人によって性格は様々ですが、特にネガティブ思考を持っていると、それが子どもにも影響しそうで心配になることも。
今回は、パパしるべ編集部に届いたそんな質問に対して、アドラー心理学を基にした子育てメソッドを広めているアドラー式子育ての熊野英一さんに、回答していただきました!
ネガティブは悪いことではない
物事を悲観的、ネガティブに捉えがちな傾向があります。
「正解のない時代になった」などと見聞きすると、頭では理解できても「じゃあ、どうしたらいい?」と、また「正解さがし」をして一歩も踏み出せない自分がいます。
こういう性格だと子どもにも悪い影響をあたえてしまいそうですし、どうしたら良いですか?
自分の性格が子どもの性格に影響してしまうと心配してしまう気持ちはとてもよくわかります。
特にご自身がネガティブだと認識していれば、なおさら心配な気持ちになってしまうと思います。
その状況をどうしたらいいのか?
一緒に紐解いていきましょう。
まず、人間にはいろいろな性格の人がいます。
一般に性格や人格、キャラ、と言われるものを、アドラー心理学では「ライフスタイル」といいます。
その人らしい「思考のクセ」や「行動のパターン」の総称である「ライフスタイル」は、次の3つの要素から構成される「その人の信念の体系」と言えるものです。
アドラー心理学 ライフスタイルの3要素
- 自己概念=自分自身の現状をどうみなしているか。
「私は〜である」 - 世界像=周囲の人・人生の現状をどう見ているか。
「世界(人生、人々は)〜である」 - 自己理想=自分がどうありたいか。周囲の人からどう扱って欲しいか。
「私は〜であるべきだ」
私たちは皆、自分自身の人生の脚本家であり、主役です。
私たちはこの自作自演の人生のガイドマップの役割を果たす「ライフスタイル」という脚本を概ね10歳くらいまでに確定し、大人になってもその慣れ親しんだスタイルでライフタスクに対処しようとします。
このライフスタイルに優劣はありません。
実際、世の中は、ネガティブ、つまり悲観的な人やポジティブ、つまり楽観的な人が混在しているからこそ、バランスのとれた社会が出来上がっているわけですから、くれぐれも自分が選んだライフスタイルを持って、自己否定することがないようにしてください。
問題は、自分が選んだライフスタイルを使って、どのように社会の中で生きて行くか?ということです。
厄介なのは幼少期から身に付けた「おかしなクセ」
ご質問の方のライフスタイルと、生き方のパターンを想像してみましょう。
- 自己概念: 私は、何かと失敗しやすい人だ
- 世界像: 世間は厳しく、人生は自分でなんとかしなければいけないものだ
- よって、私は失敗しないことに価値をおき、慎重に人生を歩みたい
繰り返しますが、こうしたライフスタイル自体は全く悪くはありません。
このようなライフスタイルを適切に使いこなして、社会に貢献している人はたくさんいます。
例えば、精密機械の設計や製造工程の検査などを担当したら、高品質の製品づくりに貢献できるでしょう。
あるいは、作家とか歌手などエンターテインメントの世界で多くの人に共感される作品を生み出すことができるかもしれません。
一方で、このライフスタイルを使うときに、幼少期から身につけた「おかしなクセ」が邪魔をして、非建設的な生き方を選択してしまう人もいます。
「どうせ、私は、何かとやらかすに違いない(から、やらない)」
「きっと誰も助けてくれないだろう(から、やらない)」
「だから、絶対に失敗しないことが確実な時だけ動こう(いつまで待っても、そんな時はこないから、やっぱり、やらない)」
ここでいう「おかしなクセ」とは、「ありのままの自分ではダメなんじゃないか?」という、自分自身に対する「謎の罪悪感」「謎の自己否定」から全ての脚本(生き方・行動)をスタートさせてしまう、もったいないクセのことです。
未来は、誰も確実に予測することはできません。
確かに、失敗するかもしれません。
でも、成功するかもしれません。
そのときに、ネガティブな可能性にしか注目しないのは、合理的ではないことは明らかでしょう。
一歩踏み出すアドラー式「幸せの3条件」
では、どうしたら良いのか?
この「おかしなクセ」からわき出る恐れを手放し、勇気を持って人生の諸課題に対処するために、実績や根拠は必要ないのです!
そこで求められるのは、「自分に対する根拠なき信頼(自信)」を持つことのみ、なのです。
これをアドラー心理学では「幸せの3条件」を自分は生まれながらにして持っているのだ、と「根拠なく信じちゃう!」と表現します。
アドラー心理学 【幸せの3条件】
- ありのままの自分を認めることができる人が(自己受容)
- 周囲の他者を信頼しながら(他者信頼)
- 自己を犠牲にすることなく、他者に貢献する(他者貢献)
自信とは、根拠を求めずに自らの可能性を信じ切ることです。
自分は「幸せの3条件」を兼ね備えているということに自信を持てる人は、どのようなライフスタイルを選択したとしても、勇気を持ってそれを建設的に使いこなすことができるようになります。
自分なりのライフスタイルを社会に貢献するように微調整しながら、様々な人生のチャレンジに対処することができるようになっていくこと。
これこそが、自立した大人の振る舞いです。
それでも、一歩を踏み出すのが怖い方へ、最後のメッセージです。
実は、一人で一歩を踏み出すのは、どんなライフスタイルの人であれ、とっても怖いものなのです。
だから、「自分だけじゃないんだ!」と気づいたあなたは、まず自分から周囲の人に「自分はネガティブ思考が過ぎて、一歩を踏み出せずに困っているんだ。」という事を「自己開示」してみてください。
そして、「私もそうだよ!」「オレも怖いよ!」という仲間を何人か見つけてください。
すぐに見つかると思います(笑)。
むしろ、あなたが先に自己開示して、自分のかっこ悪いところ、劣等感をさらけ出せば多くの方から「先に言ってくれてありがとう!」と感謝すらされる事でしょう。
ここまで来たら、あとは、「じゃ、みんなで、小さな一歩を踏み出してみようよ!」と声をかけてみるだけです。
いきなりデカいホームランを狙うのではなく、まずはバッターボックスに立ち続ける。
三振しても良いから、打席に立つ事を続ける。
それくらいでも、人生は続いていきます。
そして思っているよりも、信頼できる仲間が周囲にはたくさんいることに気づけたら、いつの間にかあなたのライフスタイルも少し変わっているかもしれませんね。
熊野さん、ありがとうございました!
- ネガティブ思考は悪いものではない
- 幸せの3条件「自己受容」「他者信頼」「他者貢献」を思い出そう
- 一歩踏み出すのはみんな怖い!まずは自己開示して仲間を見つけよう
参考になりましたでしょうか?
熊野さんのアドラー式子育ての講座では、自分のライフスタイルを見つめ直したり、建設的に使うためのコツを学ぶことができます。
気になった方はぜひチェックしてみてください!
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