「うちの子がとにかく言うことを聞かない」
―そんな悩みに直面しているパパママ、多いのではないでしょうか。
わが家も同じ…と共感した方もいるはず。
実は「聞かない」の裏には、5歳ならではの成長の証が隠れています。
今回は誰も正解を教えてくれない禅問答のような問いに悩むパパへ、アドラー心理学の視点からスペシャリストがアドバイス!
なぜ言うことを聞かないのかという心理的背景をわかりやすく解説し、アドラー心理学の視点から接し方を見直すヒントをお伝えします。
「言うことを聞かない」のは実は素敵な個性かも


5歳の娘がいます。
とても明るくて活発なのはいいことだと思うのですが、こちらの言うことをまったく聞かず、いつも自由すぎて困っています。
どうにか聞いてくれるようになるにはどうしたらいいでしょうか?
明るくて活発な5歳の女の子と聞くと、周りからみればとても素敵だと感じると思います。
ただ、育てているパパママからすると、大変なところもあると思います。
でも、「言うことを聞かせる」ということが本当にいいことなのでしょうか?
一緒に考えていきましょう。
5歳はいろいろわかっている
質問には書かれていませんが、5歳ということはおそらく保育園や幼稚園などに通っていると思います。
同じクラスのお友達や先生などいろいろな人と接して、日々社会生活の中で学んでいることもたくさんあるでしょう。
年中、ないしは年長のクラスで、小学校も視野に入るこのころは、出来ることも増えますし、何より社会のルールや常識について理解が進んでいるタイミングで、イヤイヤ期よりもさらに高度な意味での「自我」が確立。
「コレがいいアレは嫌」という部分もハッキリしてきます。
また、コミュニケーションもかなりスムーズになっている時期でもあるので、親が出す指示も理解できる段階です。
そして、わかるからこそ、自分の中でそれをやるかやらないかを判断して、時に言うことを聞かないというレジスタンスを起こすのだと思います。
つまり、彼女たちは「言うことを聞かない」のではなく「言われたことはわかるけど、それはやりません」と、ちゃんと判断しているのです。
「言うことを聞く子」で本当にいい?
「人の言うことを素直に聞く」というのは、確かに一つの長所だと思います。
ただ、「何も考えずに人に言われたことをやる」となると、ちょっとどうかなと感じませんか?
では、「とにかく人の言うことを聞かない」というのは短所のように感じますよね。
ただ「人から言われたことについて、よく考えて自分なりの行動をする」と捉えてみると、 長所のように感じませんか?
もっとシンプルに言うと「自分がある」「しっかりと考える」とも言えます。
これって情報があふれる今の時代にとても大切なこととして、多くの親が子どもに身に着けてほしいと考えることのはずです。
まずは、「言うことを聞かないダメな子」というようなニュアンスからいったん離れて、どうコミュニケーションをとっていくか考えていきましょう。
対等な親子関係が「言うことを聞かない子ども」を変える

親子は上下関係ではない
パパ自身は、誰かに言われたことを聞かないことはないでしょうか?
例えば、こちらの事情も聴かずに上から目線の命令だったとしたらどうでしょうか?
もちろん、大人なので全く無視をして関係を悪くするようなことはあえてしないとは思いますが、やらずにスルーすることもありますよね。例えその命令がまっとうなものだったとしても嫌な感じはぬぐえないでしょう。
子どもだって同じだと思います。
そして、アドラーはこんなことを言っています。
アドラー心理学のポイント
「子どもを友人として、対等な人間として扱うことが大切だ」
親と子どもは主従関係ではありません。
だからこどもが親の言うことを聞くのは当たり前ではありません。思い通りに動かないことの方が当たり前なのです。
親が上から押し付けるのではなく、子どもの意思や感情を尊重し、見守るを持つことこそ、ぶつかり合わないためには必要なんです。
子どもにも友人と同じように
子どもを対等に扱うということはどういうことなのか?
例えばそれは「親しい友人にしないことは、子どもにもしない」ということです。
子育てをしていると、ついつい「こっちの言うことを聞け!」という雑なコミュニケーションをとってしまいますが、同じことを友人にしないと思います。
何か望むことがあった場合でも「ちょっとこれしてくれる?」というように丁寧にお願いしますよね。
まさに「親しき仲にも礼儀あり」の精神です。
相手が5歳の子どもであったとしても、相手を信頼して、丁寧に伝えることで、少しは状況が変わるはずです。
もちろん、それでも子どもに「嫌!」と言われることもあると思います。
そういう時は子どもの言いなりになるのではなく、対話してすり合わせていくことに挑戦してみればいいと思います。
安心してください。
ほとんどの人はいつまでも全然言うことを聞かないままに育つことはなく、ちゃんと対話できるようになります。
「どうせ聞かない」「どうせできない」と諦めずに、子どもの事情を踏まえた対話を続けてみてください。
ちなみに、幼い子どもの場合、親に言われたことに納得できず自分でやりたい、というケースだけではありません。
「眠い」「おなかがすいた」「疲れた」など体調や精神的な別の要因がある時も、ちゃんと判断できないことがあるそうです。
そういった言葉にうまくできていない子どもの状況にも目を向けてみてください。
熊野さん、ありがとうございました!
改めておさらいすると…
ポイント
- 「言うことを聞かない」を「自分がある」「ちゃんと考える」と捉えてみる
- 上から目線での命令ではなく、友人に頼むように伝えてみる
- 子どもの事情を見極めるためにしっかりと向き合う
どうやら「言うことを聞かせよう」という打算的な親の考えが子どもの反抗を招いているようです。
実際にやるのはなかなか難しいですが、ちょっと気を使う友人だと思って、ゆっくりやっていってみましょう!
著書のご紹介
また、熊野さんのアドラー式コミュニケーションの講座では、家庭はもちろん仕事でも使えるコミュニケーションのコツを学ぶことができます。
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