年齢を問わず、誰かに言われたことに対して返事をすることはとても大事です。
ただ、その返事は抜群にいいのに、全然伝わっていないとなると複雑な思いがこみ上げてくるもの。
では、わが子がそんな返事だけ抜群の子だったら?
アドラー式子育ての熊野英一さんから、どのように対応したらいいか、アドバイスをもらいました。
返事だけの子ども、考えられる要因とは
ただ、ちょっと気になるのは、呼んだり、何かをお願いした時にとても大きな声で返事をするものの、全然聞いてないし、行動にも移さないのです。
これってどんな状況なのでしょうか?
「〇〇ちゃん、これ片づけてね」と声をかけたのに、返事はおろか、こっちも見てくれないなんてことありますよね。
子どもの中には、自分の興味のあるものに集中してしまっていたり、他のことを考えていたりして、反応をしないというケースはよくあります。
この場合は「気づかない」という問題が明らかなので、どうにか気づくように「ちゃんと聞こえている?」と声をかけたり、肩を叩いてみたりして、注意を促すといった対策を取りやすいように感じます。
もちろん、これはこれで何度も続くとイライラするところだと思いますが、「はーい!」という気持ちのいい元気な返事をしたものの、全然行動には移さないとなると...
「・・・やらんのかい!」と盛大にツッコミをいれるとともに、「今の返事はなんだったんだ??」と疑問は返事をしないことよりも深まるでしょう。
あくまで推測にはなりますが、いくつか要因は考えられると思います。
まず、そもそも返事をすることの意味を理解していない可能性。
「何を言われたらとりあえず大きな声でいい返事をしたらほめられる」と考えていて、「返事をした」=「了承した」という大人としては当たり前のシステムが成り立っていない状況です。
もしかしたら「100万円ちょうだい!」とこちらが言っても、同じように「はーい!」と返事をしてくれるかもしれません(笑)。
この場合はもう理解するまでじっくりと伝え続けるしかありません。
決して、「返事だけはいいダメな子」というような評価をすることは控えた方がいいです。
返事をしてもしなくても怒られるような状況になってしまうと、その子の勇気はくじかれてしまいます。
また、他には「はーい」と言っておけば、とりあえずやらなくてもあとはパパやママがなんとかしてくれるというケースです。
これも、返事をすることの意味を理解していないというところは似ているかもしれません。
どちらかというと、上手にパパやママを使うことを覚えてしまっているような感じで、まんまと術中にはまっている可能性も考えられます。
何せ子どもは返事だけをすることで、どうにかなるので何も困っていません。
なので、その後もこういった状況は続くことも考えられます。
ここはひとつ、返事をしたら動き出すまでじっくりと待つことも必要かもしれません。
そして、他にも考えられることがあります。
親の前だけのケースなのか、状況に応じた対応を
もうひとつは、ちゃんと返事をすることの意味も理解していて、声をかけられた時にはしっかりと対応するつもりで元気よく返事はする。
しかし、いざ行動に移す前に忘れてしまったり、別のことを考えてしまったりするようなケースもあり得ると思います。
端的に言うと「忘れっぽい」という個性の場合です。
返事をするのにやらない、となると、親としては「本当にやる気があるの?」と思ってしまうと思いますが、やる気がないわけではないかもしれないのです。
これも親としては、自分の主観で「ダメな子」と感じてしまいがちですが、そこで決めつけないことは必要になります。
では、この場合はどうしたらいいのでしょうか?
まずは、本当に忘れっぽいかどうかを確かめるために、ちょっと視野を広げてみることをオススメします。
例えば、その娘さんと普段から会っているおじいちゃんやおばあちゃん、または保育園の先生などでもいいので、聞いてみてはどうでしょう?
同じように声をかけたときに返事だけで終わってしまうのか?と。
場所や人によって、行動や反応に違いが出ることは大人も子どもも同じです。
保育園では滞りなくご飯を食べるのに、家ではパパやママに食べさせてくれないと食べない子もいますが、返事もまた同じ。
もしかしたら他の人に聞くことで、わが子の別の一面が見える可能性も十分にあるのです。
もし保育園など他のところではできているのに、親であるパパやママの前ではできない、やらないという場合。
「親のことをバカにしている」と感じて腹を立ててしまうこともあるかもしれませんが、もう少しとらえ方を変えると「親だと安心して甘えている」とも考えられます。
不要に対立構造を作らず、穏やかに対応することも大切だと思います。
そして、場所や人に関わらず同じように返事だけをするようだったら、それはもうその子の個性だと受け容れる必要があると思います。
そして、その子がのちに困らないようにするためにどのようにサポートしたらいいかを考えていきましょう。
それもまたパパひとり、もしくはパパとママだけでなく、保育園の先生などとも一緒に考えると、一貫性を持ったサポートになると思います。
わが子のことは一緒にいる時間が長い親が一番わかっている、そう考えがちですが、子どもにもいろいろな面があるものです。
できるだけ多角的な視点や意見を参考にしながら、成長に寄り添っていってあげてください。
熊野さん、ありがとうございました!
改めておさらいすると…
ポイント
- まず、返事だけで行動しないことを「ダメ」と決めつけない。
- 返事をすることと行動することが紐づいていなければ、じっくりと伝える。
- 保育園の先生やおじいちゃんおばあちゃんなど、いろいろな人に相談してみる
- 個性だった場合は、周りの人と一緒にサポートする方法を考える。
大人にとって当たり前のことでできないと、とにかく親は心配になります。
でも、子どもはまだまだ練習中であり、成長中です。
それもまた当たり前のことなんですが、つい忘れがちですよね。
親の方も懐を深く持って接していきましょう。
また、熊野さんのアドラー式コミュニケーションの講座では、家庭はもちろん仕事でも使えるコミュニケーションのコツを学ぶことができます。
こちらも気になった方はぜひチェックしてみてください!
あわせて読みたい
-
-
本を読まない我が子。親のNG行動と子どもに読書を進める方法
絵本の読み聞かせや読書は、子どもの教育にとてもいいといわれます。 実際に様々な効果もありそうですが、もしわが子が本を読まない読書嫌いだったら、親としてどのように対応したらいいのでしょうか? またかえっ ...
-
-
自信を持てない子どもが心配...原因や親ができることは何!?
生きていく中で、チャレンジすることは大切なことですが、一方で失敗することも怖いですよね。 もしも子どもがなかなかチャレンジできない、自信がないという時に親としてはどう関わって、何をすればいいのでしょう ...