今や日本の7割とも言われる共働き夫婦。
やることがたくさんある以上、夫婦で分担することは必須でしょう。
とはいえ、夫婦で家事を分担しているつもりでも、気づけば不満がたまり、言い合いになる…。そんな経験ありませんか?
今回は「どうすれば夫婦で気持ちよく家事分担できるのか」というパパからの相談に対して、アドラー心理学のスペシャリストの熊野英一さんに上手に分担するための心構えや方法を聞きました。
家族円満のヒントがきっと見つかるはずです!
共働き夫婦が家事分担で不満を抱える理由とは?
共働きで2人の息子を育てています。
夫婦で家事を分担していますが、気が付くとそれぞれに不満がたまり、もめることを繰り返しています。
どうしたらうまく分担することができるでしょうか?
不満が出てくるのは頑張っている証拠!まずは、毎日お疲れ様です。
でもできれば平穏に気持ちよく進めていきたいですよね。
ただ、分担の方針は夫婦それぞれだと思うので、今回は具体的な分担というより、心構えや考え方についてお伝えしていきます。
家庭ではなぜ仕事のようにうまくいかないのか?
家事や育児の分担は、共働きかどうかに関わらず夫婦にとって永遠のテーマ。
負担の偏りや、互いのやり方に口出しをすること、そもそもモチベーションがわかないなど、様々な要因で不満を募らせてしまうことがあると思います。
考えてみると、同じ目的をもって、自分以外の人と協力してやるべきことを遂行することは、普段仕事でもしていること。
仕事ではそれほどもめないのに、家庭ではもめてしまうのはなぜでしょう?
理由はいくつかあると思います。
そもそも仕事では、目的が明確です。
利益を上げること、社会課題を解決する、公共サービスを確実に行うことなど、それぞれの職種に合わせて職場のメンバーは向かっていきます。
一方で、家庭ではそれができていない場合も多く見られます。
例えば、頭の中では「家族が一緒に楽しく過ごす」と目的を持っていても、いつの間にか「自分のやりたい方法でやる」「家ではできるだけ休みたい」といったそれぞれの目的が優先されてしまいがち。
まずはこの目的を合わせる必要があります。
ただ、もっとも大きな理由は、雑なコミュニケーションではないでしょうか?
家族は距離が近いがゆえに「わかってくれるだろう」という甘えが出てしまいがち。
「具体的にお願いする」「してくれたことに感謝する」といった仕事では当たり前のコミュニケーションをはしょって、雑になってしまうことが多くなります。
「家でも仕事みたいにしたくない」と思うかもしれませんが、そこまでビジネスライクにならないまでも、家族でも相手を尊重して当たり前のコミュニケーションができているか、見直してみる必要はありそうです。
「家事分担」ではなく「家事分業」という発想へ
産業革命が起きて以来、人間の生産性は劇的に上がりました。
その大きなポイントが「分業」です。
多くの人がそれぞれの持ち場で別れて作業し、協力して生産していくシステムです。
この“分業”という考え方。やはりこれも仕事では当たり前にできていることかと思います。
そこで家事を“分担する”のではなく“分業する”という意識で考えてみてはどうでしょう。
家事分担の不満を防ぐカギは“丁寧なお願いと感謝”
一人で抱え込まない&人に放り投げない
家事分担で多い不満に「負担の偏り」があると思います。
言い換えれば「一人で抱え込んでしまっている」というケースも多いのではないでしょうか?
もちろん仕事などの事情でそうせざるを得ないという夫婦もいると思いますが。
そんな時に思い出してほしいアドラーの言葉があります。
アドラー心理学のポイント
分業とは、仕事や責任を一人で抱え込まず、仲間と分かち合い、共に取り組むことだ。
同じコミュニティにいる仲間と支え合いながら責任を果たす姿勢を示す「共同体感覚」を実践しよう、ということです。
当たり前のことですが、これが難しい。
一人で抱え込んでしまうこともあれば、反対に「任せる」という言い方で人に放り投げてしまうことも起こりがちです。
そうならないために必要なのが、さきほど挙げた丁寧なコミュニケーション。
「具体的にお願いする」「してもらったら感謝する」ということだと思います。
常に100点を目指さないでいい
子どもも成長すれば、パパママも常に状況が変わるものです。
一度決めた家事のルールも合わなくなることがあります。
そう考えると、「不満がたまる」ということは「見直しのチャンス」です。
一度決めたことにこだわらず、家族の変化に合わせてアジャストすることを意識してみてください。
また、そもそもなかなかルールが決まらないという夫婦の話もよく聞きますが、その多くは、「全部納得する100点のルール」を探しているような気がします。
何事も完璧を目指すのは本当に難しいことです。
100点を目指すより、ギリギリ納得できる程度を目指した方が前に進みやすいと思うので、ぜひ、その感覚で取り組んでみてください。
家事も育児もどうせやらないといけないことですから、上手に夫婦で楽しめるように丁寧に取り組んでみてください!
熊野さん、ありがとうございました!
改めておさらいすると…
ポイント
- 夫婦でも仕事では当たり前な丁寧なコミュニケーションを忘れないように
- 分業意識を持って、一人で抱え込まず、協力する姿勢で
- ルールは適宜変更。100点よりギリギリ納得を目指す
夫婦には話し合いが大切とはよく言いますが、互いに話し合える土台がないとうまくいかないですよね。
丁寧なコミュニケーションはまさにどの土台を作るものだと思います。
普段から心がけていきましょう。
著書のご紹介
また、熊野さんのアドラー式コミュニケーションの講座では、家庭はもちろん仕事でも使えるコミュニケーションのコツを学ぶことができます。
「子育てが思い通りにいかない」「仲良くしたいのに夫婦関係がギクシャクしてしまう」「職場の人間関係がうまくいかない」など、悩みを抱える方は自分で解決できるためのコミュニケーション術を学びます。
こちらも気になった方はぜひチェックしてみてください!
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