日々、忙しく子育てに追われていると、ついついその目的を忘れがちになってしまうもの。
いったい、何を目指して子育てをすればいいのか?
親にとっては永遠の課題かもしれません。
今回は、アドラー式子育ての熊野英一さんの著書「育自の教科書 父母が学べば、子どもは伸びる」の中から、子育ての目的とその実現のために必要な親の姿勢について、解説していただきました。
知らず知らずのうちに、我々がしがちな子供の自立を妨げてしまっている行動とは、いったいどんなものなのでしょうか?
子供の自立を妨げる親の特徴とは?アドラーが語る「子育ての目的」

「子どもの自立を妨げる親」というと、おそらく多くの人は「過干渉」「過保護」というワードを想像すると思います。
確かにその通りなのですが、もう少し具体的に分けると、次のような特徴が挙げられます。
子どもの自立を妨げる親の特徴
① 「自立=一人で何でもできること」と勘違いしている
② 「自立させよう」と子どもをコントロールしようとする
③ 頼まれる前に、よかれと思って手や口を出してしまう
④ 親自身が自立できておらず、子どもとの境界線があいまい
どれも子どもを思う気持ちから生まれるものばかり。
だからこそ、自分ではなかなか気づきにくいのです。
ここからはアドラー心理学の視点で、一つずつ順を追って見ていきましょう。
まずは前提として、そもそも子育ては何を目指すものなのか、というところから。
子育てのスタートは“無免許運転”
子どもが産まれる前後は、夫婦ともに余裕がない時間が続きます。
妊娠がわかると、つわりや産前の体調不良がはじまり、いざ出産を迎えるとそれはまた大仕事。
産まれたからといって生活が落ち着くかと思えば、むしろ乳幼児のお世話はそれまで以上に気を遣い、想像を超える過酷さが待っていたりします。
そんな周産期だからこそ、「子育ての目的は何か?」というところについては、話し合ってすり合わせをしていない夫婦も多いはずです。
子育てという正解のないものについては、子どもが産まれて始まった時点で誰もが初心者。
例え、事前に学んでいたとしても、その通りにならないことも多く、実践していく中で培っていくことになります。
車で言えば、ほぼ“無免許運転”状態の二人が試行錯誤をしていくわけですから、そりゃぶつかることだってあります。
できるだけ大事故が起きないように注意して、小さな衝突を繰り返し、ちょっとした傷やへこみを修復しながら安定させていくものだと思います。
そんな中で、日々学び続けることは、きっと子育てを楽しむ機会を増やしてくれると感じています。
特徴①「自立=一人で何でもできる」と勘違いしている
アドラーの提唱する子育て
「子育ての目的は、子どもの自立である」
アドラー心理学の祖である、アルフレッド・アドラーは子育てについて、その目的を「子どもの自立」としました。
一般的に、自立とは「自分で考えて、決めて、行動すること」。
やりたいことや興味があるものに突き進む上でとても大切なことです。
加えてアドラーは「その人らしく生きていくことができること」としています。
しかし、一方で自立という言葉を勘違いしてしまっていると感じる人もいます。
「自立とは、誰に頼ることもなく、自分一人ですべてのことができるようになること」
そうではありません。アドラーの言葉を借りると
子どもの自立とは
「自立とは、保護者の保護から精神的に独立して、自分のことを信頼しながら、社会(他者)との適切で建設的な関係を構築して生きていくこと」
つまり、誰かに頼ってもいいのです。
どんな人でも苦手なことがあったり、できないことがあったりするもの。
それでも人を頼らず進んでいくことはとても難しいものです。
「ありのままの自分を認めること」を幸せに生きるために大切なことと考えるアドラーは、自分ができないことを受け容れて(自己受容)周りの人を信頼し頼りながら(他者信頼)社会の中で生きていくことが重要だと考えています。
自立を「一人で全部できること」と捉えていると、親は子どもが人に頼ることを良しとせず、つい突き放したり、逆に「一人でできるように」と先回りして教え込んだりしがちです。
これが特徴①です。
では、そんな人になるために大きな影響を与える親としての姿勢はどのようなものが望ましいでしょうか?
「子供の自立」の前に「親の自立」が大切

特徴②③「自立させよう」とする目線と、よかれと思っての手出し
「子どもを自立させるには、親としてどうしたらいいでしょうか?」
こんな質問をよく聞きます。
ただ、この質問の言葉には引っかかります。
「自立させる」という言葉は上から目線であり、子どもの自立を親の力によって実現させようとしているように感じるからです。
操作、コントロールしようとする姿勢は適切な関り方とは言えません。
これが特徴②です。
確かに未熟な子どもたちを目の前にすると、親としては「良かれと思って」あれこれ手や口を出してしまうものです。
その気持ちもよくわかりますが、果てしてそれは子ども自身が望んでいることでしょうか?
そして、子どもが自立に近づくためによいことでしょうか?
「何も言わなくてもどうせ親がやってくれるから」
子どもがそう感じてしまったら、それは自立を妨げていると思います。
これが特徴③の『よかれと思って』の落とし穴です。
もちろん、「何もしてはいけない」ということではありません。
先ほども言ったように、子どもの自立において「適切に周囲の力を借りること」も大切です。
であれば、まずは子どもから「これができないから助けてください」という依頼があってはじめて、親は必要な部分で適切にサポートすればいいのです。
「助けてください」と言えるスキルも、生きていく上ではとても大切なものです。
その練習に親として関わることができればいいと思います。
特徴④ 親自身が自立できていない
あなたは自立していますか?
そう問われて、迷わず「はい」と自信を持って答えられる人がどのくらいいるでしょうか?
あなた自身は、自分で考えて、決めて、行動して、自分らしく生きていますか?適切に人に頼ることができていますか?
考えてみればわかると思いますが、それは大人でも難しいこと。そして、大人だからといって必ずしもみんな自立しているかというと、そうではありません。
子どもの自立を妨げるような手出し、口出しをする親は、親自身が自立できていないケースが多いように感じます。
自立できていないから子どもとの境界線があいまいで、「この子は親である自分がしてあげないと自立できない」という思い込みのもと、土足で立ち入ってしまいがちで、それを世の中では「過干渉」「過保護」という風に言われるのです。
これが特徴④です。
実は①〜③の行動の根っこには、この「親自身の未自立」があることが多いのです。
子どもの自立を促す方法として効果的なのは、やはり「親自身が自立している姿を見せること」です。その見本を見せれば、子どもは自然に自立したいと思えるようになっていくはずです。
「育児」と「育自」はどちらも大事
親としては目の前にいる子どもを育てる「育児」、つまり「子どもの学び」で頭がいっぱいになりがちです。
でも、実際は無免許運転状態から始まった親の方も学び、自分を親として育てる「育自」もとても大切です。
そして、自分自身がしっかりと自立し成長していくことができれば、それは子どもにもいい影響を与えます。
子どもの自立を促すために、まずは親である自分自身が自立できているか?という問いから始めてみてはどうでしょうか?
熊野さん、ありがとうございました!
改めておさらいすると…
ポイント
- 自立は、全部自分でできるようになることではなく、他者と協力することも含め自分らしく生きていけるようになること
- 「させる」という上から目線で関わるのではなく、依頼があった時に必要なサポートをする
- 大人だから自立できているとは限らない。子どもの自立を考える前に、まずは親自身が自立する
正直なところ、さすがにいい歳だし自分は自立できているものと思っていましたが、確かに改めて問うとちょっと不安になりますよね。
まずは自分の自立について正面から向き合っていきたいと思います。
著書のご紹介
