子どものケガや病気に自宅ですぐできる応急処置の方法や、病院に行くべきかどうかの目安について、現役ドクターの解説をお届けするシリーズ企画「教えて!HOMEドクター 自宅でできる子どもの応急処置」。
第二回目は「子どもの発熱や熱性けいれん」への対応法。
HOMEドクターのアドバイザー杉本啓一先生に伺いました!
つい驚いてしまう子供の「熱性けいれん」の衝撃
生後半年頃から5・6歳くらいまでの小児に起きる「熱性けいれん」は、高熱が出た影響で脳が正常に活動しなくなることで起こると考えられています。
発症するタイミングは、発熱が始まってから1日以内がほとんどです。
幼いわが子が白目をむいたり、焦点が合わなかったり、硬直したり、体を反らしたり、激しく震えたり。
熱性けいれんの症状はショッキングなものが多く、驚くのも無理はありません。
対応するためには、「まずは冷静になること」が大事ではありますが、わかっていても慌ててしまうと思います。
そんな中で出来る限り冷静でいるために、症状や対応のポイントなどを5つにまとめました。
ポイント1:必要以上に恐れなくていい
先ほど、脳が正常に動かないことから起きると伝えましたが、後遺症として脳にダメージが出たり、発達などに影響したりすることはごくごくまれなことです。
また、割合としても10人に1人程度が経験するもので、そこまで珍しいことではありません。
つまり、熱性けいれんが起きてしまった時点で、「大変なことになってしまった」「将来、影響が出るに違いない」など、極端にネガティブに考えることはありません。
10人に1人が経験しているのに、その後遺症に苦しむ人が身近にほぼいないことを考えれば、理解してもらえるかと思います。
ポイント2:口の中にモノを入れない
大人がけいれんを起こした時に、舌を傷つけないように口の中におしぼりなどを入れた方がいいという話を聞いたことがある人もいると思います。
しかし、子どもの場合は、のどが詰まってしまい酸欠になってしまうことなどが考えられるため、しないようにしましょう。
代わりに、嘔吐を伴うことがあるので、詰まらないように体を横向きにするようにしましょう。
また、無理やり押さえつけたりせずに、周りにおもちゃなど硬いものがあればどかしたうえで、布団などに寝かせて様子を見てください。
ポイント3:パパはけいれんの長さと回数をチェック!
熱性けいれんを起こした子どものうち、1回限りで繰り返さないケースが半分以上です。
ただ、1日に数回、また期間があいて繰り返すこともあります。
また、ほとんどの場合は数分程度でおさまりますが、5分以上続くこともあります。
けいれんがたびたび繰り返すか長く続く場合には、けいれんを止めるために薬を飲むなど処置が必要になる場合もあります。
救急車を呼ぶことも検討してください。
夫婦二人で対応できる状態であれば、ママが子どものケアをしている間に、パパはどのくらい続いているか時間をチェックするなど分担するといいでしょう。
もちろん役割は反対でも構いません。
また、スマホなどでけいれんしている状況を録画しておくと、のちに病院にかかったときにより具体的に症状を伝えることができるので、余裕があれば撮っておくのもいいと思います。
ポイント4:熱性けいれんだと決めつけずに病院へ!
必要以上に心配する必要はありませんが、絶対に安心だとも言い切れません。
子どもがけいれんを起こす原因は、髄膜炎など熱性けいれん以外にもあります。
わが子の状況がここまでに伝えた症状の例に当てはまっていたとしても、落ち着いてからでいいので、病院に行って、診断を受けることをオススメします。
ごくまれだとは言え、子どものことを考えたら自己判断はしないように。
基本の発熱対応はしっかりと押さえることが大事!
そもそも子どもは熱を出しやすいもの
親御さんの中には「なんでこんなに熱ばっかり出すんだろう??」と思っている人もいるかもしれません。
しかも、さっきまで元気だったのに突然熱を出すこともよくあります。
これは、小さい子どもは体の中で起こった異常に敏感であり、かつ反応が早いためで、体を守るために必要な機能だと考えられます。
反対に、高齢になってくると反応が鈍くなってしまい、かなり悪くなるまで症状が出ないというケースも出てきます。
頻繁に熱を出すということは、それだけ「体を守る力が強い」くらいに思っておいていいと思います。
対応する方は大変だと思いますが。
辛さに耐えたから体が強くなるわけではない
「熱が出るのは、体の中で悪いものと戦っているからなので、無理に熱を下げない方がいい」という情報を見かけることがありますが、お子さんが辛そうであれば、熱を下げる方法をとってもいいと思います。
子どもの体は辛さに耐えることで強くなるわけではないですし、急激な高熱で熱性けいれんを起こすこと以外にも、体に悪影響を及ぼしかねません。
「子どもは基礎体温が高いからこのくらいは大丈夫だろう」と思いがちですが、基本的に体温が37度を超えている状態は正常とは言えません。
熱がどんどん上がっている中では、座薬などを使って熱を下げるのも決して悪いことではありません。
ポイント5:保冷材はパッと出せるように冷凍庫に準備!
座薬などがないときなど、すぐにできる解熱方法として、太い血管が通っているところを冷やすという方法を覚えておきましょう。
具体的には「脇の下」「首」「鼠径部」(足の付け根)あたりです。
冷蔵庫の中にあるペットボトルでもいいですし、保冷剤を使ってもいいと思います。
ただ、保冷剤を使う場合はガーゼなどでくるんで冷やしすぎないようにしてください。
保冷材は解熱だけでなく打撲などの時にも使えるので、サッと出せるように常に準備しておきましょう。
また、昔は熱が出たら温かくしないといけないと思われてきましたが、かえって熱がこもってしまうので、布団をたくさんかける必要もありません。
むしろ風通しの良い状態を作ってあげた方がよいです。
そして、熱が出ている時は汗をかくことも多くなりますし、症状によっては嘔吐や下痢を伴うことがあって、水分を失いがちになるので、水分補給はなにより優先してください。
まとめ:子どもが熱性けいれんになった時の5つのポイント
5つのポイント
- 必要以上に恐れなくていい
- 口の中にモノを入れない
- ママと対応できるなら、パパは長さと回数をチェック!
- 熱性けいれんだと決めつけずに病院へ!
- 保冷材はパッと出せるように冷凍庫に準備!
いかがでしたか?
いざという時のために、ブックマークしておいてくださいね!
平日の日中など病院があいている時間ならまだしも、子どもは夜や休日に突然体調を崩すこともよくあります。
こんな時こそ頼りになるのが「HOMEドクター」。
東京・神奈川近辺で夜間・休日の往診サービスを展開しているので、気になった方はHPをチェックしてみてください!
【杉本啓一】
平成9年昭和大学医学部卒業。
勤務医として活動した後、平成17年に独立。
独立後より在宅医療を開始し、小児~お年寄りまで診療。
現在は在宅医療の他に神奈川県横浜市に2院、東京都豊島区に1院の合計3院の医療法人社団あおい会の理事長も務める。
HOMEドクターのアドバイザーも務める。