とにかく暑い日が続いています。
何かと混雑しやすい夏休みですから、何かをするために並ばなければいけないことはよくあります。
そんなときにもしも割り込みされたら、あなたはどうしますか?
ちゃんと注意しますか?
割り込みされてモヤモヤした時の対応方法について、今回はコミュニケーションの専門家でアドラー式子育ての熊野英一さんから、相手側の心理状況も含めてのアドバイスをお届けします。
割り込みにすぐに「ダメ!」と注意しない
その勢いにおされた娘がビックリして泣きそうだったので、いったんその場を離れたのですが、せっかく並んでいたのにと思うとモヤモヤします。
どうすればよかったのでしょうか?
有名テーマパークもそうですが、人が集まるところには必ず行列ができます。
この暑さの中で待つのは本当にツラいですよね。
そこまでして楽しみにしていたのに、割り込まれるなんて…モヤモヤする気持ちはとてもわかります。
話がわかる大人同士だったら「割り込みはやめてもらえますか?」とか「皆さん並んでいるので後ろに並んでください」と言えばいい話ですが(とはいえ、大人同士でも言えないケースが多いとは思います)相手が子どもだとさらに対応に悩むでしょう。
世の中にはいろいろな人がいることが前提ではありますが、アドラー心理学を学んでいる立場からすると、すべては自分で選択することなので、なにか言ってもいいですし、言わないという選択もありだと思います。
どうやったら仲良くなれるか?を考えるアドラー心理学では、敵と味方という構図を作らないことが原則。
そう考えると、もし割り込んだ子に声をかけるとしても、いきなり「ダメだよ!」と強く言うことはオススメできません。
相手がどのような考えを持っているとしても、いきなり強く当たられると反射的にその指摘に対して抵抗してくる可能性が高くなることは、容易に想像できると思いませんか?
そんなこじれそうな行動をあえて取る必要はありませんよね。
では、どのように対応したらいいのでしょうか?
「割り込まれた」のではなく「協力した」にチェンジしてみる
正直なところ、このケースですべての人が納得できる正解を示すのは難しいことだと思います。
割り込んできた人のキャラクターにもかなりよりますし、一方で自分よりも後ろに並んでいる人への配慮も必要です。
そういう中で、あくまで理想論的なものかもしれませんが、今回は自分だったらどうするかをお伝えしますね。
まず、割り込んできた人を放置しないで話しかけるでしょう。
状況からすると「割り込んだ」ということにはなりますが、もしかしたら「並んでいることに気がつかなかった」という場合もあります。
子どもなら「割り込んではいけないと理解していなかった」という可能性だってあります。
いろいろなシチュエーションを踏まえて私ならこう尋ねます。
「お急ぎですか?」
できるだけ丁寧に。
無意識に割り込んでしまった人でも意識的に割り込んだ人でも、おそらく「え?」という反応をすることが多いと思いますが、おそらくその時に一瞬客観的に状況を考えるきっかけにはなると思います。
それこそ、無意識の人だったらきっと状況にも気づけるはず。その時は、
「並んでいるので、後ろに並んでもらえますか?」
と、きちんと対話ができる可能性はグッと上がります。
一方で、もしも「急いでいるんだよ!」と返された場合は、子どもとともに協力するスタンスに変えてみます。
長い目で見たら、ひとつだけ順番が後ろになってもそこまで大きなことではありません。
(もちろん長時間並んでいるとイライラはしそうですが)
ただ、そうすることによって「自分たちは割り込まれたのではなく、急いでいる人に協力した」という構図に変換することができ、譲り合いの精神を知るチャンスにもなり得るとも捉えられるかもしれません。
もし、「うるせーな、別にいいだろ!」と返されたら、それはもはやただのわがままであることは明確ですよね。
大人としては見逃すのはどうかと思うので、しっかりとルールを伝える努力はしてみようと思います。
従ってくれることを祈って。
いかに戦わずして、その場をおさめるか?
やはりそこを大事にした方がいいので、質問のパパのようにその場を離れるのも全然アリだと思います。
私だって話し合えそうな雰囲気がまったく感じられないときは、話しかけない可能性もあります。
また今回のようにお子さんが泣きそう、などの状況だったら一度落ち着く努力をするのも決して悪くないことです。
もちろん、お子さん自身がせっかく並んでいて、間違ったことは何一つしていないということは伝えてあげたいところです。
ただ、そこでもめごとになって、その後嫌な気持ちで過ごすくらいならずっといいと私は思います。
割り込みは、決してほめられることではないですが、必ずしもあなた自身が正義感を発揮してその行動を正さなければいけないことではありません。
難しいことは間違いありませんが、いろいろな状況を踏まえて考えることが大切だと思います。
熊野さん、ありがとうございました!
改めておさらいすると…
ポイント
- もめごとになる可能性を減らすためいきなり「ダメ!」とは言わない
- ちょっと視点を変えて「お急ぎですか?」と聞いてみる
- 全然ムリそうだったら一回離れてしまうのもアリと考える
大人として間違ったことを見過ごしてはいけない、と強く思ってしまうかもしれません。
そして、それを見逃すことはわが子の教育にも良くないと考えてしまいがちです。
しかし、あらゆる手を尽くしてもめないで解決しようとする姿を見せることも悪い事ではないと思いました。
教育もこうじゃなくてはいけないと考えすぎずに柔軟にいきましょう。
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