「なんで人に優しくしないといけないの?」
子どもにそう聞かれて、うまく答えられずに戸惑った経験はありませんか?
この記事では、子どもにわかりやすく伝えるためのヒントを紹介。
アドラー心理学の専門家の意見や生きる上での本質的な視点を交えながら、親としてどんな言葉をかけるのが良いのかを考えていきます。
子どもの純粋な問いに、心から納得できる答えを一緒に探してみましょう。
そもそも人に優しくする必要はある?

その場はなんとなく濁しましたが、今でもどう答えたらよかったのか悩んでいます。
どんな答えがよかったのでしょうか?
子どもの質問って、無邪気だけど時に真理をついてきますよね。
大喜利的な回答でその場を濁すのもいいと思いますが、せっかくなので今回はこの質問に正面から向き合ってみましょう。
優しくしなければいけない、というわけではない
多くの人はなんとなく「優しくした方がいい」ということイメージを持っていると思います。
確かにみんなが互いに思いやってやさしくし合う世の中であれば、それはとても平和ですよね。
極端なことを言うと、特に優しくしなくても、ある程度のルールさえ守っていれば生きていくことはできるかもしれません。
ただ、そのやり方だと、周りの人と仲良くするのはとても難しいのは想像にかたくないでしょう。
つまり、もしあなたができるだけ人と関わらないように生きていきたいのであれば、それでいいかもしれません。
でも、そういう生き方は寂しいと思うのであれば、やっぱりいい関係を築くためにも人に優しくした方はいいと思います。
なぜ、人と仲良くすることが必要なのか?
生物学的にみると、人間は地球上において、1人で生き残っていくことが難しい生き物です。
環境の変化に対応するために家や洋服も必要ですし、食べ物を調達するのも一人では難しいこと。
だからこそ、これまでも周りの人と力を合わせて生きてきたのです。
そして、協力していくために自分にとっていいことだけでなく、相手にとってもいいことをして、良好な関係を築く必要があったのです。
それは狩りなどで生活をしてきた時代だけでなく、現代でも変わりません。
着ている服を作る人、食べ物をお店に運ぶ人、売る人、電車の運行をしている人など、どの人も我々の生活には欠かせません。
やっぱり人はひとりで生きることが難しく、だからこそ、人と仲良く生きていかなければいけないのです。
知らない人にも優しくした方がいい!?
人はみんなと繋がっている
家族や友達、学校のクラスメイトや同僚、ご近所さんなど近しい関係の人たちと仲良くすることが、とても大切であることは理解できる人も多いと思います。
しかし、アドラーはこんなことを言っています。
アドラー心理学のポイント
「共同体感覚は、家族から始まり、民族、全人類、そして自然や宇宙までも広がる大きなつながりだ」
共同体感覚とは、家族や友達など自分以外の誰かと同じコミュニティや集まりに所属しているという感覚で、同じチームだからこそ互いに協力し合っていくことで豊かに暮らしていくことができます。
家族はその一番小さなコミュニティなので、とても分かりやすいのですが、もっと視野を広げてみる必要性をアドラーは伝えています。
仲の良い友達だって、元は赤の他人。
今はまだ知り合っていない人がもしかしたら運命の人かもしれないし、のちのち関わっていく人かもしれません。
さらには人だけでなく、街中を歩いている猫だって、道端に咲いている草花だって、同じ地球に住んでいるという意味では仲間とも考えられます。
結局、知っている知らないに関わらず大きな意味では繋がりがあるのです。
そう考えると、誰に対してもやさしくした方がいいですよね。
人に優しくすると自分の心が安定する
ここまでは、あくまで生きていくための必要性を中心に話を進めてきましたが、人にやさしくすることで自分にとっていいこともあります。
自分が誰かのために何かをして、相手が喜んでくれたら、うれしいと思いませんか?
そして、そのうれしい気持ちは自分自身の心を穏やかにしてくれます。
そして、心に余裕ができます。
余裕があれば、また他のことでも周りにやさしくできます。
まさにやさしさの素敵なループがうまれるのです。
忙しかったり、イライラしている時は周りにまで目がいかないかもしれませんが、そういうときこそ、視野を広げて周りの人にやさしくすることを積極的にした方がいいですよね。
子どもに助けたり助けられたりする経験を
今回の質問は、子どもにどう答えたらいいか?ということなので、こんな難しくて長い話はきっと向いていないでしょう。
だったら、例えばもっとシンプルにこんな答えをしてみてはどうでしょう。
人にやさしくしたら気持ちいいし、楽しくなるから
素敵な家族や仲間がいて、その人たちと協力し合っていけばそれはきっと楽しい人生が待っているはずです。
皆さんもそんな風に子どもたちに育ってもらいたいと思いますが、そのためには小さいころから、協力して何かを進めたり、楽しんだりする経験をすることがオススメです。
例えば、一緒にゲームをしてクリアする、家族で一緒にキャンプをする、チームスポーツをやってみるなど。
どれも誰かを助けて相手が喜ぶ経験になるし、誰かに助けられてよかったという経験にもなります。
助け合うことの大切さや、助けてもらうありがたさを感じることができれば、その言葉も深く理解してもらえるはずです。
きっとパパやママが務めている職場や友達関係の中でも大切なことだと思います。
子どもの何気ない質問をきっかけに「人にやさしくする」ということについて考えてみてください!
熊野さん、ありがとうございました!
改めておさらいすると…
ポイント
- 人はひとりで生きられないので、仲良くするためにもやさしくすることは必要
- 人だけでなく自然や宇宙までも仲間だと捉えて考えてみる
- 幼いころから助けたり助けられたりする経験をする
当たり前だと思っていることを改めて問われるとうまく言語化できないときってありますよね。
大人になると改めて考える機会はあまりないので、いいきっかけになるといいですよね。
著書のご紹介
また、熊野さんのアドラー式コミュニケーションの講座では、家庭はもちろん仕事でも使えるコミュニケーションのコツを学ぶことができます。
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