もし子どもが友達の悪口を言ったら!?親が注意する前にやるべきこと

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もし子どもが友達の悪口を言ったら!?親が注意する前にやるべきこと

子ども同士にも社会があって、そこにもいろいろなことが起こるもの。

そんな中、わが子が家で友達の悪口を言っているのを聞いたら、あなたはどうしますか?

もちろんできればやめてほしいところではありますが、親としてどのように対応したらいいのでしょうか?

アドラー式子育ての熊野英一さんにアドバイスを聞きました。

大人でも悪口を言いたくなるもの

大人でも悪口を言いたくなるもの

質問者
週末に家で遊んでいたら年長の娘が同じクラスの友達の悪口を言い始めました。

とりあえず、言いたいことを全部聞いて、そこまで根深いものではなさそうかなと思ったのですが、あまりいいことではないかなと思いました。

悪口を言わなくするためにはどうすればいいでしょうか?

私は企業や団体などを対象としたセミナーだけでなく、個人のカウンセリングをすることも多いのですが、その中でも、家族や親戚、仕事関係の人など周囲の人たちのことを悪く言う人はとても多いと感じます。

もちろん、これは大人のケースです。

大人でも言うことですから、子どもが言ってもおかしくないですよね。

むしろ、広く捉えると、人間ってそもそもそういうもので、口にするかは別として、悪口を言いたくなることはほとんどの人にあるのではないでしょうか?

悪口を言う目的を考えてみましょう。

多くのケースを振り返ってみると、その裏側には「自分が頑張っていることをわかってほしい」という思いがあるように感じます。

「こんなに頑張っているのに」「こんなに大変なのに」きっと、そんなうまくいかないことについて、その原因や責任を周りの人たちに求めて、悪口を言うことで正当化しているところもあると思います。

もちろん、その人が頑張っていないわけでもなければ、おかしなことをしているわけでもないのですが、周りを落として安心する方法をとったところで、本当に望んでいる目標達成ができるわけでなく、単に現状に安心するだけにとどまってしまいます。

そう考えると、悪口を言うのではなく、そんな現状を打破するためにどうしたらいいかと建設的に考える方が、目標達成に近づく。

こうして落ち着いている時はそう考えられるでしょう。

しかし、その建設的な行為をするのもまた体力や勇気がいることです。

それができないというのは、典型的な「勇気がくじかれている状態」だと考えられます。

この考えを今回の娘さんに当てはめても、同じ事が言えると思います。

娘さんにはきっと「わかって欲しい」という思いがあって、それを伝えるためのストーリーの中に「友達の悪口」が出てきているだけかもしれないのです。

だからこそ、もしも「友達の悪口を言っている」という行為だけにフォーカスして、頭ごなしに否定をすると、娘さんは「この人は自分のことをわかってくれない」と感じて、より勇気がくじかれてしまう恐れがあります

質問をくれたパパのように、まずは言いたいことを言ってもらう、という対応はその点でとてもいいと思います。

悪口を言うに至った子どもの気持ちを知ろう

悪口を言うに至った子どもの気持ちを知ろう

人はなかなか本心を打ち明けません。

みなさんにも覚えがあると思いますが、本心を言うことで不利益を被ったり、間違いを指摘されたり、そんなことが怖いと感じるのは大人も子どもも同じです。

そんな中で、子どもがわかってほしいと思っていることを聞き出すにはどうしたらいいでしょうか?

アドラー心理学では、よく「インタビューする」と言います。

要はこちらの価値観や言いたいことを置いておいて、相手の気持ちにフォーカスして聞き出すやりかたです。

こうすることによって、子どもが悪口を言う行為に至った裏側にある、いわば一次感情を聞き出していきます。

悲しい、寂しい、苦しい、もしくは、本当は仲良くなりたい、そんな気持ちを抱えているかもしれません。

私がカウンセリングなどで本心を聞き出すときによく使うのは「もしかしたら」という言葉です。

例えば「もしかしたら、何かガマンしてない?」「もしかしたら、その友達と仲良くなりたいんじゃない?」といった具合に、話し出す時につけるのです。

この一言がつくだけで「断定的にならない」つまり「決めつけていない」というメッセージを相手に伝えることができます。

話を聞き出す上でもっともやってはいけないことは、聞く側の価値観や考えの基に正解のようなものを勝手に持って、相手の言うことを正しいと間違っているとでジャッジすることです。

この状況では相手は安心して本心を話すことはできません。

その根底にあるのが、その正解、相手の本心を勝手に決めつけてしまうことです。

また、よく使われる「どう思っているの?」「どうしたいの?」という質問もまた本心を聞き出すことにはあまり向いていません。

どう思っているか?どうしたいか?そもそもよくわからないし、うまく口にできないから困っていることが多いからです。

もしかしたら、とこちらで例示を示すことで、相手は「はい」と「いいえ」、もしくは「ちょっとあるかも」「少し違う気がする」など答えやすくなります。

そんな方法をとりながら時間をかけて、本心に迫っていくことをオススメします。

本心がわかったら、あとはそれを叶えるためにどうしたらいいか?そんな視点で一緒に考えればいいと思います。

いい方法が浮かばないこともあるかもしれませんが、何より同じ方向を向いて一緒に考えた経験は信頼構築にとてもいいでしょう。

そこまでした上で、最後には、「悪口を言ったり、誰かを悪者にしなくても大丈夫だよ」と伝えてあげましょう。

それがうまく伝わった時に、悪口という方法を使わないで思いを伝えてくれるようになるのではないかと思います。


熊野さん、ありがとうございました!

改めておさらいすると…

ポイント

  • まず頭ごなしに「悪口を言ったこと」を否定しない
  • 「もしかしたら」と前置きをして決めつけないスタンスで本当の気持ちを聞き出す
  • わかってほしい気持ち、本心を叶えるための方法を一緒に考える
  • 悪口を言ったりする必要はないことを伝える

わが子に限らず、誰かが言っている悪口を聞くのはあまり気持ちがいいものではないので、反射的に否定してしまいがちです。

でも、その奥にある思いにフィーチャーしてみると、あなた自身、悪口の聞こえ方が変わってくるかもしれませんね。

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