子どもと一緒に行動していると、困った行動をすることがあります。
特に困るのが、駄々をこねた時。
何を言っても聞かない状態の子どもとどう接したらいいのでしょうか?
NHKeテレ「すくすく子育て」などでおなじみ、大阪教育大学の教授で元保育士の小崎先生に聞いてみましょう!
駄々をこねない完璧な子どもが理想ですか?
うちは共働きで僕が保育園のお迎えを担当しています。
ただ、最近息子が帰り道で「帰りたくない!」と駄々をこねることが増えてきて困っています。
こういうときはどうしたらいいでしょうか?
相談に答える前に、まずパパに質問です。
これからどんな子どもになって欲しいと思っていますか?
ぜひこの機会に考えてみてください。
この相談から察するに「駄々をこねる息子にはなって欲しくない」と思っておられるのでしょうね。
もちろん駄々をこねたり、わがままを言ったり、いうことを聞かない子どもと対峙することや対応することは、時として大変だったり周りから白い目で見られたりします。
親としてもつらいところですね。
こんなに手のかかる育てにくい子どもにはなって欲しくない!というところでしょうか。
その気持ちもよくわかります。
それではどのような子どもが、理想の子ども像でしょうか?
今の話の流れで行くと、そのような子どもではない子どもとなりますね。
「ちゃんということを聞いて、わがままを言わず素直で、大人しくていい子」
もっと言うと、
「かしこくて、運動ができて、笑顔が素敵で、要領が良くて、子どもらしくて、自分のことはなんでもできて、周りに気を使い、よく食べよく寝てよく遊ぶ子ども」
どうですか?完璧ですね。
けれどよく考えてくださいね。
もしこんな子どもがいたら、きっと親なんかいりませんよ。
この子は一人でしっかりと生きていくでしょう。
駄々をこねるのには、子どもなりの理由がある
子どもはまさに今成長の途中で、一生懸命に全身全霊で「生きて行く練習」をしています。
それは決してうまく生きることではないはずです。
これから将来に向けてうまく生きるために、今いろんな失敗や間違いをしているのです。
それは時には大人や親や社会から見れば、「困ったこと」「大変なこと」「面倒臭いこと」に映るのです。
けれどその姿が子どもの証であり、誰しもがそのようにして成長してきたのです。
パパはこれまで、ずっとうまく生きてきましたか?
そんなことはないはずですし、また覚えていないだけできっと悪い子でした。
それでいいんです。
生きる練習をいっぱいして、失敗して周りを困らせた方が、高い経験値を得ることができているのでしょう。
また周りがそれをうまく受け止めて対応してくれたからこそ、今のパパがあるのですね。
道端で突然帰りたくなくなったお子さんは、とても子どもらしくまた一生懸命にパパにメッセージを出しています。
パパはそのメッセージを、うまく読み取ることができていますか?
子どもの姿に対して「困った」と思った瞬間に全てのメッセージが、読み取れなってしまうはずです。
だからこそ、子どもの生きていく練習に付き合い、その子どもの真のメッセージ読み取るためにも、まずはその気持ちをグッと抑えることからはじめてみてください。
小崎先生、ありがとうございました!
駄々をこねている子どもに対して、つい怒ってしまいたくなりますが、そこは気持ちをぐっと堪えて、子どもがなぜそこまでして主張するのか。
そこに込められた気持ちやメッセージは何なのか、受けて止めてみることから始めてみましょう。
小崎恭弘
兵庫県西宮市初の男性保育士として施設・保育所に12年勤務。
三人の男の子それぞれに育児休暇を取得。
それらの体験を持ちに「父親の育児支援」研究を始める。
テレビ・ラジオ・新聞・雑誌等にて積極的に発信を行う。
父親の育児、ワークライフバランス、子育て支援、保育研修等で、全国で年間60本程度講演会等を行う。
これまで2000回の公演実績を持つ。
NHKすくすく子育て、視点・論点、たすけて極めびと、ビビット等出演
朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、神戸新聞等でそれぞれに連載を持つ。
NPOファザーリングジャパン顧問、東京大学発達保育実践政策学センター研究員。
兵庫県、大阪府、京都府等様々な自治体で委員を務める。