2022年は改正育児・介護休業法が段階的に施行され、男性の育休取得が注目を集めています。
今回は、最新の調査でも取得率が13.97%にとどまる男性育休について、アドラー式子育ての熊野英一さんにアドラー心理学の視点から考察していただきました。
男性育休を取るのは本当に無理なのか?
もちろん、様々な事情があることは重々承知ですし、すべては自己決定を重んじるアドラーにおいては取る取らないというあなた自身の選択でいいと思います。
その上でアドラー心理学の視点で、男性育休について考えていきましょう。
改めて言うまでもないことですが、夫婦は協力する最小単位のチームです。
もちろんいろいろな協力の仕方はありますが、育児において育休を取るということもそのひとつです。
その割合や程度は問わず、育児に対して一定の割合の責任を担うということはとても大事なことだと考えたときに、育休は取った方がいいと感じます。
もしも、取得するかどうか迷った時には、一度様々なことをフラットにして考えてみることをオススメします。
そもそも家事育児について、協力してやることだと考えられているでしょうか?
これまで育った中で、まだ男女ともに「女性がやるもの」という先入観があるかもしれません。
それに本当に2人だけでやらなくてはいけないわけでもなく、誰かの手を借りることも選択肢のひとつかもしれません。
「民間のサービスは高いから無理」「うちの夫は家事が苦手だから無理」「親は頼るのは無理」「周りからどうみられるかわからないから無理」など、様々な「無理」が頭に浮かんで来ると思いますが、それが本当に「無理」なのか?
しっかりと調べたり、考えたりする前に判断しているケースも多いように感じます。
調べたり、考えたりするのには時間や手間がかかりますが、長い目で見たときにそれは必要なこと。
ビジネスライクに考えたら、やってみる価値はきっとあると思います。
これはきっと育休を取得するかだけでなく、今後何かの判断をする時にも通じると思います。
自己犠牲ではなく夫婦の共同体で考える
男性にとって育休を取ると、キャリアの不安があるかもしれません。
それでも取得したときに「結局俺がガマンすればいいんだ」ということを思っていたとしたら、それはとても良くないことです。
同時に、それでももしも取らなかった時に妻が「結局私がガマンすればいいんだ」と思っていたとしたら、それもまた違うでしょう。
もしかすると、夫婦両方が「自分がガマンすればいい」と思っている夫婦もいるかもしれませんよね。
そんな納得のいかない状況だと、のちのち亀裂が深まることは容易に想像できますよね。
アドラーでは、同じ目的に向かって考え、行動していく「共同体感覚」を大切にします。
しかし、それがどちらか、もしくは両方の自己犠牲の上で成り立っていたら、決して長続きはしませんよね。
理想を言えば「自己満足でありながら他者にも貢献している」という状況。
それを実現するためには、当然話し合うことが必要です。
それは、自分たち夫婦、そして子どもがどうなっていきたいか?ということ。
つまり目的を合わせることです。
その上で、自分たちが今できることを考えましょう。
男女ともに考え方のベースには、自分の両親というロールモデルが関わってくると思います。
その世代で考えると、男性育休は選択の範囲になかったかもしれません。
もちろん、時代が変わったこともありますが、そもそも「自分の両親というたったひとつのケース」が、あなたの絶対的なモデルであるかと考えたら、そうではないはず。
世の中にはもっと多様な選択肢があるはずです。
どういう決定をするかは、尊重すべきことではありますが、その前提として、夫婦が同じ目的をみて、かつフラットに考えることが必要。
育休以前に、まずはそこをもう一度考えてみてもらえたらと思います。
熊野さん、ありがとうございました!
改めておさらいすると…
ポイント
- 育休取得は夫婦で協力して育児をするために検討する価値があるもの
- 思い込みなどを排除するために調べたり、考えたりすることをちゃんとやってみる
- 夫婦で同じ目的を持ち、自己犠牲ではない方法を一緒に考える
時代が変化をすることについていくのは簡単なことではないと思います。
でも、だからといって頑なに変わらないと、きっと生きづらくなると思うので、できるだけ柔軟に対応する必要があると思います。
きっと育休もそのひとつだと思うので、自分のペースで対応していきましょう。
また、熊野さんのアドラー式コミュニケーションの講座では、家庭はもちろん仕事でも使えるコミュニケーションのコツを学ぶことができます。
こちらも気になった方はぜひチェックしてみてください!