子育てをするのは人間だけではありません。
動物も魚も虫もやはり子育てはしますが、そこには、人間の子育てとどんな違いがあるのでしょうか?
動物の子育てに学ぶ点は..?
今回は月刊『赤ちゃんとママ』で動物の子育てに関するコーナー「生きるための子育て」を連載。
先日『動物の子育ての世界』を出版した、テレビなどでもおなじみ動物研究家のパンク町田さんに、動物のパパの子育てについて教えてもらいました!
パパが子育てに活躍する動物は...!?
パパの育児参画が重要になってきている人間の世界ですが、そもそも動物の世界ではパパは子育てを頑張っているのでしょうか?
虫や魚なども含めて生き物全体で見れば、オス、人間でいう男性というかパパが子育てに大きく関わるという種類はとても少ない。
ほとんどいないというレベルです。
人間の感覚だと、子育てに関わる人数が多い方がいいと思うかもしれませんが、家族が増えるということは食いぶちが増える、つまりたくさんの食べ物を確保しなくてはいけません。
なので、種類によっては家族が少ないメリットもあります。
メス、母親だけで育てることができるのであれば、その方がいいという場合もあるんです。
そういう中で、パパが活躍するケースもあります。
例えば、もはや夫婦で協力しないと子育てが成立しないほど大変というケース。
コウテイペンギンがそれです。
ママが卵を産んだら、それを温めるのはパパの役目。約65日間温め続けます。
また、卵から孵った後も、少し大きくなって食べる量が増えてくると、パパとママは共働きのような状態となり、二人で狩りへ行きます。
また、変わった例だと、ハトがあります。
そもそもハトは鳥類で、哺乳類ではないのですが、赤ちゃんにミルクを与えます。
このミルクは喉の奥にある消化器官から染み出たもので口うつしで与えるのですが、メスだけでなくオスからも分泌されるものなので、ママだけでなくパパも授乳するのです。
ちなみにハトの親戚にあたるフラミンゴも同じで、ママもパパも両方が授乳します。
フラミンゴの場合、ミルクとはいっても色は真っ赤。
最初は白いフラミンゴの赤ちゃんはこの赤いミルクを飲んで、徐々に鮮やかなピンク色になっていきます。
人間のパパの中には、「子育てで、授乳以外はなんでもできる!」と話す人もいますが、なんとその授乳もできるパパが動物界にはいるんです!
ビックリですよね!
パパゴリラに学ぶべき点
子育てが大変でパパの手が必要という場合以外で、パパが子育てに参加するのはどんな動物で、どんな役割があるのでしょうか?
人間は親から子へ、子から孫へと習慣や経験、文化を継承しますよね。
動物の中にはそういう意味で人間と同じようにいろいろと継承していく種類がいます。
例えば、クジラは世界の海を回遊しますが、あのコースは本能などによるものではなくて、親から子へ受け継がれているものなんです。
またカラスに至っては、経験を伝えることもわかっていて、怖い思いをさせられたりすると、その経験を子に受け継ぎます。
ある研究によると、人間の顔まで認識していて、嫌がらせをした人の顔を子どもに教えるそうです。
このように子どもに文化などを伝えるためにパパの存在が必要とされ、一緒に子育てをするケースがあります。
その一つがゴリラ。
ゴリラのパパは子どもが3歳くらいになったころから一緒に遊んだりするケースが多くなるのですが、これはただ遊んでいるだけではなくて、ルールや知恵、道徳心を学ばせているのです。
群れで生活をする動物には、集団生活をする上で学びや社会性が必要になるのですが、ママから伝わるものだけでなく、パパから伝わるものも必要になってくるのです。
ゴリラの場合はパパがその役割となりますが、ゾウのようにおばあちゃんがその文化などを伝えたり子育てに関わる動物もいます。
広く動物界を見れば、年を取って子どもを産むことが難しくなると早く亡くなってしまうという種類の方が多いのですが、複雑な社会を作る種類は、子どもを養育、教育するために時間がかかるので寿命も長くなり、お父さんやおじいちゃんおばあちゃんも子育てに関わる必要があるんです。
まさに人間はそういう種類になるわけで、生き物全体で見るととても珍しい子育てをしているといえます。
また、集団で生活して、複雑な社会があり、文化を受け継ぐと考えると、パパも積極的に育児に必要があると考えられますね。
なるほど。
動物のスペシャリストの目線から見ても、どうやらパパが子育てに参画することは必要だと考えられるわけですね。
我々も頑張っていきましょう!
町田さんの連載からうまれた本『動物の子育ての世界』は絶賛発売中です!
今回紹介した動物のほかにもたくさんの種類の動物の子育てのことを知ることができますので、ぜひチェックしてみてください!
参考
『知るほど楽しい!パンク町田のゆかい痛快!動物の子育ての世界』(赤ちゃんとママ社)