パパにとって娘は本当にかわいいもの。
ただ溺愛しすぎると、その姿にママが呆れるケースもあるかと思います。
今回は娘を溺愛しすぎて、妻から苦言を呈されることに悩むパパからのご相談です。
パパが溺愛しすぎることによる心配な点、ママがいい顔をしない理由について、アドラー心理学を基にしたアドラー式子育ての熊野英一さんから具体的なアドバイスをいただきました。
娘を溺愛しない程度にしておきませんか?
毎日写真を撮りまくって、仕事以外の時間はほぼ娘のために使っています。
でも、妻はそんな私に対して「いいかげんにして!」と怒ってきます。
娘が大好きなことはいけないことでしょうか?
私は男の子しか育てていませんが、女の子、ましてや一人娘とあってはかわいくて仕方ないでしょう。
そして、その姿に妻がモヤモヤするという話もよく聞きます。
もちろん男女反対で、妻が息子を好きすぎてモヤモヤしている男性の話も聞きます。
いったいなぜ、どんなことにモヤモヤするのか?一緒に考えていきましょう。
もちろん、娘を大好きなのは悪いことではない
質問の最後にある「娘が大好きなことはいけないことでしょうか?」という問いに対しては明確に「そんなことはありません」と答えることができると思います。
男の子であっても女の子であっても、親が大切に思い、愛情を注ぐことは成長していく上でとても大切であることは間違いありません。
ただ、何事も節度が必要です。
「溺愛」という言葉からもわかるように、好きを通り越してしまい溺れてしまっていると、自分でコントロールできない状態にあるわけで、ちょっと心配になることも間違いありません。
「頼まれたらなんでもやってしまう」「ねだられたらなんでも買ってしまう」「たとえ間違っていてもそれを正すことができない」という盲信的であることは、一般的な人と人との関係として健全とは言えません。
親子でいえば、愛情を注いでいるのではなく「甘やかしている」とも言えますよね。
ともすれば、娘を愛するがあまり心配が増幅して過保護、過干渉になってしまうことも考えられます。
この状況に妻が苦言を呈しているのであれば、それは客観的に見ておかしなことだとは思わないでしょう。
男性観に悪影響?
時々「そんなに甘やかしていたら、男ってそういうものって思っちゃうでしょ!」という声を聞くこともありますよね。
これに関しては、必ずしもそうではないと思います。
人はだいたい10歳くらいまでの間に、自分はこうやって生きていくという“ライフスタイル”を作っていくと言われます。
この期間は家族で過ごす時間も長いので、親や家族の影響が大きいということもありますが、親以外の影響も少なくありません。
保育園や幼稚園の同級生、男性の保育士をはじめ、娘さんと関わる男性はたくさんいます。
その中には、当然パパのようには言うことを聞いてくれない男の子もいるでしょうし、時にはパパよりも言うことを聞いてくれる男性もいるかもしれません。
たくさんの男性に関わり成長していく中で、その子なりの男性観は出来上がります。
娘さんの男性観がパパだけで作られるものではないので、パパひとりが甘やかしていたとしても、「男性全員がそうだ」ということにはならない可能性も充分にあることは忘れないでほしいところです。
妻が娘の溺愛にモヤモヤするもうひとつの可能性
なんで娘ばっかり
娘の将来を案じているケースの他にも、妻がモヤモヤする可能性は考えられます。
それは、「娘の言うことは聞くのに、自分の言うことは聞いてくれない」「娘の欲しいものは買ってあげるのに、私には買ってくれない」という、いわば嫉妬の可能性です。
当事者の男性からすれば「そんな、娘と自分を比べるなんて大人げない!」と思うかもしれませんし、「娘が欲しいものと妻が欲しいものは金額が違うんだよ」なんて思うかもしれません。
もちろんそれはある意味、正論なところもあると思いますが、「自分がないがしろにされている」「満たされていない」と感じる妻の思いを考えた時に、そう切り返す対応はどうでしょうか?
娘ばかりを優遇しているように見える夫に、腹を立てている妻に共感することはできませんか?
もし、お子さんが息子さんで妻が溺愛していて、自分がほったらかしにされていると感じたら気分はいいでしょうか?
むしろ、子どもが小さいうちに妻が自分の相手をしてくれないとすねる男性の話の方がよく聞きますよね。
まずは、改めて妻との関係を見直してみてはどうでしょうか?
おそらく、そこがあなたの本来の課題だと思います。
言葉を聞くより妻の行動を見る
もしあなたは妻からほったらかしにされていると感じた時に、「もっとこっちも見てほしい」と率直に言えるでしょうか?
これはとても勇気がいることだと思います。
何せ言ったところで「無理」とけんもほろろに返されてしまったら、そのショックたるや想像を絶しますよね。
あくまで可能性ではありますが、妻も同じように考えている可能性は十分にあります。
口では「寂しい」とか「もっと見てほしい」とは言っていない。
むしろ「あなたなんか!」的な攻撃的な姿勢を見せているとしても、本心はわかりません。
アドラー心理学では「その人の言葉を信じず、行動を見た方がいい」と言います。
まずは妻をじっと観察して、共感するところからはじめましょう。
間違っても「寂しい?」なんて聞くのは火に油を注ぐことになるので避けた方が賢明です。
本当に伝えないといけないことは「ちゃんと見ているよ」「大事にしているよ」というメッセージ。
それを妻が感じるまで続けることです。
現状を聞く限り、妻との関係、娘との関係はいずれもいい状態とは言えなさそうですし、だからこそ家族全体の雰囲気も悪くなりがちだと思います。
一緒に暮らしていくためにはみんながハッピーに過ごせる空気を作ることは大切なので、自分の現状を見つめ直して、反省の気持ちを胸に、二人と関わってみてください。
ただ、いずれにしても妻も娘も全力で愛することはとても素晴らしいことなので、節度を持って溺れない程度に愛してあげてください!
熊野さん、ありがとうございました!
改めておさらいすると…
ポイント
- 娘の男性観はパパひとりで作られるわけではないけど、節度は必要
- 娘のことばかり見て、妻をないがしろにしていないか考えてみる
- まずは妻のことを見て、ちゃんと見ていることを伝え続ける
本来安心空間であるべき家庭の中で、ないがしろにされているというのは男女を問わず本当に辛いことです。
かつて、家に居場所がなくて場末の居酒屋で飲んだくれていた男性たちは、もしかしたらそういうことだったのかもしれないと思うと、ちょっと心が痛いですね。
そういう人が増えないようにまずは夫婦でお互いに向き合っていきましょう!