なぜ男親は息子に厳しくしがち?直すための対処法をアドラー式で解説

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なぜ男親は息子に厳しくしがち?直すための対処法をアドラー式で解説

先日実施したアンケートでは、子どもに対してつい厳しく叱ってしまうことがパパとママで違うことがわかりました。

そんな中、男親であるパパから娘に比べるとどうも息子には厳しく接してしまう、というお悩みが。

これについてアドラー式子育ての熊野英一さんに分析してもらいました。

なぜ男親は息子に厳しいのか?

それを直すためにはどのように子どもと接していけば良いのか、対処法を聞きました。

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質問者
今、小学生の息子(兄)と娘(妹)がいます。

自分では平等に接しているつもりでいたのですが、先日妻から「お兄ちゃんに厳しすぎる」と指摘され、言われてみれば、確かにそうかもしれないと感じています。

これは治らないものでしょうか?

必ずしもみんながそうという訳ではないと思いますが、得てして男親が息子に厳しくなりがちなのは”あるある”ではないでしょうか?

これはもう仕方ないことかといえば、そんなことはないかと思います。

では親としてどのように考えて息子と接していったら良いか、一緒に考えていきましょう。

ジェンダーバイアスはなかなかぬぐえない

今でこそ、性別役割意識=ジェンダーの問題が多く取り上げられ、性別によって味方にバイアスがかかってしまうことは良くないとされています。

しかし今子育てをしている世代が子どもの頃は、むしろ「男だから」「女だから」という意識を刷り込まれてきたように感じます。

テレビドラマや映画といったメディアで見るものの多くは、かなりジェンダーバイアスがかかっていました。

そして、「男は泣いてはいけない」「女はおしとやかにしないといけない」といった声は、良かれと思って伝えられてきました。

確かに、当時の世の中は「男らしい男」「女らしい女」という、イメージにのっとったほうが生きやすい世の中だったかもしれません。

一方で、そこに当てはまらない人にとってはとても生きにくいものでした。

大人になった今、その染みついた考えを変えるのは、簡単なことではないと思います。

それは多くの人が感じていると思います。いまだに男性が育休を取ることに違和感を持つ人たちも、悪気があるのではなく、染みついた感覚をぬぐえないのでしょう。

ただぬぐえないからといって、それを押し付けるのはちょっと違いますよね。

まずは、自分にどんなジェンダーバイアスがあるのかを考えるところから始めてみましょう。

「男たるもの」という価値観は時代と共に変化している

今回はパパからの相談なので、男性に限った話をしていきましょう。

子どものころの「簡単に泣かない」「叱られてもへこたれない」「ケガは勲章」といった考えから、大人になるにしたがって「上司に忠実に従う」「出世してしっかり稼ぐ」「大黒柱になる」など、かつて男性に求められてきた理想像はいろいろあったと思います。

そんな中で、自分に向いているかどうかは別として、必死に求められる男性像を全うするために頑張ってきた人はたくさんいると思います。

その中で、いつの間にか自分の中に「男たるもの」という価値観が出来ていったでしょう。

そんな男性像は昔のもので、今は違います

なんて言われても素直に認めたくない人がほとんどだと思います。

自分が必死になってやってきたことを否定されるような虚しさと怒り。

また、そうやって頑張ったからこそ自分は今しっかりと自立していて、こうして家族を持っている、そんな「成功体験」のような感覚もあると思います。

ただ、これが本当に「成功体験」だったかというと、実際はわかりません。

今の自分を成功していると感じているかもしれませんが、もしかしたら、別の生き方を選んだ時に、今よりはるかに成功している可能性だってないとは言い切れません。

何を成功と考えるかにもよりますが、現時点で自分の人生はこれでよかったと思えることはとても素晴らしいことです。

ただそれを「ベスト」だと言い切るのはどうでしょう。

ましてや息子は自分と違う人間です。

仮に同じような道を歩んで、同じような状況になったとしてもそれを「成功」だと感じるとは限りませんし、自分とは別の方法で歩んで、息子なりの成功にたどり着く可能性もあります。

なので、まずは自分にとって「男たるもの」と思っているのは何かを考えるとともに、それはあくまで自分の考えであって、今の時代、そして息子の価値観とは、かなりの確率で違うということに気が付く必要はあると思います。

息子にとって何が好きで何が幸せなのか

息子にとって何が好きで何が幸せなのか

息子に厳しくしてしまう本当の理由

あなたが大切にしている「男たるもの」に息子がそぐわない時、どうでもいいと思っていれば、いちいち厳しくすることはないでしょう。

厳しくするのは、息子のことが心から大切で、幸せになってほしいと願うからだと思います。

もちろんこれはとても素晴らしいことであり、大切なことだと思います。

ただ、先ほど伝えたように、自分がいいと思っていることと息子自身がいいと思っていることが違うという前提に立って、もう一度、息子のことを見直してみてください。

息子にとって何が好きで、何がやりたくて、何が幸せなのか?

それを知るために必要なのが、アドラー心理学で最も大切だと考えられている「共感」です。

自分の価値観を一度横に置いておいて、相手の目で見て、相手の耳で聞いて、相手の心で感じること。

例えば、息子が好きなアニメがあったときに、「パパはあんまり好きじゃないな。見るのはやめた方がいい」と言ってしまったりしていませんか?

そのアニメが好きじゃないのはパパであり、パパの価値観でジャッジをしてしまっています。

もちろん、パパが好きじゃないことが間違っているわけではありませんが、少なくとも息子に共感はしていません。

息子に共感するためには目線を息子に合わせてみる。

「そのアニメのどこが好きなの?」と興味を持って質問してみたら、息子への共感が始まります。

ただ、どれだけ話を聞いたところでパパとしては面白いとは思えない場合もあると思いますが、それはそれでOK。

別に同じように好きになる必要はありません。

共感しても同意はしなくていいのです。

そうやって接しているうちに、自分と違うところも感じられるようになるかもしれませんし、一方で、とても自分と感覚が近いと感じる部分も出てくるかもしれません。

お互いの価値観を善し悪しでジャッジせずに接することで、息子はありのままの自分でいいと感じられるようになって、自己肯定感が高まり、挑戦できるようになっていくことも考えられます。

子どもへの共感とともに信頼も必要

結果的に息子が自分とは違う方法や道を選ぶことが出てきたとき、パパとしては不安になることもあると思います。

何せ自分が経験したことがないものですから、アドバイスだって難しいでしょう。

ただ、だからといって止めたり、自分の方法や道に誘導することはいいことではないと思います。

理屈ではわかっていてもなかなかできないものですが、息子の幸せを願うなら自分にとって未知のものに対してでも息子の背中を押してあげた方がいいはずですよね。

そんなときに必要なのが「信頼」です。

「信用」は条件付きのもので、「信頼」は無条件です。

とにかく息子なら大丈夫、とパパとして信頼をすることです。

自分では絶対に選ばない選択をしたとしても、息子には息子なりの考えがあるはず。

そう信頼さえしていれば、例え自分にはわからないことをしていても、背中を押せるはずでしょう。

もちろん、未熟なうちはうまくいかないこともあって、口出しをしたくなる時もあると思いますが、ひとつひとつが練習であり、練習を重ねているうちに上手になって本当に信頼する姿になっていくはずです。

口出しや先回りは、息子が信頼できる存在になるための練習の機会を奪ってしまうことになります。

共感し、信頼するところを目指せば、例え自分とは違ったとしても、いちいち厳しくとがめるようなことはなくなっていくのではないかと思います。

まずは、息子の目で見て、息子の耳で聞いて、息子の心で感じて、共感することから始めてみてはどうでしょうか?


熊野さん、ありがとうございました!

改めておさらいすると…

ポイント

  • 自分にはどんなジェンダーバイアスがあるかを考えてみる
  • パパ自身が進んできた道を「ベスト」だと決めつけない
  • 息子に共感し、信頼して自分とは違っても背中を押してあげる

今回は男性の話でしたが、基本的に女性でも同じことが言えて、そもそも同性同士はぶつかりやすいところがあるようです。

今回の質問も妻の指摘で気が付いたということですが、そもそも夫婦でそういう指摘ができる関係であることはとても大事ですね。

熊野さんのアドラー式コミュニケーションの講座では、家庭はもちろん仕事でも使えるコミュニケーションのコツを学ぶことができます。

「子育てが思い通りにいかない」「仲良くしたいのに夫婦関係がギクシャクしてしまう」「職場の人間関係がうまくいかない」など、悩みを抱える方は自分で解決できるためのコミュニケーション術を学びます。

こちらも気になった方はぜひチェックしてみてください!

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熊野英一

株式会社子育て支援 代表取締役 / ボン・ヴォヤージュ有栖川 代表
子どもたちの居場所づくりプロジェクト「ビリーバーズ」統括リーダー
アドラー心理学会 正会員 / 個人心理学会 正会員

著書は『アドラー式 老いた親とのつきあい方』(海竜社)『アドラー式子育て 家族を笑顔にしたいパパのための本』(小学館クリエイティブ)ほか。編著は『急に「変われ」と言われても』(小学館クリエイティブ)。

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