子どもって突然、親に対して汚い乱暴な言葉を言ったりしますよね。
あれ、どこで覚えてくるのか?不思議です。
見過ごすことは出来ないことですが、いったい、私たち親はどのように接したらいいのでしょうか?
今回はアドラー心理学に基づくコミュニケーションの専門家でアドラー式子育ての熊野英一さんに、子どもが悪い言葉遣いをした時の心理や、対応の仕方について教えてもらいました。
子どもは叱られても良いから注目されたい!
3人の子どもがいます。
次男(4歳)が、どこで覚えたのか、家族に対してとても汚い言葉で罵ってきます。
先日も私に「死ね!」と叫び、さすがに叱ったのですが、むしろ言動がエスカレートしてしまったようです。
保育園の先生に確認したら「園ではそんな言動は一度もない!とても社交的で優しい子ですよ」と、先生もビックリしていました。
一体、4歳の子の心はどうなっているのか?
父親としてどのように接したら良いのでしょうか?
「死ね!」ですか。。。
確かに、子どもの言葉遣い、気になりますね!
でも、結論から言えば、大丈夫!
子どもの心のカラクリを理解できれば対処できますので、ご安心ください。
この子は、保育園と家庭では異なるキャラを演じています。
どんなシチュエーションで、どんな言葉と態度を選ぶか、巧みに選択できているんですね。
とても賢いと思いませんか(笑)?
子どもが、意図的に不適切な行動をしている時、それに過度に反応して、叱ったりすると、子どもは「作戦成功!」とばかりに、そうした不適切な行動を益々するようになります。
「叱られてでも良いから、注目してもらいたい!」ということですね。
皆さんも、自分が小さい頃、そのようにして、親や先生や、好きな女の子の注目を集めようとしていたこと、ありませんか?
私たち人間は、みんな「自分の気持ちをわかって欲しい」と他者に求めています。
大人だってそうですが、子どもなら、なおさらですね。
まずは、ここに「共感ファースト」することを忘れずに。
「共感ファースト」とは、自分の価値観にあっているかどうか?
相手の言動に同意できるかどうかは横に置いて、まずは「相手の目で見て、耳で聴いて、心で感じてみようとする」ことを言います。
つまり、自分の関心ごとではなく、相手が関心を持っていることに関心を寄せてみる、という寄り添いの姿勢を言います。
攻撃的な言葉遣いは、真ん中っ子に起こりがち
この方のご相談で私が注目したのは、この子が「一度たりとも、親の関心を独占したことがない」3人兄弟の中間子であること。
自分が生まれたときには、すでに年長の王様・お姫様のような兄・姉がいるわけですし、そうこうしているうちに、自分よりも小さくて可愛い弟・妹が出てきちゃうんですから!
真ん中っ子は、いつも他のきょうだいをかき分けて自分を主張しないと親の注目を充分に得られないと感じやすく、それゆえ自然に自分の人生は自分で切り開くしかないと自立的なライフスタイル(性格)を持つ可能性があります。
一方で、自分の立場に不安を感じやすく「私は充分に愛されていない。不当に扱われている。」といった被害者意識を持つ場合もありえます。
他者からの注目を得ることに敏感なため、社交的になることも多いのですが(実際、この子は、保育園ではとても社交的です)、ないがしろにされたり不公平に感じたりすることにも同時に敏感なため、被害妄想が転じて攻撃的な態度になることがあるのかもしれません。
悪い時だけ叱らずに普段から注目しよう!
子どもは心に「僕(私)のことを見て!注目して!」という「心のスポンジ」を抱えているとイメージして見てください。
このスポンジは非常にやっかいで、とても乾きやすくてすぐにカサカサになります。
たまに子どもがほめに値する行動をとったときだけ、「やったじゃん、もっとがんばれよ」とドシャ―とバケツで水を与えても、すぐに乾いてしまいます。
それよりも、いつも乾かないように「ポタ、ポタ、ポタ」と常に水を与えて潤してあげましょう。
常に子どもの興味関心に、関心を寄せるということです。
「今日も元気だね(ポタポタ)」「ごはん美味しそうに食べたんだね(ポタポタ)」。
家の中でも横を通り過ぎる時に声をかけ、肩をたたいてあげる。
あなたの事をいつも気にしていますよ、と態度で示しましょう。
当然のことながらスポンジが潤っていた方がやる気が出ますよね?
子どもに挑戦する気持ちを持ってもらったり、約束を守ってもらったりすることを望むのであれば、まずこちらから。
いつもスポンジが満たされているようケアしてあげましょう。
子どもの言葉遣いが気になる時だけ、叱って、注意して注目をすることの無いように。
日頃から、ほめに値しないような、何気ない日常の中で、十分に注目を与えましょう。
そうすれば、子どもの心のスポンジは潤い、「ワザと悪態をついて、言葉遣いを荒くして、悪い子になって、注目を得よう!」という作戦を選択することは自然に減っていきますよ。
それでも、子どもの勇気がくじけて、悪態をつくことで注目を得ようとしてきたときは、悪い言葉遣いを注意するのは手控えて、こんな感じで対話の口火を切ってみてはどうでしょうか?
「おー、大きな声だったからよく聴こえたよ!でも、〇〇くんの気持ちがどんな感じなのかは、声が大き過ぎて、ちょっとよくわからなかったな。お父さん、君がいま、どんな気持ちなのか、とっても知りたいから、落ち着いて教えてくれる?もしかしたら、何か嫌なことでもあったのかな?」
パパが叱らないことで、「わざと悪いことをして、叱ってもらう形でこっちを振り向いてもらおう」という作戦が、通用しなかったことを、子どもはすぐに理解します。
そして、すぐに、子どもの気持ちに共感したい、というこちらの想いを伝えることで、子ども自身も「あ、そうだ、僕は、この▽▽な気持ちを、パパにわかってもらいたかっただけなんだ!」と気づきます。
こうした対話を繰り返しているうちに、子どもは自然と、悪態をついたり、かんしゃくを起こすよりも、普通にホウレンソウ(報告・連絡・相談)すれば良いんだ!と学んで行くことでしょう。
熊野さん、ありがとうございました!
改めておさらいすると…
ポイント
- 乱暴な言葉を言う目的は“注目されたい”
- 上下にきょうだいがいる中間子・真ん中っ子に起こりがち
- 過敏に反応して叱らずに、日常的な行動にも注目する
乱暴な言葉はインパクトが強いので、ついその瞬間にフォーカスしてしまいがちですが、それ以前にある関わり方が大切だということですね。
日々、注目するように心がけていきましょう!
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