「夜の10時から深夜2時までは睡眠のゴールデンタイム」という話、聞いたことがある人も多いと思います。
だからこそ、どんなに忙しくても「子どもは早く寝かせないといけない!」と焦ってしまうことが増えてきますよね。
やっぱりこのゴールデンタイムは死守すべきなのでしょうか?
もし寝る時間が遅くなってしまったらどれほど問題があるのでしょうか?
『祖父母手帳』や『小児科医ママとパパのやさしい予防接種BOOK』の著者で小児科専門医の森戸やすみさんに教えていただきました。
もちろん睡眠は成長に大事です。
私たちの体は、明暗の周期による24時間と数分程度の「概日リズム」という、いわゆる「体内時計」に従って活動しています。
一般的に言う「睡眠のリズムが乱れる」というのは、この「概日リズム」を乱すことにつながります。
そうすると、引きこもりがち、身体的不調、不安感や落ち込み、社会的な問題行動、思考力や注意力の低下、攻撃的な行動といった問題が多くなる傾向があります。
これは大人も子どもも同じ。
つまり、睡眠が体にとって大事というのは全員に当てはまることになります。
眠りにつく時間が遅くなると、自ずと睡眠時間が短くなりがち。
だからこそ、子どもはなるべく早く、できれば毎日同じ時間に寝かせた方がいいでしょう。
睡眠のゴールデンタイムじゃなくても成長ホルモンは出ます
かつては22時から2時の間を「睡眠のゴールデンタイム」として、この時間に寝ていないと成長ホルモンが出ないような言い方がされることが多く見られました。
それを信じて、早い時間に寝てくれないと成長に影響してしまうと思っていた人もたくさんいるのではないでしょうか。
しかし、現在は、成長ホルモンがこの「睡眠のゴールデンタイム」はもちろん、夜にだけ多く分泌されるということはないということがわかっています。
たとえ昼寝でも寝入った直後に多く分泌されるということです。
つまり、睡眠のゴールデンタイムに寝ていないことが成長に影響するということではないのです。
現時点で、昼寝と夜間の睡眠で合計何時間の睡眠が適切かという具体的な結論は出ていませんが、幼児は合わせて10~12時間くらいの睡眠時間がとれていて、日中の活動に支障がなければ問題はありません。
また、スムーズに眠りにつくためには環境も大切です。
赤ちゃんは明るいところでもぐっすり眠ることができるイメージがあるかもしれませんが、それは大体生後3ヶ月から4ヶ月くらいまで。
この時期の乳児は周りの明るさに関係なく寝たり起きたりのサイクルを繰り返します。
しかし、それ以降では部屋が暗い方が早く眠りにつきます。
布団の重さも入眠に関係があります。
重たい掛け布団と敷き布団よりも、通気性が良くて軽い掛け布団と敷き布団の方がよく眠ったという研究もあります。
子どもをスムーズに寝かせるためには、毎日だいたい同じ時間に部屋を暗くして、通気性の良い寝具を使うといいということです。
子どもがなかなか寝ないと焦ってしまうことがあると思いますが、そんなときはぜひ寝るときの環境を見直してみてください。