これまでも「パパしるべ」ではたびたび扱ってきましたが、子どものしつけは親にとって永遠のテーマ。
今回は、子どもが言うことを聞かない時に、強く言ったり怒鳴ったりするのは良くないとわかっていながらも、どうしたらいいか悩むパパからのご相談です。
怒鳴らなくても子どもにわかってもらうには、どうしたら良いか。
アドラー心理学を基にしたアドラー式子育ての熊野英一さんに、具体的なアドバイスをいただきました。
子どものしつけ、「怒鳴ること」と「褒めること」の共通点とは
以前の、本当パパしるべの記事で怒鳴ったり、強い言葉を使ってしつけることはよくないとわかりましたが、やさしく伝えても全然わかってくれません。
そんな時はどうしたらいいでしょうか?
もっとほめた方がいいでしょうか?
まずは記事を読んで頂いてありがとうございます。
とはいえ、あくまで子どもたちの個人差もあれば、置かれた状況も違いますので、必ずしも思った通りにはならないものです。
そんな時にはどうしたらいいのか?考えていきましょう。
子どものしつけは調教ではない
読んでいただいたのはきっとこちらの記事だと思います。
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改めて内容をおさらいすると…
ポイント
- 恐怖で人をコントロールすることが減ってきていることからもベストではない
- 恐怖でコントロールしようとすると、自分で考えることができなくなる
- 恐怖から逃れるために不正をする子どもになってしまう恐れがある
- 子どもの自立を目指すために強い言葉が必要か、もう一度考えてみよう
怒鳴ったり、強い言葉で伝えようとすると短期的には効果が出ることもあるかもしれません。
しかし子どもたちは「どうしたら怒られないか?」を考えるようになり、不正をするようになったりします。
結果、子どもの自立を目指すのであれば「恐怖心を与えること=怒鳴ること」はいい方法とは考えにくい、ということをお伝えしました。
とはいえ、やさしい言い方で伝えてもなかなか受け止めてくれないケースももちろんたくさんあって、そのことでイライラしてしまい、結局強い言葉になってしまうという人もたくさんいると思います。
質問のパパはその一方で「もっとほめた方がいいのか?」とされていますが、そこについても考える必要はありそうです。
ほめられないならやらない、と言う発想も
「賞罰」という言葉があるように、怒鳴るなどの罰を与えることと、ほめたりなど賞=報酬を与えることは、同じラインにあるものだと思います。
ほめること自体は決して悪いことではありません。
ただ、多くの人は「できたらほめる」という具合に評価をするような感覚だと思います。
人間関係について、上下関係ではなく、横並びの対等な関係であることを健全だというアドラー心理学の考え方でみれば、「怒鳴ること」も「ほめること」も似ています。
また、いずれも「しつけ」という目的のもとに、子どもをコントロールしようとしているという意味では共通していると思います。
だからこそ「怒られないためにやめる」ということと同じように、「ほめられないならやらない」ということが起こる可能性はとても高いでしょう。
怒ってもいけないし、ほめてもいけない。
まるで八方ふさがりのように感じるかもしれませんが、そんなことはありません。
では、どんなことをしていけばいいのでしょうか?
怒鳴ったりほめたりするよりも大切なこと
子どもはありのままでいい
子どもの行動の目的の多くは「親に注目してもらいたい」ということです。
これは生活をしていく上でもっとも身近で、自分にとって大切な存在だからこそ求めているものだと思います。
全てではないと思いますが、不適切な行動をとる子どもの多くは、その方が親は注目してくれると思っているから。
裏を返せば、普通のことをやっていても注目してもらえないと感じているということです。
一方で、やたら優等生的なことをする子どもは、その方が親が注目してくれるからしているとも考えられます。
いずれにしても、このような親子関係は「できたらほめられる」「できなかったら叱られる」という状況であり、親の顔色をうかがっていますよね。
本来の目的は、親がどう感じるか?ではなく、どうしたらいいか自分で考えて行動できるようになることのはず。
その状況を作るために親ができることは、できたできなかったに関わらず注目することだと思います。
例えば、子どもがした何気ないことでも「ありがとう」と声をかけたり、「そうやったんだね」と見つけて認めたりすること。
意外とできていない人も多いと思います。
意識して続けていくことで、だんだんと不適切なことや過剰に優等生的なことをして、注目を引こうともしなくなるはずです。
例え不適切な行動をしても、親の方も過剰に反応しないで冷静に対応し、普通にしていても注目しているメッセージを伝え、子どもが安心することを目指しましょう。
子どもは親の言うことを聞いているのではない
また、こういった行動を親が心がけることで、子どもの行動も変わると思います。
アドラーはこんなことを言っています。
「子どもは親の言うことを聞いているのではない。親のしていることを見ているのである」
要は親自身がお手本になること。
子どもに伝えたいこと、教えたいことは、自分自身が丁寧に、そして気長にやってみせることが大切だということです。
親が、できるできないで怒鳴ったりほめたりを繰り返すことをしなければ、きっと子どももそういう価値観を持って今後も評価軸ではない人間関係を築いていくことに繋がるはずです。
そう考えたら、まずは何より自分自身の行動を、今まで以上に意識してやってみて、少し長い目で子どもの事をみていってあげましょう。
熊野さん、ありがとうございました!
改めておさらいすると…
ポイント
- 怒ることもほめることもコントロールしようとしていることには変わりない
- できたできなかったに関わらず子どもに注目するように意識してみる
- 子どもにやってほしいことは自分が丁寧に実践してお手本になる
どうしても「なんて言ったらいいのか?」と考えてしまうことが多くなりますが、言葉だけではちゃんと伝わらないこともあるんですよね。
まずは自分の行動!
耳が痛いところもありますが、意識してみましょう!
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