子どもが産まれた時はうれしさや感動で胸がいっぱいになるところですが、そのあとに請求書を見てギョッとするなんてことも。
今回は意外とみんながどのくらいかかったか知らない「出産費用」についてがテーマ。
公式LINE「パパしるべ総研」のメンバーなどに向けて、NPO法人ファザーリング・ジャパンと共同で実際にかかった費用やリアルに感じたこと、気になる自己負担額などをアンケートで聞いてみました。
あなたはどう感じた?出産費用
子どもが誕生するのはとってもうれしいこと、でも、余りにお金がかかるとちょっと・・・。
出産すると、健康保険などの公的医療保険から子ども1人につき42万円が支給されますが、それでまかなえないケースも多いと聞きます。
(編集長もまかなえませんでした)
具体的にみんないくらくらいかかっているのか?
また、その金額をどう感じているのか?
今回はリアルな声を聞いてみました。
まずは、実際にかかった費用に関して高いと感じたかを聞きました。
出産費用、高いと感じますか?
高いと思った:60.0%
妥当だと思った:33.0%
安いと思った:7.0%
ここでは具体的な金額ではなく、あくまで個人的な感想を聞いた形です。
6割が高いと感じていて、おおむね3割が妥当、安いと感じているのは1割に満たない結果です。
それぞれどのような背景があってそう感じたのか?
具体的なコメントをみていきましょう。
高いと思った
- おいしくない病院食で、対応も細やかではなかったのに、こんなにかかるのかと思った。これでは何人も産むのは無理ですね。個室費用も高額でした。
(自己負担10万円ほど) - 近くの産院が豪華なところではあったが、市民病院が近くにあるわけでもなく、そちらはすぐに埋まるため、安いところを選べない場合もあるから。
(自己負担30万円) - 医療費で10万円以上は経験なかったので、単純に高く感じました。里帰り出産だったので、そこまでの交通費(飛行機代とか)が一番かかったかも。
(自己負担数万円) - 複数の近隣病院では普通分娩でも60万円〜の選択肢しかなく、出産一時金で賄えるような病院自体ない。出産だけでなく、他にも色々とお金がかかるため出産のハードルは高いと思う。
(自己負担20万円程) - そもそも出産するのに費用がかかることを知らなかった。無痛分娩など、費用がかかるメニューを選んでいるならまだしも、普通分娩だったのに…。
(自己負担額11万円) - 出産費用は助成されている感がありますが、退院までいくらかかるか分からなかったから怖かった。
(自己負担 1人目8万円くらい、これから2人目で20万くらいの見込み) - 無痛分娩なので仕方ないと思いつつ、欧米では当たり前なのにと思った。
(自己負担50万円) - 出産費用(医療機関への報酬)としては妥当だと思いますが、自己負担額は高いと思います。ここまで高いと出産を諦める人も多いのではないかと思いました。
(自己負担34万円) - 高いイコール安心かと思い、投資した感覚。
(自己負担80万円) - 何にどれくらいの費用が掛かっているか明確でないため、高く感じた。
(自己負担13万くらい) - 何も豪華なことはない普通の総合病院だったが自己負担が20万円以上で、思ったよりもかかると感じた。
(自己負担23万円) - 個室だったし都心部だったしある程度仕方ないとは思いつつ、給料何ヶ月分だよという感じでした。
(自己負担60万円くらい) - 東京都某産婦人科でしたが食事が豪華すぎた。
(自己負担60万円くらい)
妥当だと思った
- 費用としては高いと思ったが、看護師さん、助産師さん、産婦人科医、麻酔科医など、総勢8人くらいの体制で出産に臨み、24時間体制で対応してくれていた。命の危険がある出産のリスクを最大限にコントロールしていただいていたことが感じられ、いろいろ考えると妥当な金額であると思う。
(自己負担60万円くらい) - 高級な病院だったのと、子どもの命を考えると高くてもしょうがないと思った。
(自己負担30万円) - 子どもを望んで、多くの人のお世話になりながら、人生の一大事の負担が、自己負担数万円~十数万円ですんだ、という通常の状態の場合、妥当あるいは手厚いくらいと思います。そして、わたしたち夫婦は通常でしたので、個人的にも妥当以上にあたると考えました。
(自己負担数万円) - 個室でゆったり過ごせたので。
(自己負担9万円)
安いと思った
- 個人病院で、休日だったのに、自己負担がとても少なかったから。
(自己負担3万円) - 人がこれから100年生きると考えたり周りの喜びからやすい
(自己負担0円) - もっとかかると思っていたから。
(自己負担15万円)
金額に対する感じ方は、それぞれの金銭感覚や、出産に対する思いで変わってくると思うので、一概に捉えることはなかなかできないところ。
しかし、具体的な金額に関わらず高いと感じている人がこれほど多いということは、いい状況とは言えないですよね。
また、「いくらかかるかわからなくて怖かった」「これでこんなにするのか」というコメントも多かったことからは、金額そのものというよりも、金額の根拠というところへの不満が大きいと感じました。
出産の費用は、病院にかかってはじめてわかるもので、あんまり比較することも難しい。
また、地域によっては選ぶことも難しい環境もあるので、納得感が欲しいところですよね。
かかるのは出産費用だけじゃない
今回のアンケートでは、さらに出産費用、また妊娠などに関する意見を自由に書いてもらいました。
- すでに健保等で手当が出るので、これ以上手当を増やすほどの必要性(優先順位)は高くないと感じるのと、そもそも今医療費が増えている中で、例え手当を増やしたとしても結局それの元手となる保険料などを払っているのは現役・子育て世代なので、なんでもかんでも企業やサラリーマンからの原資から手当を増やす今の傾向は懸念があります。
- もう少し分かりやすくなれば、費用の目処を立てやすい
- 安い方がいいとは思うが、スタッフのお給料を払えるようにして欲しい。
- 医療費上限補助を使って、一時金も使って、結局手出しもあるというのは絶対高いと思う。少なくとも民間の豪華なところ以外は誰でも出産にかかる分は全て補助してもらえるのがいいと思う。
- 一時金の支給ではなく、原則無料とすべき。豪華な設備や食事など、一部の費用はオプションとして実費負担にすれば良い。
- 高額だとは思うが、助産師さんの24時間対応など、致し方ないとは思う。が、自己負担が出産の足かせになるなら公的扶助を増やすべき。
- 産むだけでも数十万かかり、それまでの健診費用でもさらに数十万かかる。育児用品の準備もあり、家族人数が増えるため住居費や光熱費も加算されていく。まともに経済計画していたら「子どもを安心して産める」という日は一生来ない。
- 子どもにかかる費用(医療費、教育費含め)は無料にして欲しいです。社会(人類)全体の子どもたちなので。
- 手当を増やしたらそれに伴い病院も値上げするだろうし、現状のままでも良いと思っている。
- 受診してみないと費用が分からないので、近隣の病院·クリニック·助産院などの出産費用の概略が分かる資料を公開してほしいです。
- 出産にこんなにお金がかかるなんて、しかも地方によって全然違うことにびっくりしました。
- 先立つものがなければ、妊娠すらも望めないのは、とてもおかしいと思います。
- ママの付き添いで病院に行った時に会社休んだ時のお給料も。
- 国や市の保証や多様な出産のあり方など教育の中で学べると良いなと思いました。
- 世の中に不安を募る情報と、苦しいネガティブなイメージばっかりが子育てにありすぎる。根本的に子どもが少なくなり肩身が狭すぎる。もっと愛おしく温かいイメージを。
- 色々な申請手続きも、身重な状態や、産後の育児時期に行う事は非常に困難であり、遠い役所まで行く事がなくても、サポートして差し上げたら良いと思います。
- 重要なのは出産後のサポートだと思っています。産後うつのケア、地域の繋がり作りなどを行政に支援して欲しいと考えます。
- 出産・子育てにかかる費用を、子育てをする世帯側に負担させる仕組みや、その背景にある考え方に違和感を覚える。日本は、少子化や高齢化といった社会問題を解決するつもりがない(プライオリティが低い)国なのだと強く感じる。
- 出産への補助も大事ですが、この先子育ての支援や回りへの理解を深める教育が必要と感じる。
- 検診の費用、手出しがいくらなのかなどが明確であればよかった。
- 北欧とかである妊娠したら赤ちゃんに洋服などをプレゼントする制度があるが、あれを日本でもしてほしい。企業で行ってくれるところはあるが「初産に限る」ところが多くて頼めなかった。経産婦でもそういったサポートがほしい。(我が家は11年振りの出産だったので特にそう感じました。)
- 費用的なものよりも、地方の産科不足を解消してほしいです。
先ほど、里帰り出産で旅費が高かったというコメントもありましたが、その他にも検診の金額もかなりかさみますし(クーポンだけでは追いつかない)仕事を休むことでの収入への影響もあります。
また産後は産後でどんどんお金は出ていくわけで・・・。
そんなことを考えるとキリがないですね。
そしてコメントにもあったようにそういうネガティブなイメージを出し過ぎることもメディアとして課題があると感じます。
全部、ポジティブに発信できるわけではないですが、ポジティブな面を伝えることにも重きを置いた方がいいとも考えられます。
もちろん制度が良くなり、無償になることや、負担が軽くなることはうれしいし、多くの人に望ましいことですが、その背景にあるお金を誰が負担するのか?病院側はどうするのか?考えることはたくさんありそうです。
そういうことを理解するための情報を広く得られる環境や、背景まで含めて知るための教育が必要という意見にも共感できました。
とにかく、まずは安心安全に産むことができる環境があること。
そして、それをどのように負担が少ない状況で進められるか?このあたりはまだまだ議論が必要だと思います。
その議論が続いてもらうためには、我々当事者は声をあげ続けなければいけないですね。
そして、これらのアンケート結果をもとに「出産費用等の負担軽減を求める議員連盟」にファザーリング・ジャパン理事の高祖常子さんから以下のように伝えました。
出産費用の課題と要望
- 出産一時金のアップ(オプションを付けない場合、無償で出産できるようにして欲しい)
- 病院の費用はスライドして上がっている様子もあり、自己負担額が不透明。明確にして欲しい。
- 出産が夜間や休日などになると、自己負担が増えるのは回避して欲しい。
- 里帰り出産時の一時金の手続きをわかりやすくして欲しい。
そのほかの要望など
- 健診に補助券があるが、プラスして費用が掛かり、毎回違う金額だったりしてお金の見通しが立てにくい。
- 妊娠経過により健診回数が増えたり、予定日が過ぎると健診の補助券が足りなくなる。
- 補助券は地域をまたいで使えるようにして欲しい。
- 男性が健診同行や、産前講座を受けられる体制作り。(有給扱いにするなど)
- 産後ケア、粉ミルクや紙おむつにも助成を。
皆さんの声、しっかり届けました!
今回も、ご協力いただき本当にありがとうございました!
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