家事育児に積極的な男性が増えている、とは言われますが、そうじゃない人もまだまだたくさんいるようです。
今回は、同じ保育園に子どもを通わせるママ友から「家事や育児をしない夫を変えて欲しい」と相談を受けて、対応に悩むパパからのご相談。
アドラー心理学を基にした、アドラー式子育ての熊野英一さんからアドバイスをお伝えします。
これはなかなか難問ですね...
本来は夫婦の問題。だけど協力依頼と受け取ろう
毎朝、保育園の送迎をしているのですが、そこでよく合う息子のクラスのママ友から「毎日、素晴らしい!うちの夫にもやるように言って!」と、言われるんです。
聞くとそのママ友の夫は家事も育児もしないらしいのですが、僕から言うのもなんか違う気がしていて、これってどうしたらいいのでしょうか?
なるほど。
「なんか違う」どころか「知らんがな!」と喉まで言葉が出てきそうな案件ですね。
でも、きっとこの後も付き合いが続くであろうママ友ですから、ちょっと考えてみましょう。
もちろんお門違いの相談です
もし仮に、あなたがあまりよく知らない誰かから「もっとこうした方がいいよ」と急に言われたとしたら、そのアドバイスを素直に聞けるでしょうか?
よほど素直な方でなければ「急になんだよ」と反発するか、しれっと受け流すと思います。
ママ友に言われるがままにその夫にアドバイスをすることは、まず避けた方がいいでしょう。
一方で、そのママ友に対して「そんなこと言うもんじゃないよ」みたいに、否定をするようなことも辞めた方がいいと思います。
おそらく、自分は悪いことをしているつもりはないのに否定されたと感じて、もしかしたらあなたを攻撃してくる可能性がありますよね。
あなたも「ちょっと違う」と言っていますが、そもそも、これは夫婦の問題です。
第三者であるあなたがどうこうできる問題ではないし、足を踏み入れることでもありません。
そして、それを第三者に頼むことがお門違いではあるのです。
言わずとも聞こえる「どうせ」
本来は、夫婦でコミュニケーションをとって、おそらく妻に偏っているであろう家事育児の負担や、それによって困っている状況を改善する方法を探っていくのが一番いいことだと思います。
ただ、これも想像ですが、すでにママ友は何度も夫に窮状を話していて、それでも改善されないことにいら立っているんだと思います。
全ての人のありのままを尊重するアドラー心理学では、「相手を変えることはできない」「変えようとすることもしない」という前提があります。
しかし、一緒に困難を乗り越えていくために協力を依頼することは全然アリです。
最初のうちはちゃんとお願いしていたかもしれませんが、数を重ねるうちに「何度言ったらわかってくれるの!」と上から目線の命令になっていってしまったのかなと思います。
やはりそこは原点に戻って、協力依頼のスタンスでお願いすることは大切なんだと思います。
ただママ友はきっと今、それに疲れてしまっていて、「どうせ言ってもわからない」「どうせやってくれない」と「どうせ」という呪いにとらわれて、本来取るべきコミュニケーションを放棄してしまっているように感じます。
まずは、なんとかしようと頑張ったママ友に共感しつつ、その上で、今回はママ友からの「愚痴」ではなくて「協力依頼」と受け取ってみましょう。
「家事をしない夫」に第三者ができること
まずは話をしてもらう
人はどうしても周りの人のできていない部分に注目してしまいがちです。
ママ友の夫は家事や育児をあまりしない人だったとしても、それが全てではありません。
職場では人望が厚いとか、後輩の面倒見がよいとか、お金の計算が早いとか、、、ネガティブな面に注目をしてしまうと、その人が持っているいいところが見えなくなってしまうことがあります。
だからと言って、ママ友に「夫のいいところはなんですか?」とストレートに聞いたとしても、おそらく「ひとつもない!」と言いそうな勢いですよね。
でもきっと、少しずつ話しているうちにそんな話が出てくるかもしれません。
まずは話を聞く、というよりも話をしてもらう、という感じでしょうか。
同意する必要はありませんが、自分の価値観や正義感をいったんおいておいて共感してみてください。
おそらくまずは誰かに話したいのではないかと思うので、少しは落ち着いてくるかもしれません。
夫のいいところはなかなか出てこないかもしれませんが、少なくとも狭まっている視野を広げることに繋がる可能性はあります。
夫にはなんて言う?
特に夫に対してわざわざ何かをする必要はないと思います。
でも、もしも機会があったらちょっと話してみてもいいかもしれません。
もちろん「ママに相談されてる」なんて、口が裂けても言わない方がいいことはすでに分かっていると思います(苦笑)
ただ、もしもママ友の口から夫のいいところや助かっているところなどポジティブな話が少しでも出ていたとしたら、それは伝えてあげてもいいような気がします。
関係が良くない状況では面と向かってポジティブなことが言えないこともありますし、言ったとしても相手から「何か魂胆があるのか?」と思われてしまったりするもの。
でも第三者から「この間、ママが助かってるって言ってましたよ」と言われたら、それは割と素直に受け入れられるかもしれません。
少しでもお互いの心のハードルが下がれば、こじれてしまった関係も変わってくる可能性はあるものです。
ただ、これで確実に関係が良くなるということではありません。
最終的には本人たち次第であることは変わらないのです。
とはいえ、そもそものところはあなたがそんなに頑張る必要なんてないかもしれない。
今回は、もしもママ友たちが本当に関係を修復することを望んでいて、あなたに協力を依頼していると仮定しての話です。
くれぐれもなんとかしてあげようと考えすぎて、他の夫婦に立ち入り過ぎることがないように気を付けてくださいね。
熊野さん、ありがとうございました!
改めておさらいすると…
ポイント
- 基本的には、あまり深入りしない方がいいが、依頼されたら協力するのはOK
- 共感するスタンスで話を聞き、狭まっている視野を広げるサポートをする
- 最終的には本人たち次第。踏み込み過ぎないように
パパ友やママ友との付き合いはなかなか難しいところがありますよね。
ただ、一方では心強い存在になってくれることもあると思います。
いい距離感で付き合っていけるように心がけていきましょう。
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