ゲームは子育てに良くない?いやいや『ゼルダ』はむしろオススメです

今や子育てと密接なものとなったゲームなどのデジタルデバイスや動画メディア。

しかし、親としてどう付き合っていくか?悩ましいところかもしれません。

今回は、「eスポーツ」界においてイベント企画やプレーヤーのマネジメントを行うウェルプレイド・ライゼスト株式会社の代表、谷田優也さんにお話を伺いました。

今、5歳の息子さんを子育てしている谷田さんは子育てにどのようにゲームを取り入れているのでしょうか?

子育てにゲームが有効だと証明したい

まず、谷田さん自身が育ってきた中でのゲームとの付き合い方、そしてゲームへの思いを伺いました。

1982年生まれの僕が育ってきた時代は、小さいころにファミリーコンピューターが発売されて子どもたちがみんな一気にゲームに夢中になった頃でした。

僕が育った家は両親はともにゲームに対して肯定的でしたが、世の中はそうじゃなかった。

今でも『ゲームは良くない』という考えは残っているように感じます。

しかし、今、ゲームは子どもだけの遊びではなくて大人も楽しむものになりました。

デジタルデバイスも進化していますし、確実に変わってきています。

ただ、世界規模で開かれるeスポーツの大会で日本人プレーヤーが活躍しても、スポーツ選手やミュージシャンと同じレベルで認められるにはまだまだ。

彼らはただゲームで遊んできたわけではなくて、真剣に研究して努力と鍛錬を重ねてきています。

その点では、スポーツや音楽となんら変わりはない。

誰かが頑張ってきたことの先にあるものは平等だと思うんです。

子どもが野球やサッカーを好きだと言ったら親は喜びますが、ゲームでは『うーん』となってしまう。

そういう部分は変わっていってほしいです。

そして、僕自身がゲームをして育ち、いい経験もたくさんしたし、学んだこともたくさんあります。

だからこそ、子育ての中にゲームを取り入れています。

そして子育てにゲームが有効であることを証明したいと思っています。

ゲームは人生の縮図である

では、子育てにゲームを取り入れる良さについて谷田さんはどのようにとらえているのでしょうか?

ゲームにはいろいろなタイトルがあります。

陸上競技に例えると、100m走やマラソンもあれば、円盤投げややり投げなど本当に幅広い。

だからこそ、人によって得意なゲームも違いますし、学べるものや気づきも違うと思います。

しかも、そのひとつひとつをたくさんの大人たちが真剣に向き合って楽しんでもらうために作り上げています。

その中には関わる大人たちが、自分たちが経験したものを持ち寄っていて、まるでたくさんの人たちの人生の縮図のようなところがあると思うのです。

それで遊ぶことでは得られるものがたくさんあると思います。

『スーパーマリオブラザーズ』のようなアクションゲームでは、自分が操作をすることでキャラクターがハードルを越えていくことで、反応を楽しむことや参加している感覚を得ることができますし、『ドラゴンクエスト』シリーズなどのロールプレイニングゲームでは仲間と協力してコツコツ努力をしてレベルを上げることで、今まで乗り越えられなかった困難を乗り越えられるようになる経験にもつながります。

映画や音楽などの作品から得られる学びや気づきにも通じるものがあるのではないでしょうか?

『ゼルダの伝説』は最高の子育てアイテム

そんな谷田さんがオススメするゲームとは、気になりますよね!もちろん、伺いました!

子育てにオススメのゲームのタイトルを聞かれることが多いですが、僕はだいたい『ゼルダの伝説』のニンテンドースイッチ版を挙げます。

ひとつのゲームの中に入れられる情報が大容量になっている今は、ゲームも複雑になっていて攻略法が一つじゃないものがたくさんあります。

特に『オープンワールド』といって、プレーヤー自身も環境をつくっていけるものが主流になりつつありますが、『ゼルダの伝説』のスイッチ版はその典型。

プレーヤーは、ゲームの中で何をしてもいいんです。

決められたルートを歩かなくても、森で木を切って火をたいて果物を取り続けるだけでも楽しめる。

何をしてもいい、自分の幸せを追求できる究極の世界ですよね。

さらにゲームオーバーにならない設計というのがすごいところです。

成功しても失敗しても続いていって、次に何をするかを考えなければいけない。

これって人生にも通じることですよね。

昔は『ゲームはリセットできるから学びとして良くない』なんて言われたこともありましたが、そこは変わりましたよね。

むしろ『世界をどう楽しむかは君次第』というメッセージが伝わってきます。

自由に遊ぶことが求められる、という意味では『マインクラフト』もオススメです。

生きていくために、楽しむために必要なものを自分で作っていくということはまさに人間がしていることの原型ですよね。

一方で何もしないと何も起こらない。

『自由にやっていい』ということの難しさも体験できます。

ストーリー性のあるゲームが難しい小さい子には、誰かと対戦する形のゲームがいいと思います。

それこそ『オセロ』などスマホに入っているものでいい。

ポイントは『勝ってうれしい』と『負けて悔しい』という感情を学ぶことができるからです。

これもまたスポーツなどと通じるものがありますよね。

できれば、じゃんけんのように偶然性が高いものではなくて、なぜ負けたか?という理由があるものの方がより学びになるのではないでしょうか?

『ゲームで子育てをする』というとまるでゲームだけすればいいように聞こえるかもしれませんが、決してゲームが万能だとは思っていません。

もちろん自然に触れるのも、スポーツをすることも、音楽に触れることも、それぞれの良さがあります。

ただ、その方法の一つにゲームというツールがあるということをぜひ感じてもらいたいです。

谷田さんのゲームへの熱い思い!伝わってきますよね。

ゲームがサッカーや野球に並ぶ世界が来るのは、そう遠くないかもしれません。