秋を迎えて、いよいよ中学受験のシーズンが近づいてきました。
「頑張るわが子を、親としてどう応援すればいいんだろう?」「よかれと思って、口を出しすぎていないかな…」と、中学受験での関わり方に悩む親御さんも多いのではないでしょうか。
受験で親がいちばん大切にしたいのは、合否よりも先に「子ども自身が受験に納得しているか」に向き合うこと。
今回は、アドラー心理学にもとづく子育てを広く伝えている熊野英一さんに、受験を控えた子どもに親がすべき3つのステップを教えてもらいました。
アドラー心理学の「課題の分離」をヒントに、子どもの気持ちを尊重しながら支える関わり方を解説します。
子どもがまだ小さいパパも、習い事やスポーツのサポートにそのまま活かせる心がけです。
中学受験での親の関わり方は「子どもの納得」を確かめることから

小学校6年生の娘が受験勉強を頑張っています。
泣いても笑ってもあと数か月。親としてどうやって応援していけばいいか悩んでいます。
アドバイスをいただけますか?
受験の問題、特に小学校受験や中学校受験については、主に大都市圏に偏った話題のように感じます。
今回は受験がテーマですが、その他のスポーツや習い事などにも通じる親の向き合い方について考えていきましょう。
パパママの経験が子どもに与える影響
今の親世代はまさに「受験戦争」と呼ばれる時代を過ごしてきた人が多いと思います。
一番多い時で1学年200万人もいた子どもも今や半分以下。
そういう意味ではライバルは少なくなっているかもしれませんが、難解なテストで点数を取って突破することが大変なことは変わりません。
受験がうまくいった経験がある親はその成功体験を基に「わが子にも自分のように」と考え、うまくいかなかった親はその後苦労した経験を基に「わが子にはやっておいてもらった方がいいかも」と考え、結局受験を勧めるケースが多いように感じます。
中学生までの受験は、どうしても親の意見は子どもの進路に大きく関わるもの。
その親世代が受験について様々な思いを持っているからこそ、今の子どもたちも違った大変さがあるように感じます。
本当に自分から受験をしたい子どもは少ない
子どもによっては、自分から「受験したい」という子もいるでしょう。
ただ、小学生の時点で、先を見据えたり、やりたいことを基に進路を選べたりする子はそれほど多くないと思います。
小さいころから親に「中学校は私立に行った方がいい」と言われてきたり、周りに受験する子が多かったりなど、様々な影響の中で「なんとなく」自分も受験しないといけないかなと思っている子が大多数ではないでしょうか?
もしも、親が強く中学受験を勧めている場合。それをちゃんと子どもに話したことはあるでしょうか?
あれこれ仕向けて、結果的に子ども自身が「受験する」と言ったら、「あなたがやりたいって言ったでしょ」となっていませんか?
この場合、親はその責任を逃れてはいけないと思います。
「私たちは中学受験した方がいいと思っているので、これにのってくれませんか?」言葉はどうあれ、本来はこのくらいのスタンスで“子どもに依頼する”くらいではないでしょうか?
子どもの本心に向き合って、そのうえで希望を伝え、それが合意できているか?
そこが大きなポイントだと思います。
中学受験を控えた子どもに親がすべき3つのステップ

ステップ1:受験は「子どもの課題」であることを確認
アドラー心理学のポイント
アドラー心理学では「課題の分離」という考え方があります。
その課題について、結局誰が責任を取るのか?一番影響が大きいのは誰か?というところで切り分けるというもの。
例えば、「学校の宿題」という課題の場合。
宿題をしないで先生に怒られたり、成績が落ちたりするのは子ども自身なので、これは「子どもの課題」です。
子どもが望んでもいないのに、親が「宿題しなさい」と必要以上に言うことは「子どもの課題に踏み込んでいる」と言えます。
「親の課題」は何かというと、例えば「宿題はちゃんとすること」と子どもに理解させることだったりします。
また、子どもがちゃんと宿題をしたいけど、うまくできないからサポートしてほしいと依頼してきた時は「共通の課題」として、例えば「宿題忘れてない?」と声をかけたり、宿題がしやすい家庭環境を作ったり、様々な形でサポートすることはOKです。
では、受験は誰の課題か?
もちろんそれは「子どもの課題」です。
であれば、親としてはまずそれが「子どもの課題」であることを受け容れ、そのうえでこれを共通の課題とするのかどうかを整理する必要があります。
子どもが嫌になっているのに、無理やり勉強させようとサディスティックな姿勢をとるのは、いい関わり方とは言えません。
ステップ2:合否だけでなくプロセスを目的にする
受験の目的は、もちろん試験でいい点を取って、合格ラインを超えて、入学を勝ち取ることです。
しかし、実際はどんなに頑張っても落ちてしまうこともあります。
合格だけを目的にすると、プレッシャーも高まりますし、落ちた時のショックも大きくなってしまいます。
長い目で見た時に、受験にはもう一つの目的があると思います。
それは高い目標に挑戦する経験を積むことです。
たとえ落ちてしまったとしても、何がいけなかったのかを考えることもできますし、その後の人生にとって決して無駄にはならないはずです。
そこにもしっかり注目することはとても大事です。
うまくいけばいいですが、うまくいかなかったときにこそ親が本領を発揮するチャンスです。
受験に挑戦して頑張ったプロセスをきちんと評価して、次へとつなげることができれば、それはきっと失敗ではなく、いい経験になるはず。
そんな目的を、受験に臨む前に家族全員で確認しておくこともまた大切なステップだと思います。
ステップ3:サポート方法は全員で考える
親が良かれと思ってしたことが、かえってマイナスに働くことはよくあります。
受験においても同じ。
子ども自身がやりやすい勉強方法でやっているのに、プロでもない親が「もっとこうした方がいい」と口を出してしまい、やる気がなくなったり、成績が延びなかったりするケースもよくあります。
なので、しっかりと子どもの意見を聞くことがまず大事。
「子どもの課題」である以上、あくまで決裁権は子ども自身にあるのです。
親はその子どものやり方などをどうやったら一番うまくサポートできるかをいろいろと考えて提案し、子どもの了承を得てから実施する必要があるのです。
ただ、子どもの言うなりになるわけではありません。
子どもが自分にとって楽なことしか選ばなかった場合。
それは、子ども自身がちゃんと受験することを納得していなかったり、重要性を理解していなかったりする可能性があります。
そんな時は、ステップをはじめる前に立ち戻って、本当に受験をするかどうかから話し合う必要があると思います。
「ありがとう」で終わる
先ほども書きましたが、受験という結果が出るものなので、合格することもあれば、不合格となることもあります。
たとえどちらの結果になったとしても、親子で「ありがとう」と言えるような関係が素敵だと思います。
子どもはサポートしてくれた親に「ありがとう」。
親は遊びたい気持ちなどを我慢して頑張ってくれた子どもに「ありがとう」。
強烈に受験を勧めた親ならなおさらそう言ってあげてほしいと思います。
受験は、子どもの勉強も大変ですが、親の心配、サポート、そしてお金も大変です。
その労力や資産を投じるのであれば、結果だけでなく家族のいい経験にできるようにいろいろと工夫してみてはどうでしょうか?
熊野さん、ありがとうございました!
改めておさらいすると…
ポイント
- まずは子どもが受験に納得しているか確認
- ステップ1:受験は「子どもの課題」であることを確認
- ステップ2:合否だけでなくプロセスを目的にする
- ステップ3:サポート方法は全員で考える
- 受験が終わったら、お互いに「ありがとう」
冒頭に熊野さんも言っていましたが、これって「受験」だけでなく、スポーツや習い事においても通じることが多いですよね。
正直、親から子どもに「受験してください!」と依頼するのは気が引けるような気もしますが、そのスタンスは大切なのかもしれません。
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