40代での転職—それは大きな決断とともに、新たな環境への不安や戸惑いを伴うものです。
特に家庭を持つ父親にとって、仕事の安定は重要な要素。新しい職場での人間関係や、自分の経験やスキルが受け入れられるかどうかなど、気になることは尽きません。
今回は、新年度から行く新しい職場に不安を感じるパパへ、アドラー心理学のスペシャリストで、『1日1分アドラー 悩みがゼロになる心の処方箋 72の言葉』の著者である熊野英一さんがアドバイス。
職場での円滑なコミュニケーションの極意や、新しい職場でスムーズに馴染むためのポイントを伝授します。
転職後の不安を軽減し、新たな環境で前向きに活躍するためのヒントとは...!?
転職への「不安」と上手に付き合ってみる

この度、子育てしやすい環境を求めて40代にして初めての転職をしました。
4月から新しい職場に行くにあたって、仕事の面ではそれなりに大丈夫だと思うのですが、なじめるか?といった人間関係が不安です。
どのような心掛けで臨めばよいでしょうか?
もうすぐ新しいシーズンがはじまります。
きっとあなただけでなく、就職や進学など新しい環境に飛び込む人はたくさんいて、同じような思いを抱えていることでしょう。
たとえ40代でも、きっとそれ以上でも不安になって当たり前。
今回はそんな人たちに向けてぜひ伝えたいアドラーの言葉をお伝えしたいと思います。
不安は生き延びるために大切
不安という気持ちは、ほとんどの所でネガティブなものとして捉えられるものだと思います。
アドラー心理学では、自分の感情にはいいも悪いもなく、大切な自分のパートナーだと考えます。
それはポジティブなものだけでなくネガティブなものも同じです。
人間はとても弱い生き物なので、厳しい環境の中で生き残るために様々なリスクを回避しなければいけません。
その時にとても大切なのが「不安」という感情です。
「不安」だからこそ周りに気を配って危ないものを見つけたり、それを避けたりすることができます。
つまり、人間は「不安」があるからこそこれまで生き延びることができたとも言えます。
ただし、一方で「不安」ばかりに注目してしまうと、のびのびと生きることが難しくなることも事実です。
過度に「もしかしたら」を恐れてしまうがゆえにチャンスを逃してしまうということもありえます。
ワクワクする気持ちといいバランスを
一方で、きっと転職に対してワクワクもあるはずです。
これまで培ってきたスキルがどんな風に役立つか?
もしかしたら生涯の親友ともいえる人に出会えるかもしれませんし、楽しい状況に可能性も十分にあります。
かといってワクワクだけだと、先ほども言ったような不安のおかげで気づけるリスクをスルーしてしまい、のちのち良くないことになるケースもあると思います。
つまりは、不安もワクワクも同じくらい大切な感情なので、上手にバランスをとって付き合っていくことができればいいスタートが切れるのではないでしょうか。
転職先での不安は自分で動き出すことで変えていこう
人間は「所属感」を求める
入学や転職、引っ越しなどで新しい環境に身を置いた時に、孤独を感じることがありますが、それはとても自然なことです。
なぜなら、まだ仲間がいないからです。
人間は「所属感」を求める生き物です。
所属感とは、クラスや職場、コミュニティなどに自分は所属している、自分はその一員であると感じること。つ
まりは「ひとりではない」と感じることが安心感につながります。
そう考えると、なじめるか?という不安があるならまずは仲間を探すことが必要です。
たとえ一人でも仲間が見つかれば、不安は軽くなりますよね。
では、そのためにどうすればいいか?アドラーはこんなことを言っています。
アドラー心理学のポイント
まずはあなたが動き出そう。周りの反応は気にしなくていい。
「自分から声をかける」という一歩踏み出すのはとても勇気がいることです。
アドラー心理学では、その勇気を奮い立たせるための「勇気づけ」が大切だとしています。
「勇気づけ」は、自分や他者に「できる」という力を信じさせ前向きな行動を促す考え方です。
今回の場合であれば、あなた自身が自分に「できる」と「勇気づけ」することはすぐにでも始められることだと思います。
同じ気持ちの人は必ずいる
では、具体的にどうすればいいか?
これはもうとにかく動き出すしかないかもしれません。
ただ、スルーされる可能性に目を向けたら不安かも知れませんが、果たして全員にスルーされる可能性はどのくらいあるでしょうか?
おそらく全員ということはまずないでしょう。
皆さんいい大人ですからスルーされない可能性の方が高いはず。
また、同じように転職してきた人がいたとしたら、あなたと同じように不安と期待が交錯している状況かもしれないので仲良くなりやすいいはず。
むしろ新しいメンバーを迎える側にも不安と期待を抱えている人がいるはずです。
話しかけ方にも100点満点はありません。
正解を探すから失敗が怖くなるもの。
素直に気持ちを伝えるだけで充分です。
例えば
新しいところってドキドキしますよね?
と声をかけてみたらどうでしょうか?
近い感情を持っている人であれば「そうですよね」など、気持ちを共有して近づけるのではないでしょうか?
そしてあなたの踏み出した「勇気」はきっと波紋のように広がって周りに伝わっていくでしょう。
だからこそ周りの反応を気にせずに話しかけていくことが大切なのです。
新しい環境での人間関係は待つよりも動くことで生まれます。
100点満点の話しかけ方なんてないので、失敗を恐れずにまずは動き出してみれば、新しいつながりができていくのではないかと思います。
40代が20代や30代に話しかけたっていいじゃないですか。
新しい職場ではあなたの方が確実に新人です。
年齢を言い訳にする必要はないと思います。
あまり考えすぎずに動き出してみましょう!
熊野さん、ありがとうございました!
改めておさらいすると…
ポイント
- 不安はとても大切な感情。上手に付き合っていきましょう。
- 動き出すことで人間関係はできるので、まずは自分が動けるように「できる」と信じる
- 100点満点の話しかけ方はないので、とりあえず自分の感情を伝えてみては
人に話しかけるって何歳になっても勇気がいるものですよね。
でも、年齢を重ねている方がきっと成功体験も多いはず!
きっとうまくなじめるかは自分次第だと腹をくくって臨んでみましょう!
著書のご紹介
また、熊野さんのアドラー式コミュニケーションの講座では、家庭はもちろん仕事でも使えるコミュニケーションのコツを学ぶことができます。
「子育てが思い通りにいかない」「仲良くしたいのに夫婦関係がギクシャクしてしまう」「職場の人間関係がうまくいかない」など、悩みを抱える方は自分で解決できるためのコミュニケーション術を学びます。
こちらも気になった方はぜひチェックしてみてください!