動物の中にパパが子育てをする種類がいるという話は聞いたことがあると思います。
しかし、かつて「ネコノミクス」という言葉があるくらい人気の高いネコにはそのイメージはありませんよね。
果たしてネコの仲間で子育てをしている種類はいるのでしょうか?
今回は動物研究家のパンク町田さんにネコはもちろん、ネコ科の動物のパパの子育てについて伺いました。
基本的にネコのパパはイクメンではない
ネコのパパが子育てをしている姿というのは見たことがありませんが、実際のところはどうなんでしょうか?
「脊椎動物で全般的に言えることですが、幼い動物への愛情はメスの方が強い傾向にあります。
これは幼い顔を見分ける能力がメスの方が長けているからなんです。
ネコに関しては、単独性が強い動物なので特にそれが顕著で、オス、つまりパパはメスと交尾した後は自分の縄張りに戻っていってしまうため子育てには関わらないことが大多数です。
逆に自分の縄張りに別のオスの子どもがいた場合には、攻撃することもあります。
つまり、自分の子どもに攻撃する場合もあるということでしょうか?
まあ、もちろん可能性はあります。
ただし、これが全部ではないと思います。
研究結果やデータがあるわけではありませんが、いろいろなネコと接してきた経験から言うと、オスも子育てに関わる場合があります。
乳児期よりももう少し大きくなった、人間で言えば小学生くらいで親元からはぐれてしまった子ネコを見ると、面倒をみるケースが見受けられます。
その際には、獲物を与えたり、獲物の取り方やケンカの仕方など、生きていくために必要なことを教えたりします。
これは自分の子どもに限らないので、厳密には子育てとは少し違うかもしれませんが、少なくとも幼い個体に対してオスも育てるという行動を取ることもあるということです。
ライオンだけはイクメンレベルを超えている!?
ちなみに、ネコの仲間でパパが子育てをする種類はいないんでしょうか?
少しイメージと違うかもしれませんが、実はネコ科の動物で唯一パパが子育てに大きく関わるのがライオンです。
これもイメージと違うかもしれないのですが、基本的に狩りをするのはメス。
これはメスの方が足が速く、持久力もあるからです。
ただし、キリンや水牛といった大物を仕留めるときは力の強いオスが出てきて、とどめを刺すのです。
なので、オスがまったく狩りをしないということでもありません。
ただ、そういう状況なので、オスも子どもと一緒に過ごす時間が長く、面倒をみたり、いろいろなことを教えます。
子どもをあやすことはもちろん、じゃれて一緒に遊んだり。
また、じゃれ合う中では、爪を立てたり牙をむいた子どもを叱って、加減の仕方を伝え、ライオン同士のコミュニケーションのやり方を教えたり、群れの中の秩序や優位性を伝えることもします。
もちろん狩りの仕方も教えます。
他にもライオンの子育てに、何か特徴はありますか?
ライオンのパパが育てるのが、自分の子どもだけではないことですね。
暮らす地域によって頭数の規模は違いますが、ライオンは群れで行動します。
大きめの群れになると、オスが複数になる場合もあり、その際、それぞれのオスは自分の子どもでなくても同じ群れのオスの子どもは同じように面倒をみます。
人間で言えば仲間の子どもも同じように育てるなんて、さすが百獣の王。
パパとしてもとてもカッコイイですよね。
まさかのライオンがイクメン!
しかも、群れというコミュニティの中で、子どもたちみんなを育てるなんて、人間でいえば地域で活躍する「イキメン」なんですね!
これから動物園に行ったときには、そんな姿にも注目しちゃいますよね!