もっと余裕が欲しい!現役子育て世代アンケートで見えたみんなの望み~岡崎市子育て支援事業レポート~

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もっと余裕が欲しい!現役子育て世代アンケートで見えたみんなの望み~岡崎市子育て支援事業レポート~

愛知県岡崎市とNPO法人ファザーリング・ジャパンが協働で行う子育て支援事業では、市内で子育てをしているパパやママに向けたアンケートを実施しています。

今年度は家事と育児に関する分担がテーマ。

そこに届いた声や、イベントで共感を集めたコメントからは見えた、子育て世代が今望んでいるものとは?

アンケートの結果とともに詳しくご紹介します。

女性に偏るも意外と満足度は高い

女性に偏るも意外と満足度は高い

子育て業界で活動して、早くも20年近く経ったパパしるべ編集長のジョージです。

先日の記事でもお伝えしたように、パパしるべでも毎週パパ向けのアンケートを取っています。

そして岡崎市でも令和4年から、子育て世帯向けのアンケートを実施してきました。

何より皆さんの声をできるだけたくさん聞くことこそが、現状の把握と状況の改善につながると思って活動してます。

岡崎市で毎年実施してきたアンケート

  • 初回の令和4年度は1045件の回答
  • 3年目の令和6年度は1649件の回答と1.5倍以上に増加
  • 男性は初年度227件から今年度は465件と倍増

上記のように、積極的に声をあげようと言う人が増えている現状は本当にありがたいです。

家事分担の現状 女性トップは8割、男性トップは3割

家事分担の現状 女性トップは8割、男性トップは3割

岡崎市の子育てアンケート結果

アンケートの結果から、まずは家事分担についての現状を見ていきましょう。

  • 女性の分担率(分担している割合):8割(27.1%)と9割(21.5%)を合わせて約半数
  • 男性の分担率(分担している割合):2割(20.4%)と3割(26.2%)を合わせて約半数

男性の家事参画が増えているとはいわれますが、分担率(分担している割合)を見る限り、家事の負担は明らかに女性に偏っている現状がわかります。

にもかかわらず、家事の分担率の満足度については、男女ともに高い満足度を示す「7以上」の高い満足度の人が「女性:46.8%」「男性:50.5%」と半数前後であり、さらに女性でも満足度の平均値は「5.91」という結果なのは、ちょっと意外なところかもしれません。

一方、男女で大きく違いが出たのは、強く不満を持っているであろう3以下の人の割合。

「女性:25.6%」「男性:12.5%」と、家事の分担率について不満を持つ人は明らかに女性が多い状況です。

そもそも男性は家事の絶対量が少ないから満足度も高いという可能性は否めませんが、家事に関する女性の不満がSNSなどで多く見られる現象はこういった現状が影響しているように感じられます。

育児の分担は家事に比べて男性は頑張っている..?

育児の分担は家事に比べて男性は頑張っている..?

岡崎市の子育てアンケート結果

続いては育児の分担状況です。

  • 女性の分担率:8割(32.3%)と9割(25.5%)を合わせて60%に迫る勢い
  • 男性の分担率:3割(33.5%)と4割(18.9%)を合わせて約半数

家事同様に育児の負担も女性に大きく偏っており、育児の分担についてもおおむね近い傾向があります。

家事では男女ともに半数前後だった満足度7以上の高い満足度の人は、「女性:31.2%」(家事は46.8%)「男性:42.1%」(家事は50.5%)といずれも低下。

また、強く不満を持っているであろう満足度3以下の人についても、「女性:28.6%」(家事は25.6%)「男性:13.6%」(12.5%)と男女ともに微増しています。

いずれもわずかではありますが、男女ともに家事よりもたくさんやっている(分担している)と感じているようで、その分、負担感も大きく満足度が低く、不満が多くなる傾向なのかもしれません。

また、他にも女性は「もっと減らしたい(夫に分担したいけどできない)」という思いと、一部の男性に「もっとやりたい(時間的制約などでできない)」という思いが背景にあるようにも感じます。

「任せたい」と「任せてほしい」は見事にマッチ!

「任せたい」と「任せてほしい」は見事にマッチ!

今回のアンケートでは、男女それぞれに下記を聞きました。

  • (自分に)任せてほしい家事&育児
  • (パートナーに)任せたい家事&育児

その結果がなかなか興味深かったのです。

任せてほしい家事&任せたい家事

任せてほしい家事&任せたい家事

岡崎市の子育てアンケート結果

アンケートの結果

  • 女性が「任せたい」と思っている家事のトップ2「ゴミ出し」と「お風呂の掃除」は、男性が「任せてほしい」と思っている家事のトップ2にランクイン
  • 男性が「任せたい」と思っている家事のトップ2「料理」と「食品・日用品の買い物」は女性が「任せてほしい」と思っている家事のトップ2にランクイン

つまり、男女ともに「任せたい」と「任せてほしい」とが見事にマッチしているのです。

女性からすると、汚れるのを避けられるので「ゴミ出し」は任せたいでしょう。

ただし、ゴミを集めたり、分別したりするところからやることが前提だとは思います。

一方、「お風呂の掃除」は力仕事になるので、女性からすると男性に任せたいところ。

また、一部の男性からは「お風呂の掃除は妻が見ていないところでできるので、やっている最中にダメ出しされないのでやりやすい」という声を聞いたこともありますが、そんな要因もあって「任せてほしい」と思っているのかもしれません。

そして、忘れちゃいけないのが男女ともに「任せたい」と思っているものが、「食事の後片付け」と「リビングや部屋の掃除」です。

言ってみれば、男女両方が、自分はあまりやりたくないと感じているチキンレース案件なわけです。

任せてほしい育児&任せたい育児

任せてほしい育児&任せたい育児

岡崎市の子育てアンケート結果

アンケートの結果

  • 女性が「任せたい」と思っている育児のトップ2「一緒に遊ぶこと」と「お風呂」は、男性が「任せてほしい」と思っている育事のトップ2にランクイン
  • 男性が「任せたい」と思っている育事のトップ2「送迎」と「ごはん&ミルク、健康管理」は女性が「任せてほしい」と思っている育事のトップ2にランクイン

こちらも見事に、女性と男性で「任せたい」と「任せてほしい」育児がマッチしました!

そして、男女ともに「任せたい」チキンレース案件は「寝かしつけ」一択!

これはもう男女を問わず苦労するところですから納得ですよね。

家事と育児を総合すると、ここまで男女のニーズとサプライがマッチしているのはとても興味深く、互いに補完し合っている現状が見えます。

そして、とにかく男性は「お風呂」女性は「料理&食事」というところに集約されているのも面白いですよね。

パパママがもっと欲しいと思っている色々な余裕

パパママがもっと欲しいと思っている色々な余裕

共感シールは初の500枚超え!

子育てアンケートは、ここまでに見ていただいた選択のものだけでなく、フリーのコメントもたくさん届いています。

秋に行われた「みんなの声でつくる!おかざきこそだて会議2024」では、さすがに全部とはいきませんが、コメントの一部を抜粋して掲示し、遊びに来た皆さんには共感したものにシールを貼ってもらっています。

今回貼られたシールは521枚!

前回の408枚から大幅に増えて初の500枚超えを達成しました。

いったいどんなものに多くシールが貼られたのか?

共感シールが10枚以上貼られたコメントをピックアップしました。

現状の家事で改善したいポイント

岡崎市の子育てアンケート結果

「現状の家事で改善したいポイント」に届いた声はいずれも本当に共感を呼びそうな声ばかり。

中でももっとも多かったのは、2年前に実施したアンケートからずっと課題として挙がっている社会問題のひとつ「激務」について。

そして続いた「感謝やねぎらいの言葉」もまた定番です。

ただ、一方で男性から届いた「できないことを歯痒く思っている父親もいることを理解してほしい」という声にも21枚のシールが貼られたことは、時代の変化を感じる部分かもしれません。

家事を円滑に進めるために心がけていること

岡崎市の子育てアンケート結果

「家事を円滑に進めるために心がけていること」のトップはいわゆる便利な家電を使うことについて。

これは時短にもつながる上に負担も減るので、共働き時代を象徴しているように感じます。

一方「家事に関するみんなの素敵なルール」に届いた男性からの声、「ある程度手を抜いて完璧にできていなくていい」については40枚という今回最多のシールが張られました。

これは男女ともに「ちゃんとやらないといけない」というプレッシャーから解放されて心に余裕を持つためのことで、それに共感する人がこんなにも多いということでしょう。

現状の育児で改善したいポイント

岡崎市の子育てアンケート結果

育児については、ややシールが分散されたので家事に比べて10枚以上のコメントが少ない状況でした。

その中でも多く集まったのは「現状の育児で改善したいポイント」に届いた「精神的・時間的な余裕を持っていたい、子どもに優しく接したい」という切実な思い。

そして、「育児に関するみんなの素敵なルール」に届いた「死ななきゃOK」という、これまたプレッシャーから解き放ってくれるコメントでした。

共感シールが集まったコメントを分析すると、キーワードは「余裕」

激務の軽減や、家電利用で生まれる“時間的余裕”と“体力的な余裕”はもちろんのこと、互いに感謝したりねぎらったりすることや、「ちゃんとしなくちゃいけない」というプレッシャーから解放されることで生まれる“心の余裕”。

いろいろな意味で余裕ができることで実現できる「おおらかな家事育児」こそが、今回のアンケートでわかった多くの人が望んでいる姿だと感じます。

また、

  • 子どものかわいいを共有する時間をつくる
  • 2人で仲良く育てる
  • 子どもの良い点があったら旦那に必ず話す、トラブルは一緒に解決方法を考える

といったコメントへの共感が多かったことから、「夫婦で一緒に仲良く」という前向きな姿勢もうかがえました。

かつては、あまり夫婦が仲良くやっているという姿を表立って見せないことが美徳のようになっていましたが、今はこうして惜しげもなく、堂々と見せることができる世の中に変わりつつあると思います。

働き方などの社会環境は簡単に変えることはできなくても、夫婦で余裕をもっと増やすためにはどんなことをしていけばいいのか?

我々は岡崎市とともにそこに役立つ知識や心構えをこれからも伝えていきたいと思います。

ぜひご期待ください!

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