男性の育休取得率も徐々に上がり、子どもが産まれたタイミングにあわせて夫婦で同時に育休に入るケースも出てきています。
人手も増えるし、いいことがたくさんあると思ったら、想定外の夫婦喧嘩が絶えない状況に...!
育児を頑張りたいけど妻との関係にも悩むパパに、アドラー心理学を基にしたアドラー式子育ての熊野英一さんからアドバイスを聞きました。
夫婦同時育休は素晴らしいけど、頑張りすぎない
会社のみんなもたくさん協力してくれて温かく送り出してくれました。
育児は大変だけど、やりがいもあって子どももかわいくて頑張っていきたいと思うのですが、同じく育休中の妻とぶつかって喧嘩をすることが劇的に増えていて困っています。
もうこれは仕方ないのでしょうか?
まずは第一子誕生おめでとうございます!
本来であればこここそ夫婦で力を合わせていきたいところかもしれませんが、出産からしばらくは女性もホルモンバランスの乱れや子どもを守るための本能が全開の状況で難しいところがあるかもしれません。
我々ではどうにもできないこともありますが、それも踏まえて気の持ちようを考えていきましょう。
育休中は視野が狭くなりがち
新生児の世話をすることは本当に大変です。
初めてのことですし、やり方がわからないことも多い。
また、何よりか弱い命を守らなくてはいけないというプレッシャーは相当です。
やらなくてはいけないことも多い中で、夫婦で揃って育休をとって育児に向き合うことは、単純に人手が増えるという意味でも大きいですし、その命を守るプレッシャーを共有することはきっとこの先の育児にいきてくると思います。
そういう面では、二人で育休を取ることはとても素晴らしいことです。
ただし、意外と気が付いていない難しさもあると思います。
あくまで推測ですが、日本ではいまだ男性が育休を取得する割合は限定的です。
しかも3か月取得するには業務上いろいろな調整が必要だったと思うので、それを達成させた熱意や努力から、とても前向きに育児に取り組もうとしている意識が見られると感じます。
ただ、積極的であればあるほど、視野が狭くなってしまいがちという落とし穴もあります。
子どもや妻のためになるのは頑張ることだけではない
育休取得を認めてくれた会社や上司、休業中の仕事をサポートしてくれる同僚や部下などたくさんの人たちのことを思い、
「せっかく育休を取ったんだから“支えてくれたみんなのため”にも全力で頑張らないと!」
くらいに思っている人は結構多いように感じます。
もちろん支えてくれた周りの人たちへの感謝も大事ですが、やっぱりそこは妻と子どものことに集中していいと思います。
具体的には「頑張らなくちゃ」と思いすぎてのめりこむだけでなく、時には一歩引いてちょっと視野を広げて自分の体調やメンタルを整える。
それこそ、産後であるがゆえ自分ではなかなかうまくコントロールできない状態の妻を、受け止められるようにすることも大切です。
ドンと構えて、起こったことに対応できる余裕を作ることも大事なわけです。
育休中は気分転換をするチャンスが劇的に減ります。
今まで面倒だと思っていた通勤の時間も、大変だと思っていた仕事の時間も、ある種気分転換に繋がっていたことでしょう。
かといって自分勝手に気分転換しようとするのも違いますし、妻もまたこれまで働いてきたのであれば、同じように気分転換のチャンスを失っている状態です。
その認識を持って話し合い、お互いの気分転換の時間を能動的に作る方法を考えてみてください。
夫婦の意見に上下はない
知識を持つとそれが正しいと思いがち
きっと、育児を始めるにあたっていろいろと勉強されたと思います。
それ自体はとてもいいことですが、もしかしたらそれを「正しいこと」として、妻と話してはいませんか?
ホルモンの影響もあるかもしれませんが、妻が些細なことでもイライラする原因として、普段から「認められている」と感じられていないなど、心が満たされていない可能性も考えられると想像します。
ハッピーで余裕があるときは、たいていのことはスルー出来るものですよね。
もちろん、新生児を育てる上でやってはいけないことや、やったほうがいいことはありますが、そのやり方やタイミングなどは夫婦それぞれ違うこともあります。
その違いに上下や優劣をつけてしまうと、否定されたように感じて精神的には疲弊していくばかり。
決していいことはありません。
向き合って戦うのではなく、横に並んで、子どもに向き合うスタンスをとるように心掛けてみてください。
相手の関心に関心を持つ「共感」のスタンスです。
妻が何を見て、妻が何を考えているのか、まずはそこを踏まえて話をしていきましょう。
妻にできるだけたくさん話してもらう
時には、どんなに頑張っていてもイライラした妻から覚えのない怒りをぶつけられることもあると思います。
出産からしばらくはよくあること、悪気はありません。
そんな時に、売り言葉に買い言葉で言い返してしまうのは全く意味がないことです。
もちろん、イライラはするでしょうけど、そこはひとつ深呼吸をしたり間を取って冷静に対応することが必要だと思います。
同じ土俵に乗らないという選択です。
もしかしたら妻も言いたいことを言うだけで、スッキリする可能性も充分にあります。
以前にもお伝えしたように、ある研究によると男女が一日で話す言葉の数は、男性が7000語に対して、女性は20000語という大きな差があります。
しかも、女性は6000語を下回ると大きなストレスになるそうです。
赤ちゃんがまだ話すことができないので、育休中に話せるのはパートナーだけです。
だったらここはもう覚悟を持って、たくさん言いたいことを話してもらいましょう。
きついと感じることもあると思いますが、ここはふんばりどころだと思います。
二人とも初めてのことだからこそ、ともに視野が狭くなりがちで、気分転換のチャンスも逃げ場もないのは初めての育休のツラいところかもしれません。
でも、それをわかった上で少しでも力を抜けるように取り組むことは、強い絆をうむチャンスでもあると思います。
気持ちを切り替えて前を向いていきましょう!
熊野さん、ありがとうございました!
改めておさらいすると…
ポイント
- せっかく取った育休だけど、のめりこみすぎないように気をつける
- 育児のやり方考え方は人それぞれで上下はないと考える
- 普段からディベートのようにならないように、横に並ぶスタンスで
- 強い言葉を言われても冷静に。たくさん話を聞くように!
今回のパパは喧嘩が多くなったことを気にしているようですが、きっとうまくいっていることもたくさんあると思います。
ともに育休を取っていると、一緒に過ごす時間が長くなるわけですから、どっちも回数が増えるのも当たり前のこと。
ケンカの数じゃなく、うまくいっている数を数えてみてはどうかなと思います。
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