職場での学歴マウントがつらい…相手に振り回されないアドラー式対処法とは

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職場での学歴マウントがつらい…相手に振り回されないアドラー式対処法とは

もう学歴なんて関係ない!という人もいますが、一方でまだまだ学歴にこだわる人も少なくないですよね。

職場で学歴をいじられるのは、本当にしんどいもの。

特に新しい環境で頑張ろうとしている時ほど、学歴マウントの言葉は心をえぐりますよね。

今回は「高卒だから」と執拗にからかわれ、どう対応すべきか悩むパパに向けて、アドラー心理学の視点から専門家がアドバイス。

学歴マウントを取る人の心理と、傷つかないための考え方、今日から使える上手な対処法をお伝えします。

学歴マウントの裏にある「優越コンプレックス」

学歴マウントの裏にある「優越コンプレックス」
質問者
質問者

3歳の息子との時間を増やすために、この春から家に近い会社に転職しました。

おかげで家では楽しい時間を過ごせていますが、新しい職場の先輩たちは自分が高卒であることを執拗にいじってくるので精神的に辛いです。

こういうものにはどう対応したらいいでしょうか?

学歴に対する考え方は以前に比べてかなりマイルドになったとは思いますが、まだ昔ながらの価値観を持っている人はたくさんいますよね。

本当に辛いと思います。

少しでも気持ちが軽くなるためにはどう考え、どう行動したらいいか?

具体的に考えていきましょう。

目的論で考えてみる

ポイント

アドラー心理学には、以下の考え方があります。

「人の言動や行動には必ず自身にとってポジティブな目的がある」という「目的論」

いじったり、いじめたり、圧力をかけてマウントをとることは適切な人間関係を築けるものでは決してありません。

ただ学歴に限らず、いろいろなことでマウントを取りに来るにも目的があるということです。

しかもその目的は、その人にとってポジティブなもの。

人を委縮させたり、嫌な思いをさせたりすることで、その人は何を得られるのでしょうか?

そのひとつが「優越感」だと思います。

自分は相手よりも優れていると感じることは、その人にとって自信となることもあれば、自分を肯定する材料になることもあります。

きっとその先輩は、あなたに学歴マウントをとることで、自身の精神を保っているんだと思います。

ただ、裏を返せば、たとえ不適切な方法だとしても、そうでもしない限り、不安で不安で仕方ないようにも捉えられるのです。

学歴マウントで得られるのは偽物の満足

アドラー心理学では、このように不安や弱さを隠すために他者を見下し、自分を優位に見せるために行動する背景には、過度に「優越でなければいけない」という思い込み「優越コンプレックス」があると考えます。

そして、アドラーはこんな言葉を残しています。

アドラーの言葉

劣等感の裏返しの優越感は、ただの虚栄心にすぎない。

空っぽの人生で得られるのは偽りの満足と成功だけだ

アドラー心理学では、本来「劣等感は成長の原動力になるもの」と考えられています。

つまり、努力や工夫をして成長することでこそ、劣等感は克服できるということです。

しかし、今回の先輩のように適切な方法をとらず、優越感を得ようとした場合、そこで得られたものは偽物だとバッサリ言い切っているのです。

あくまで推測ですが、先輩は転職してきたあなたに対して、何かしらの劣等感を抱いている可能性があります。

例えば

「高卒で自分よりも学歴が低いのに、自分が頑張って学歴を積んで入った会社に来たということは、自分より仕事ができるのかもしれないし、自分の立場も危ういかもしれない」

といった具合です。劣等感どころか恐れを抱いているといっても過言ではありません。

だからこそ「仕事で勝てるかわからないから、明確に自分よりも劣っている象徴として学歴でマウントをとろう」ということなのかもしれません。

様々なところでマウントをとる人はいますが、それはその人が「これなら勝てる」というところにフォーカスして勝負を仕掛けているんだと思います。

今回はたまたまそれが学歴だったということですよね。

そう考えると、いちいちそんな人の優越感のために付き合う必要なんてないと思いませんか?

もしも言い返したりして戦うなんてことをしたら余計なエネルギーも使うし、職場の空気も悪くなってしまいますよね。

そんなのあなたも望んでいないはずです。

「先輩すごいですね!」という優しいカウンター

「先輩すごいですね!」という優しいカウンター

まずは華麗にスルー

どんなところにもいちいち突っかかってくる人がいるものだと思いますが、王道の対応としては、やはりできるだけスルーして受け流すことだと思います。

アドラー心理学の視点からいうと、あなた自身の評価は他人の評価ではなく自分で決めるものなので、相手の偏見や差別に振り回されずに「気にしないこと」を意識すればいいわけです。

どれほどいじっても思うように反応してくれずに、本来の目的である自分の優越感も満たせないということが伝われば、そのうちおさまってくることも考えられますよね。

課題を分離する

もうひとつアドラー心理学で重要な「課題の分離」という考え方があります。

起こっている出来事に関して、それが誰の課題か?分けて考えるということです。

まず優越感を得るために行動することは先輩自身の課題なので、あなたには関係ありません。

また、あなたの課題はというと、転職して家族との時間を増やしてくれた職場に貢献することがひとつだと思います。

であれば、先輩のことに付き合わずに黙々と仕事をこなしていけばいいわけです。

また、あなたと先輩、二人だけの職場でないのであれば、あなたが真摯に取り組んでいる姿を見ているうちに、執拗にいじるという子どもじみた行動をしている先輩に「やめなよ」と言ってくれる味方が出て来ることも考えられます。

それでもマウントしてくるようであれば、本人に言わずとも人事などに相談してもいいと思います。

先輩が満たされればいい

さらに高度な対応方法として考えられるのが、先輩の持っているポテンシャルを見つけて伝え、勇気づけるという方法も考えられます。

先輩がマウントをとる背景にあるのは不安であり、先輩自身が認められていないことも十分に考えられます。

そんな先輩に共感し、いいところを見つけて伝えることで、先輩自身にも影響が出てくることは十分に考えられます。

「学歴マウントなんてとらなくても、先輩は十分にすごいじゃないですか!」

ここまでダイレクトには言わないまでも、自分にはこれができる、という自信が持てれば、わざわざ誰かを落とすということは減ってくるはずです。

とんできたパンチに対して、同じようにパンチで打ち返すのではなく「ナイスパンチ!」という優しいカウンターが返ってきたら、それ以上打ちにくくなるものだと思います。

よくよく考えてみると、先輩も同じ会社で、同じ目的をもって働く仲間でもあります。

仲間と力を合わせて前に進んで行こうという「共同体感覚」を発揮して、戦わずして勝つくらいの気持ちで受け止めてみてはどうでしょうか?


熊野さん、ありがとうございました!

改めておさらいすると…

ポイント

  • マウントをとってくるのは不安や恐れの裏返しと考える
  • 攻撃に付き合わずに華麗にスルー。自分の課題に集中する
  • 攻撃してくる相手にも勇気づけをしてみる

攻撃されると思わず同じように返したくなるところですが、同じ土俵に立ってしまえば相手の思うつぼだと思います。

一呼吸おいて冷静に対応できるように余裕を持っていきましょう。

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熊野英一

株式会社子育て支援 代表取締役 / ボン・ヴォヤージュ有栖川 代表
子どもたちの居場所づくりプロジェクト「ビリーバーズ」統括リーダー
アドラー心理学会 正会員 / 個人心理学会 正会員

著書は『アドラー式 老いた親とのつきあい方』(海竜社)『アドラー式子育て 家族を笑顔にしたいパパのための本』(小学館クリエイティブ)ほか。編著は『急に「変われ」と言われても』(小学館クリエイティブ)。

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