兼業主夫が骨折してわかった、パートナーを“頼ること”の難しさ

パパしるべ編集長は、主に家事と育児を担う“兼業主夫”として20年を過ごしてきました。

そして、新年早々まさかの骨折。

右手が使えないので、料理などの家事はもちろん自分のこともできない状態に...

そんな状況で生活のバランスが変わったことで感じた、夫婦関係の難しさについて経験談を交えてお伝えします。 

主夫の骨折は一大事なのです

パパしるべ編集長のジョージです!

LINE公式アカウントに登録している皆さんにはお伝えしましたが、先日、小6次女の願いに応えてアイススケートに行きました。

そこで転倒した際に手をついてしまい、右手首を骨折...。

キーボード操作にも時間がかかるため、記事の更新を2週間ほど休ませていただきました。

記事を楽しみにしてくれている皆さんには、ご迷惑とご心配をかけてしまい申し訳ありませんでした。

診断は全治3週間程度。

折れた部分にズレがなく、骨折にしてはかなり状態がよかった(?)ようです。

おかげで手術をすることもなければ、ギプスも完全に固めるタイプではなく、やけにカッコイイ改造人間のような着脱タイプの固定具を使うことになりました。

右手が使えなくて困った意外なこと

右利きの僕が、右腕を前腕部分から手のひらにかけて固定するわけで、とにかくいろいろなことができません。

何に困ったかというと、まあ・・・ほぼ全部なのですが、改めてピックアップしてみました。

1.料理ができない

わが家は僕が子どもの頃から料理好きで、また自営業で家作業が多いので、結婚前から20年以上料理はほぼすべて担当してきました。

もちろん他の家事も洗濯以外は僕がやることが多かったのですが、それらがほとんどできません。

また家事はもちろんのこと、自分のことが自分でできないのです。

着替えたり、トイレに行ったり、お風呂に入ったりということは、時間こそかかるもののなんとか自分でできました。

左腕をどうやって洗うか?ここはだいぶ悩みましたが。

ご飯は基本的にフォークとスプーンを左手で使えばなんとかなりました。

ただ、どうにもできなかったのこともあります。

2.髪の毛が結べない

僕は髪が長く、普段はお団子にしていたのですが、これだけはもうどうにもなりません。

幸いにも我が家には普段から髪の毛を結んでいる妻・長女・次女がいたので、頼むことはできるのですが、結び目の位置、強さなど、これが意外と気になるのです。

「どの辺?」と聞かれても自分でもよくわからないから厄介でした。

3.パソコンはなんとか使えるけど...

やはり、仕事には支障をきたしました。

主夫とはいってもあくまで兼業なので、そこはしっかりと稼がないといけません。

パソコンのキーボード操作は、左手一本だととにかく時間がかかります。

右手が少し使えるようになった後も無理な体勢をしているので、上腕や背中があっという間に痛くなってしまいました。

一番困ったのはペンで字が書けないこと。

多くの人はもう手書きする機会がほとんどないと思いますが、放送作家の仕事でラジオの生放送に行くと、意外と手書きをするケースが多いのです。

原稿を書くのも一苦労でしたが、これは本当に周りのスタッフに頼り切るしかなかったです。

そんなわけで、家族や周りのスタッフにサポートしてもらってなんとか乗り切ってきたわけですが、そんな中で気づいたことも多かったです。

妻に家事を頼みたいけど頼めない

これも幸いだったのは、今まで平日の日中はほぼ会社に行っていた妻が、たまたま仕事の狭間だったため、家にいてくれたことです。

すべて自分でどうにかしなくてはいけないという事態は避けられたのです。

しかし、夫婦二人が平日から基本的に家にいるという状況は結婚してからほぼ初めての事。

これがとにかく慣れないのです。

妻は「私はあまり気の利くタイプではないから、困ったらいつでも言ってね」と言ってくれたのですが...

正直、ほとんど頼れなかったのです。

普段の講演でよく言っていたこと

セミナーなどで夫婦のパートナーシップに関する話をすることが多いのですが、ワンオペ育児が社会問題になる中、大変な時は「もっとパートナーにまかせて、もっとパートナーに頼んで、無理をしないように」なんてことを言ってきました。

さらに「その頼み方やまかせ方には注意が必要」なんてことも言ってきました。

なのに、いざとなると自分ができない。

理由を考えてみました。

頼むことの罪悪感

「普段自分が担当していたはずの事なのに、できなくてごめん」という思いは、頼めば頼むほど積みあがっていくのを感じました。

ペースとタイミングが合わない

これまで、いろいろな家事について、協力体制というよりは、それぞれが自分のペースでやることが多かった我が夫婦。

頼みたいと思った時に妻が何か別の事をしていたり、近くにいなかったりすると、タイミングを見計らってしまって、時には待ち切れずに諦めてしまうこともありました。

妻からすると、気にしないで言って欲しいと思っていたのかもしれませんが、そもそも妻も自分のペースを大事にする人だとわかっていたので、難しかったです。

やり方が違う

主に僕が担当していたとはいえ、妻も家事をしないわけではありません。

ただ、もろもろやり方が違います。

普段から妻が担当していたところはまったく気にならないのですが、自分が自分なりのやり方でやってきたことは、この違いが気になって仕方ないのです。

特に僕がほとんどやっていた料理については、気になるポイントが多かったです。

キッチンの使い方、グッズの置き方や置き場所、使う食器、食器棚の片づけ方...あげればキリがないほどです。

理由を3つ挙げてみましたが、これはこれまでのセミナーなどの参加者からよく聞いていた“あるある”。

まったく口だけだったことに反省しきりです。

この辺りを意識してから、妻とも正直に感じたことを話して共有しました。

とはいえ、結局のところ、僕の“頼れないクセ”が治る前に、右手の方が治ってきてしまったので、おそらく根本的な解決には至っていないように感じます。

お互い元気な時にだけ保てているバランスの危うさ

「女性は体調が万全な日が月に10日しかない」なんて話を聞いたことがあります。

当然、個人差があるものだとは思いますが、経験則として、あながち間違いじゃないと感じています。

一方、男性だからといって毎日万全かというとそうではないかもしれません。

が、おそらく僕は比較的体調を崩すことが少ないし、持病らしい持病もないので、体調で苦しんだ経験は少ないです。

これまでも細々ケガや体調不良はありましたが、ここまで体が思うように動かせない経験は本当に久しぶり。

しかも、最初の一週間は、何をしても痛かったし、疲れやすいし、不便を感じるばかり。

とにかくこの期間はイライラしていたと思います。

箸が使えないのに、食卓に座ると箸が置かれていることなどほんの些細なことでイライラ

妻からするとそんなのいつもの習慣的なものでしかないのでしょうが、余裕がないので「なんでこうなるかな」と感じました。

一週間経って少しずつできることが増えていくと、だんだんと心も冷静になってきて、そういう小さなすれ違いのようなものも流すことができるようになってきました。

ただ一番キツい時期は、そこに苦言を呈すること自体が面倒で、ただただ内側にイライラを溜めていっていたと思います。

「小さくても体のどこかが不調だと、精神的に余裕がなくなり、イライラしやすくなる」ということは、頭では理解していたことですが、改めてこんなに影響するのかと実感。

同時に、月の20日をこんな状態で過ごしているのだとしたら、そりゃイライラすることもたくさんあるだろうと想像し、妻をはじめとする女性たちへの敬意が深まったと思います。

夫婦のバランスは紙一重

長く一緒にいるので、そりゃそれなりにいろいろなことがありましたが、最近は夫婦のバランスがうまくとれていると感じていました。

でも、今回の骨折のような不測の事態が起きると、こうも簡単に崩れてしまうのか?というのが一番感じたことです。

うちの夫婦のバランスがとれる条件が...

「夫婦がともに通常営業できる状態で、かつそれぞれが別々に自分のペースで動けること」

なんだとわかりました。

これは結構危うい気がします。

骨折でなくてもどちらかが体調を崩したりすることはこれからもありますし、なんなら二人とも動けなくなることも考えられます。

災害に遭ったりすれば、体調以外のストレスも多くなるでしょう。

二人とも元気な時にだけ成り立つバランスって、実は本当に危ういですよね。

今までもいろいろなことを話してきましたが、これからはもっとマメに、そして、こういった事態への備えについて夫婦で話し合っていきたいと思います。

それと同時に、二人とも元気なうちから、時には互いのテリトリーに入り込んでやってみる練習をしていこうと思います。

骨折は痛かったし、いろいろな方に迷惑をかけましたが、うちの夫婦にとってはいいターニングポイントになったかもしれません。