子どもがすることって、大人では理解できないことがたくさんありますよね。
そんな謎行動に振り回された経験がある人も多いと思います。
今回は「何度言っても子どもが靴の左右を間違える」ことに頭を抱えて、ついイライラしてしまうパパからの悩み相談です。
親としてこの悩みをどう解消するべきか、コミュニケーションの専門家でアドラー式子育ての熊野英一さんからのアドバイスをお届けします。
なぜ子どもは靴の左右を間違えるのか?
5歳の娘のことで困っています。
いつも靴を左右逆に履くのです。
何万回言ってもなおりません。
どうにかするために、キャラクターのシールを半分ずつ貼り、ちゃんと左右が合っていると顔が完成するようにして、さすがにこれならわかるだろうと思ったのですが、ダメでした。
いったいなぜわからないんでしょうか?
最近では、その状況にイライラが止まらず、強く言ってしまうことが増えてきていて凹んでいます。
どうしたらいいのでしょうか?
左右逆に靴を履く子っていますよね。
娘さんのように「いつも」という子はそれほど多くはないかもしれませんが、たまに反対になっちゃうレベルであれば、子育てのあるあるのひとつではないでしょうか?
まず、質問してくれたパパが思っている「なぜ?」というところについて、あくまで推測ではありますが、きっと本人は「どーでもいいじゃん」と思っているのではないかと感じます。
もちろん大人の感覚で言えば、左右逆に履いたら気持ち悪いでしょうし、何より歩きにくいだろうと思います。
さらに、合わない靴で運動することは足の成長に良くないのではないかという心配もあるでしょう。
しかしながら、お話しを聞く限り、気持ち悪いとは思っていないでしょうし、歩きにくいとも思っていない。
足の成長については考えたこともないでしょう。
であれば、なおす気にもなれないんだと思います。
もちろん、厳密に言えば、合わない靴を履いて行動を続けることがいいことだとは思いませんが、すぐに影響があることもないと思います。
絶対に、とは言えませんが、冷静に考えてみてください。
左右逆に履く子どもがそれなりの確率でいる中で、大人で左右逆に履く人はほとんど見かけません。
おそらく大きくなっていく中で、ほとんどはなおっていくと考えられるはずです。
そういう中で、娘さんが左右の靴を正しく履くようになるには、本人が「どうも動きにくい」「なんか気持ち悪い」と気づくことがきっかけになるはずです。
靴を正しく履けるかどうかは「子どもの課題」です。
質問のパパはきっと娘さんが左右逆に靴を履くたびに、丁寧にそうじゃないと伝えていて、それが余りに続くからイライラが止まらなくなっていると思いますが、これは「子どもの課題」に踏み込んでしまっている状態です。
「子どもの課題」は子ども自身で解決するもの。
親は解決する必要はありません。
では、「親の課題」は何か?
今回の場合、靴を左右正しく履けないわが子にイライラしてしまうことです。
では、このイライラをどうすればいいのでしょうか?
子どもにイライラする原因は実は親自身にある
さきほどもお伝えしたように「子どもの課題」と「親の課題」は別のモノです。
そして、そこに踏み込んでしまっているからこそ、イライラしているわけです。
であれば答えはシンプル。
「子どもの課題」に踏み込まなければいいんです。
極端に言うと、子ども自身が気にしていないことを親も気にしなくていい、ということです。
ただ問題は、これが何より難しい、ということです。
娘さんの健やかな成長を願い、多くの人ができることができた方が生きやすいだろうと考えることもあるでしょう。
とにかく「良かれ」と思っているからこそ、踏み込んでしまうのです。
もちろん、そう思うことは当たり前のことですし、それが悪いわけではありません。
でも、その思った通りに進まないときに、その結果を受け容れる余白を持つ必要はありそうです。
また、アドラー心理学では「怒っている人は困っている人」と言います。
一番伝えたい思いが「一次感情」それをわかってもらうために使う怒りは「二次感情」と考えます。
伝えたい一次感情とは「不安」「寂しさ・悲しさ」「心配」「落胆」など。
今回で言えば、5歳という年齢を考えて、周りにもそんな子はほとんどいないし、出来て当たり前、これくらいできるよね?という期待があって、それが叶わないことへの「落胆」している様にも感じます。
合わない靴で成長に問題が無いかという「不安」もあるでしょう。
でもそれが伝わらなく困っている。
どうやったら伝わるか?と考えたときに大きな声を出したり、強い言い方をしたり、という方法になっているように感じます。
ただ、ここまでのことを踏まえたら「不安」にしても「落胆」にしても、一方的な期待をせずに結果を受け容れることができれば、しなくてもいいこと、つまり、怒らなくてもいいというわけです。
そして、もうひとつ。
イライラしたり怒ってしまったりする自分を、否定する必要がないことも忘れないでください。
思い通りにいかないことにイライラするのは人として当たり前のこと。
例え不完全でも自分を受け容れる「自己受容」もアドラーでは大切だと考えます。
ただし、怒りは感じてもいいけど、そのままぶつけてしまうと余計なものがついてくるので、取り扱い方を考えた方がいい時代になっています。
親子で言えば「虐待」夫婦で言えば「DV」職場であれば「ハラスメント」どれも怒りという感情とうまく付き合えていないことに繋がっています。
そして今は、そんな怒りに敏感な世の中になっていることも踏まえてもう一度向き合い方を考えてみてください。
熊野さん、ありがとうございました!
改めておさらいすると…
ポイント
- 子どもが靴を左右逆に履くのは、おそらく「どーでもいい」と思っているから。
- 靴を正しく履くという「子どもの課題」に踏み込まなければイライラすることもない。
- 怒りに敏感な世の中で、怒りの取り扱いにも注意しましょう。
伝わらなくてイライラすることは大人同士でもよくあることですが、それが我が子となると、期待や不安などさらにいろいろな感情が積み重なって、より複雑になってしまいますよね。
でも、ちょっと視点を変えてみると、ふと息を抜けることもあると思います。
うまくいかないときは少しだけ立ち止まってみましょう。
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