様々だと思いますが、一つはパパ友を作ったり、地域やNPOといったコミュニティと関わりを持ち、育児の話が他の人たちとできる環境を作ることが有効だと思います。

もちろんこれも人によってはハードルが高いことだと思いますが、前向きに育児に関わるためにはとてもいいことなので、父親同士が繋がるという文化も広がっていけばいいなと思います。

まだまだ課題もありますが、父親育児に追い風が吹いている今こそ時代を変えるチャンスかもしれません。

いいこともたくさんあるようなので、ぜひ今後も積極的にかかわっていきましょう!

ただし、妻との関係にはお気をつけて。

石井クンツ昌子

お茶の水女子大学理事・副学長。
カリフォルニア大学リバーサイド校社会学部で20年間教鞭を取り、2006年にお茶の水女子大学生活科学部に着任。
専門は家族社会学で『「育メン」現象の社会学』(ミネルヴァ書房)、『Family Violence in Japan: A Life Course Perspective』(Springer)など著書・論文多数。

日本家族社会学会会長、日本学術会議連携会員、
日本社会学会理事、日本家政学会家族関係部会役員、福井県男女共同参画審議会会長などを歴任。

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