いよいよわが子が春から小学校。
大きくなったなぁと感慨深い一方で「大丈夫かな?」という不安もあります。
今回はそんなわが子の小学校入学を前に、小学校生活を楽しんでもらうために、親として何かできることはないかと考えるパパからのご相談。
アドラー心理学を基にしたアドラー式子育ての熊野英一さんから、大切にしてほしい心構えについてアドバイスをお伝えします。
自己肯定感は小学生から下がり始める
天真爛漫で明るさが取り柄の娘は保育園ではすごく楽しそうでしたが、小学校でもそのまま楽しんでもらえるか?
ちょっと不安があるのですが、親として何かできることはありますか?
子育てを通じて子どもの自立を目指すアドラー心理学では、子どものことを「心配」するよりも「信頼」することを大切に考えます。
質問を見る限りまだちょっと「心配」されているようですが、それに対して上手にサポートしようとする姿は素晴らしいと思います。
入学前はもちろん、これからもきっと大切にしていってほしい心構えをお伝えできればと思います。
なぜ自己肯定感が下がるのか?
子どもが小学校に入るのは家族みんなにとって大きな変化です。
共働き家庭にとっては、保育園に比べて子どもの帰宅時間が早まることによる、いわゆる「小1の壁」が話題になることも多いですが、やっぱり子ども自身にとっても変化が壁のようになるかもしれません。
日本人の子どもが世界的に見ても自己肯定感が低いというデータを見かけることがあります。
その下がっていくタイミングはだいたい9歳から10歳くらいです。
小学校に入るとそれまでと違って、勉強やスポーツなどいろいろなもので“結果”が出るようになり、“優劣”が明らかになっていきます。
このくらいのタイミングから「どうやら自分よりすごい人がいる」ということを理解していき、結果が伴わない場合に「自分はダメなんだ」と思ってしまうことがあるのです。
つまり、周りの誰かと比較する「他者比較」が自己肯定感を下げてしまうとも考えられます。
ただ、これはもうどうにもならないかというと、そうではないと思います。
別に勝たなくてもいい
比較自体は誰でもするものです。
時には負けず嫌いのおかげでモチベーションが上がり、いい結果に繋がることもあります。
それはそれでいいと思います。
でも、問題はうまくいかなかった時にも自分の存在価値を感じられるかどうかです。
慶応大学でどんな人が幸せを感じているかを研究する幸福学の前野教授によると、幸せを感じる人の要素は、以下の4つがあるといいます。
- 「なんとかなる」という前向きさ
- 「やってみよう」というチャレンジする勇気を持つこと
- 「ありがとう」という感謝の気持ち
- 自分らしく生きられる「ありのままで」
例え人よりも結果が出なくても、「自分は自分でいい」とありのままを認めることができれば、自分はダメなんだと落ち込むことはなく、むしろ結果が出た人に「おめでとう」と素直に言えるようになるでしょう。
より結果で比較されるようになる高学年になるまでの間に、家庭の中でできることは
「あなたはあなたのままでいい。結果に関わらず存在価値がある」
と伝えていくことだと思います。
親子だけでなく夫婦でも「ありのまま」を大切に
態度で示す
じゃあ、娘さんに向かってなんでもかんでも「そのままでいいんだよ」、と言えばいいのかというとそういうことではありません。
例えば、歯みがきを嫌がって「絶対にやらない!」と駄々をこねてしまったときに「そのままでいいんだよ」とは言えないですよね。
社会生活を送る上で、必要なマナーやルールはちゃんと伝えなくてはいけないところ。
ただ、だからと言って「そんなこと言っちゃダメ!」と感情的に怒ったり、強制的にやらせたりしてしまうと、言いたいことも言えなくなってしまいます。
もっと言うと「〇〇ちゃんはできるのに」といった比較は論外。
早い段階から比較するクセがついてしまいます。
大切なのは、その子ができるようになるように寄り添ってサポートすること。
例えば、「その気持ちはわかる。どうやったらできるようになるか一緒に考えよう」というスタンスがいいと思います。
「ありのままでいる」ことは「わがままでいる」ということではありません。
でもその子が、その子なりにできるようになることを信じる姿勢が大切なんです。
そうしていくうちに、家が子どもにとって安心で安全な空間であると思えるようになり、ありのままでいられる場所になっていくと思います。
外で何かあっても家に帰れば大丈夫!子どもにとって明確な根拠がなくてもそう思えて自分の存在価値を感じられることで、自分を信じる力がうまれてくるはずです。
子どもに寄り添う前に
親がどう頑張っても、大きくなっていけば家の外でいろいろな結果が出てきます。
でも、家の中では別に周囲の評価軸にのっからなくてもいいんです。
親として比較しないでありのままを受け容れましょう。
ただ、それはわが子に対してだけではありません。
子どもに対しては日々「ありのままでいいんだよ」と伝えていたとしても、ママがパパに「どうして周りのパパは家事やるのに、あなたはやらないの!」と怒っていたり、パパがママに「全然できなくてダメだな」とつぶやいていたらどうでしょうか?ハッキリ言って台無しです。
夫婦が比べずありのままを認め合っている姿があってこそ、子どもに対しての言葉が伝わるものになるはずです。
家族全員がありのままを認め合える、子どもが小学校という荒波に入る前にそんな家庭の空気を作ることにチャレンジしてみてください!
熊野さん、ありがとうございました!
改めておさらいすると…
ポイント
- 小学校に入ると比較することが増える
- 小学校に入る前から「ありのままでいい」と存在を認めるように
- 子どもだけでなく、妻も含め家族みんなで認め合う姿勢で安心安全空間を作る
外で何も起きないようにすることは、親としてちょっと難しいことだと思いますが、家の中を整えるのは頑張ればなんとかなりそうですよね。
パパもママも外では比較評価されることがあると思いますから、家の中が安心な空間になったらパパとママにとってもいいことですよね。
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