子育て中、子どもに大きな声で怒鳴ってしまう…子育てあるあるですよね。
「子どもへの影響を考えるとできれば怒りたくないところですが、どうしたら怒鳴るのをやめられるでしょうか?」
今回は、パパしるべ編集部に届いたそんな読者さんの質問に対して、アドラー心理学を基にした子育てメソッドを広めている、アドラー式子育ての熊野英一さんに、怒りをコントロールする方法を回答していただきました!
パワハラ、虐待…怒鳴ることの悪影響とは
保育園に通う息子、いつもこっちが困るようなことばかりするので、どうしても突発的に腹が立って強く言ってしまいます。
どうしたら怒らずに話せるでしょうか?
まず、お伝えしたいことがあります。
それは“怒っている人は、何かに困っている人”だということです。
そして、その困惑を「わかってもらいたい」という気持ちを伝えるために、「怒り」を使っているのです。
私はカウンセラーとしても活動しています。
パパ、ママからの子育ての悩みのみならず、夫婦関係の悩み、職場での人間関係の悩みなど、相談領域は多岐にわたりますが、その多くは「自分の感情のコントロールが難しい」というものです。
瞬間湯沸かし器のようにブチ切れて、大声を出して相手が恐怖で泣いてしまったりした後に、ハッと我にかえって後悔する。
慌てて抱きしめて、ごめんね、と謝って。
なんとか必要以上に傷つけなくて済んだかな、なんて思っていると、また子どもが同じことを繰り返すので、気づいたらまた腹が立って強く言ってしまう。
こんなことの繰り返しです。
どうやら、私は無意識のうちに怒りが発動してしまうおかしなクセを持っているようで。
どうしたら、怒らない人になれるんでしょうか?
こんな想いをお話ししてくれるクライアントは後を絶ちません。
今回ご質問の方も同じようなお気持ちなのではないでしょうか。
最近は「アンガー・マネジメント」という言葉も一般的になってきました。
職場では、パワーハラスメントなどに直結しますし、家庭においては夫婦関係の悪化や、立場の強い親から子どもへの勇気くじきは「虐待」として認定される可能性があるなど、「怒りの感情」には望ましくない人間関係につながる危険性があります。
でも、心配ご無用です。
アドラー心理学の知見を生活に取り入れれば、誰もが怒りの感情をコントロールできるようになります。
というか、もっと正確に言うと、皆さんはすでに、完璧に感情をコントロールできているのです!
アドラー式では、感情に任せて怒る人はいない
ご質問の方の日常を想像してみます。
例えば、「動画を見るのは30分」と約束したはずなのに、こちらがバタバタしているのをいいことに、30分を超えても動画視聴をやめません。
そして、それを注意したら「まだそんなに時間たってないもん」「パパだって、ずっとスマホ見てて、ママに怒られたりしてるじゃん」などと、減らず口を叩いてきます。
思わずブチ切れる瞬間です。
「パパはお仕事のメールをスマホでチェックしているの!って今、それ関係ないだろ!」
すると、大きな声で怒鳴っているパパの手に持っているスマホの着信音が響きます。
画面をみると大事な顧客の名前が。
そして慌てて電話に出ます。
あれ?
一瞬にして、子どもに対する怒りの感情を消し去っているじゃないですか!
そして、超ご機嫌モードで顧客の電話対応ができているじゃないですか!
こんな時に、怒りの感情のコントロールができなくて、顧客に怒鳴り散らすようなことは100%しないはずですよね?
このことからも感情が無意識のうちに先走っているのではないことはわかります。
そう、私たちは、誰もが完璧に感情のコントロールができているんです。
私たちは「相手が誰か?」を見すえて、その相手に自分の気持ちをわかってもらうという「目的」を達成するために、どの感情がいちばん有効かを考え、意識的に、瞬時に「怒り」を選択したり、「喜び」を選択したりしているのです。
つまり、「怒り」は自ら選択しているもの、とアドラーは言っています。
怒鳴るのではなく、しっかり伝える
人間はだれしも、自分の心のなかにある「落胆、心配、不安、寂しさ」などの一次感情を相手に伝えるために「怒り」という二次感情を使ってアピールするココロのクセを持っています。
「怒りで相手に気持ちを伝えよう」とするのは、子どもっぽい所業。
まるでワガママな子どもが、かんしゃくを起こして駄々こねて、なんとか自分の思いを遂げようとしているようです。
大人としてはマナー違反です。
さらに言えば、自分の子どもが、何か思い通りにならないとすぐに泣いたりわめいたりしてアピールしてくることに困っているとしたら、それは、すぐに感情的に「怒り」を選択する、パパやママを真似しているだけなのかもしれませんよ。
わざわざ、子どもの悪いお手本になるのは、もうやめにしましょう。
「落胆、心配、不安、寂しさ」などの一次感情が心に湧きあがってくるのを観察したら、それをそのまま、自分が何を感じているのかを伝えるようにしてみましょう。
「パパは今、君にウソをつかれて、とっても残念な気持ちがしているよ。それにそんなに暗いところで動画をみてたら、目が悪くなるんじゃないかって、心配だよ」
1ミリも「怒り」を使って、大声でアピールすることなく、しっかりと子どもに「わかって欲しいこと」が伝わっています。
これを繰り返していれば、子どももそんなパパの振る舞いを真似して、兄弟ゲンカや友達とのイザコザが発生した際に、暴力や「怒り」を使う作戦を取らなくなるでしょう。
「喜怒哀楽」という言葉があるように、怒りそれ自体は、人間にとっての自然な心の動きのひとつですから、それ自体を問題視する必要はありませんし、怒りを感じている自分を否定する必要もありません。
ただ、人間が、どのような「目的」を持って、わざわざ「怒り」を選択しているのか、この心のカラクリを知っておくことは、今後、穏やかな気持ちで毎日を過ごしたいと願うみなさんにとってとても大切なことです。
ぜひ、もう一度怒りについて考えてみてください。
熊野さん、ありがとうございました!
- 怒りは関係性を悪くする危険性があるもの
- 無意識に怒ることはない。自分で怒ることを選んでいるだけ。
- 怒りは二次感情。その基になった思いを怒りを使わずに伝えることが大事。
参考になりましたでしょうか?
熊野さんのアドラー式コミュニケーションの講座では、怒りのコントロールだけでなく、コミュニケーションをスムーズにするための様々なコツを学ぶことができます。
気になった方はぜひチェックしてみてください!
また、このように調べてほしい!聞いてほしい!という質問や悩みがある方は、パパしるべの問い合わせフォームからメッセージを送ってください。