家事はもちろん、様々な準備や片付けなど何かと忙しい子育て。
それに加えて仕事もあるとなると、本当にいくら時間があっても足りないところです。
そこで、自分の時間が取れないと悩んでいる人に向けて、アドラー式子育ての熊野英一さんにアドバイスを聞きました。
忙しい中で自分の時間を作る、魔法のような方法はあるのでしょうか?
自分の時間は後回しにしていいものではない
普段から妻と二人で協力して家事も育児もしていますが、やらなければいけないことが多く時間が足りません。
自分の時間などまったくなく、だんだんイライラすることが増えてきたように感じます。
この忙しさの中で自分の時間を取る方法なんてあるのでしょうか?
ご質問から夫婦で家事育児、そして仕事と奔走している姿が目に浮かびます。
まずは何より本当にお疲れ様です。
これは子育てをしている多くの人が悩んでいることであり、全力で頑張っているからこそ、このようになっているのだと推測します。
また、夫婦でともに思いやり、子どもを大切にしている様子からは優しさも感じられます。
やらなければいけないことの中に入れてほしいもの
子育て中は、本当にやらなければいけないことが多い。
これは疑いようがないことだと思います。
子どもたちのご飯や洗濯、掃除をはじめとする家事はもちろん仕事だって一人でしているわけじゃないので、「やらなければいけないこと」は本当にたくさんあります。
では、その「やらなければいけないこと」に「自分の時間を取ること」、つまり自分がリフレッシュする時間は含まれていますか?
もちろんそれは妻も含めて。
かつて無限に働くのが美徳とされてきた時代もありましたし、どちらかというと今の子育て世代はまだその時の価値観を引きずっているところがあるように感じます。
自分から休みたいなんて言ってはいけない、周りのみんなもがんばっているのに自分だけ休むなんて、そうやって自分たちのことを後回しにすることが当たり前になってはいませんか?
すでに支障をきたしている
「自分のことを後回しにすればうまくいく」という考えも浮かびがちですし、実際にその方法をとった方が罪悪感もないかもしれません。
でも、ご質問を見る限りイライラすることが増えてきているわけです。
これは精神的にいい状態であるとは言えませんし、それによって周りの人に余裕を持って接することができなければ、悪い影響を与えてしまうことだって考えられます。
さらに、精神的なダメージから体調を崩すことだって考えられます。
一見、自分がガマンすることで滞りなく生活が回っているように感じられるかもしれませんが、客観的に見ればもはやギリギリの状態だと思います。
長い目で子育てをしていくことを考えた時に、自分の時間を取ってリフレッシュするなど精神的なケアをすることは、子どものご飯を作ることにも負けないくらい大事なことのはずです。
ご質問のパパ自身もそうですし、妻にとっても同じように大事なこと。
自分をケアする時間の優先順位を下げることは短期的には良くても、長期的に見ると決してオススメできないこと。
まずは今、夫婦が思っている「やらなければいけないこと」の中にそれぞれの「自分の時間」を入れて、その上でどうやって家庭を回していくか考えてみましょう。
勇気を持って休みましょう
今が「何かあったとき」
仕事はしなくてはいけないかもしれません。
子育てもしっかりとやらないいけないかもしれません。
でも、そのために体や心を壊してしまっては意味がありません。
はっきり言えば限界を感じているのであれば、勇気をもって、自分から「休む」ことが必要なんです。
もちろん、無断欠勤をしたり、子どものことを放っておくということではありません。準備と調整は必要だと思います。
有給があるなら使ってください。
「何かあったとき」のためにとっておこうと考える人もいると思いますが、だとすれば今が使うタイミングです。
聞いている限り、すでに「何かあったとき」の中に含んでもいい状態だと感じます。
有給が取れない、給料が減ったとしても休んだほうがいいでしょう。
お金が減ることは困りますが、健康でなくなった方がよっぽど困るはずです。
どこかに監禁されて強制労働をさせられているわけではないはずです。
誰かに文句を言われても、自信を持って自分のケアをする宣言をしていいと思います。
仕事で急な出張が入ったらその時間を作りますよね。
大事な会議が入ったら調整しますよね。
あなたが自分をケアすることはそれらと同じくらい大事なこと。
絶対になんとかできるはずです。
最低限の家事育児を見直してみる
家事や子育ても、時には最低限のところまでレベルを落としてもいいと思います。
子どものご飯を買ってきて、洗濯や掃除は毎日しなくてもどうにかなります。
きっと今も自分たちの中の「最低限」をやりたいと思っているんだと思いますが、それで二人が立ち行かなくなってしまっているようであれば、その「最低限」は見直す必要があるかもしれません。
夫婦だけでなんとかできない場合は、おじいちゃんおばあちゃん、相談できるパパ友ママ友、民間のサービスなど、いろいろな方法を考えていいと思います。
最後にもう一度、お伝えします。
子育てをする人たちにとって、誰が何と言おうと自分をケアする時間を取ることは最優先課題のひとつです。
「休んではいけない」「休むことは甘えだ」という考えは忘れて、勇気と覚悟を持って自分の時間を作ってください。
もう少し子どもが大きくなって落ち着いたら、そう思っていてもその前に壊れてしまったら元も子もありません。
熊野さん、ありがとうございました!
改めておさらいすると…
ポイント
- 「やらなければいけないこと」の中に、「自分の時間を作る」を入れる
- 自分の時間が取れないことでイライラすることが増えているのであれば、それはすでに支障をきたしていることだと認識する
- 仕事も家事育児もできる方法を考えて、勇気と覚悟を持って休むことを選択する
子どもの頃から「皆勤賞」が評価されてきたことからも、休むことへの罪悪感はなかなかぬぐえないものかもしれません。
記事の中で熊野さんもたびたび言っていましたが、それで体調を崩してしまったらそれこそ取り返しがつかないことだと思って、休む決意を固めていければと思います。
また、熊野さんのアドラー式コミュニケーションの講座では、家庭はもちろん仕事でも使えるコミュニケーションのコツを学ぶことができます。
こちらも気になった方はぜひチェックしてみてください!