男性の育休取得率が40%を超え、家事や育児に取り組む男性が増えたことの表れのように感じます。
とはいえ、なかなか「家事にやる気が出ない」と感じる人も多いようです。
特に共働きで育児中のパパたちからは、妻の不満にモヤモヤしながらも、どうしたらいいかわからないという声も。
これはもう仕方ないことなんでしょうか?
そのモヤモヤの正体と気持ちの整理や関わり方のヒントを、アドラー心理学の視点からお届けします。
誰かが家事をしてくれるから暮らせている


共働きで5歳の子どもを育てています。
でも、自分は家事は得意ではないし、どうもモチベーションが上がらないのでほとんど妻に任せています。
妻はそれが不満のようですが、自分としては解決の糸口が見つからない気がしています。どうしたらいいでしょうか?
家事は毎日のものであり、誰かがやらないといけないものですが、そんなに楽しんでできないと感じている人も結構いると思います。
とはいえ、質問を見る限り夫婦の関係に良くない影響があるように感じるので、何か現状を変える方法を考えていきましょう。
いいお店の厨房がキレイなワケ
多くの人に愛される飲食店は、いつも厨房が整っていて、営業が終わった後にはピカピカにしているという話をよく聞きます。
厨房はお客さんに見えるわけではないですし、どうせ毎日汚れるのだから、そんなに毎日キレイにする必要があるのか?と思う人もいると思います。
でも、きっと多くの人がお気づきの通り、毎日整った環境を作ることは、働く人の気持ちもいいですし、その方がストレスもなく仕事に集中できる。
結果として、そのお店で作られるものがおいしく、働いている人の雰囲気も良いので人気になったりするものです。
日本を訪れる外国人観光客が口々に「日本はどこに行ってもキレイ」と話し、だからこそ人気であるともいえます。
いずれにしても、あまり表には出ない裏方の仕事かもしれませんが、私たちはそういう人たちのおかげでストレスなく暮らせていることは忘れてはいけませんよね。
家で普通に暮らせることは当たり前じゃない
家庭の中でも同じです。
当たり前のように毎日暮らせているのは誰かが家事をしてくれているから。
あなたの場合は、それが妻です。
妻はあなたやお子さん、自分自身がスムーズに暮らしていくために家事をしています。
あなたは「得意じゃない」という理由で避けているようですが、そもそも妻は得意なんでしょうか?
そうとは限らないですよね。
少なくともあなたに不満を言っているようなので、好きだから積極的にやっているというわけではなさそうです。
質問を見る限り、厳しい言い方かもしれませんが、あなたは家事に対して、どこか他人事のようだと感じます。
その背景には、表に出にくい裏方の仕事を軽んじているところはないでしょうか?
このままだと不満をため込んだ妻は、出て行ってしまう可能性もあれば、体調を崩してしまう可能性もあります。
いずれにしても今と同じ状況が続かないことが考えられます。
つまり、当たり前じゃないのです。
そうとわかったら少しは行動を変えてみてはどうでしょう。
大切なのは二人の幸せを考えること

本当のパートナーシップとは
アドラーはこんな言葉を残しています。
アドラー心理学のポイント
一人の幸せより、二人の幸せを大切にしたとき、本当のパートナーシップが生まれる
一方が負担を背負い込むのではなく、お互いが協力するからこそ、家庭の幸福は築かれるものです。
しかし現状はどうでしょう。
あなたは自分が快適であること、「あなた一人の幸せ」にだけフォーカスしているように感じます。
そして「解決の糸口はない」と、妻の不満をばっさりと切り捨ててしまっていますよね。
本当にそうでしょうか?
改めて、今妻がしてくれていることは何かを考えてみてください。
それがなければ暮らしていけないことを考えれば、少なくとも感謝やねぎらいはあっていいと思います。
その上で、妻の不満も受けて止めてみてはどうでしょう?
家事の全体像を洗い出し、何が負担なのか?
できるだけ詳しく理解した上で、適切な分担を考えてみることをオススメします。
まずは改善の可能性を切り捨てるのではなく、前向きに話し合うことから始めてみてください。
行動だけでなく姿勢が大事
今回のケースでは妻が家事の負担が大きいことに不満をもっているので、おそらくその負担を軽減する方法を模索することが改善のスタートだと想像できます。
しかし、その答えは必ずしもあなたが家事をすることではないかもしれません。
あなたが妻に言われるがまま我慢して得意でもない家事をたくさんやるということになった場合、きっとあなたにとって強いストレスになるでしょう。
そう考えると、それは「妻の幸せ」だけにフォーカスしてしまっているもので、本当の意味での改善にはつながっていないと思います。
大事なのはお互いが「二人の幸せ」を考えること。
結局、どちらか一方だけが我慢をしている状況を脱することが一番です。
そんな中で、結果として、家事代行を利用するなど、あなたが家事をしない、という選択肢もあり得るのです。
「家事をするかどうか?」ばかりに目を向けて視野が狭くなってしまうことは、注意した方がいいと思います。
感謝と貢献の循環を作ろう!
まずは行動を変えて、あなた自身ができることをやって家族に貢献することで、感謝される機会は増えると思います。
きっと気持ちがいいと感じることも増えるでしょう。
それこそがモチベーションに繋がる可能性は十分にあります。
そして、当たり前じゃない支えてくれる行動が感謝されるとうれしいとわかれば、あなた自身が周りの人に感謝する機会が増えるでしょう。
これこそ感謝と貢献の素敵な循環です。
家族みんなが快適な暮らしを目指して、もう一度考えてみてほしいと思います。
熊野さん、ありがとうございました!
改めておさらいすると…
ポイント
- 表には出にくい裏方の仕事の重要さに目を向けてみよう
- 解決の糸口はないと切り捨てずに、視野を広げて考えてみよう
- 大切なのは「二人の幸せ」を考えること。どちらかが我慢しない環境を作ろう
心に余裕がないと視野が狭まり「無理」と切り捨ててしまいがちになりますよね。
話し合った方がいいとはわかりつつも、まずは話し合える余裕を持つように気持ちをラクにすることから始めてみてはどうでしょうか。
著書のご紹介
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