やることが多くて、家事育児など協力が必須の共働き夫婦。
でも、パートナーがことあるごとに投げ出してしまう状態だと、なかなか難しいですよね。
今回は家事に対して「無理」「できない」が口癖の妻とのやり取りに悩むパパに、アドラー心理学を基にしたアドラー式子育ての熊野英一さんからアドバイスをお伝えします。
投げ出すタイプの人と向き合うための「3つのアプローチ方法」とは?
限界を感じた時は「無理」と言えるのも大事だけど...
本当にやんちゃ盛りで大変な日々で、シンクが洗いものでいっぱいになってしまったり、洗濯が追いつかなくなってしまうことがあるのですが、そんな時に妻が「無理」「できない」と言い放ってストップしてしまい困っています。
結局時間がかかっても僕がやってなんとかしのいでいますが、これってどうにかならないでしょうか?
こちらから協力を依頼した時に、「無理」「できない」とけんもほろろに断られると結構ショックを受けますよね。
男女を問わず、また仕事の現場でもよく起こるこういった事態に対してのアプローチ方法を考えていきましょう。
「無理」「できない」ということも大切
本当は体力的にきつい時でも「できます!」「大丈夫です!」と言っちゃう人の方が多いように感じます。
ちょっと無理をしてなんとなるなら、自分がやった方が早いから、などいろいろと理由はあると思います。
そして、その方が「頑張り屋さん」なんてほめられることも多いと思いますが、この状況が続くことは決して健全ではありません。
キャパシティを越えた動きを続けているといつかは限界が来ます。
時には勇気を出して、きっぱりと「無理」と断ることも必要だと思います。
パンクしてしまって取り返しがつかない状態になってしまうことから身を守るためにも。
そういう意味では、自分の限界やキャパシティを知っていて、これ以上は無理だと判断できることは、長い目で見れば強みなのかもしれません。
子どもたちへの影響は心配
とはいえ、毎日のように「無理」と言われてしまうと、一緒に生活をする上では支障が出てしまいます。
ただでさえ暮らしていくためにはやらないといけないことがたくさんありますし、小さい男の子二人との暮らしはさらにやることがさらに増えることも想像できます。
また、子どもたちへの影響も気になります。
ネガティブな感情を持つことは誰にでもありますし、それ自体が問題なわけではないでしょう。
しかし、ことあるごとにネガティブな発言を繰り返し、やらないといけないことを放棄している姿を見せてしまっているのであれば、子どもたちがマネするようになってしまう恐れは大いにあります。
そう考えると、今のままで進むことは望ましいことではないので、何かしら工夫をしていくことは必要になりそうです。
では、何から始めればいいのでしょうか?
投げ出すタイプの人と向き合うための「3つのアプローチ方法」
今回は、アドラー心理学の観点からアプローチしていく方法を3つ提案します。
その1:相手の気持ちに共感する
「無理」「できない」という端的な言葉だけでは、相手の考えていることをつかむのは難しいと思います。
とってもオーソドックスなことではありますが、まずはやっぱり「無理」「できない」の向こう側にある思いや感情を知り共感することは必要です。
ただし、「なんで無理なの?」などダイレクトに聞いても本音を得られないことの方が多いと思います。
言いたくないということもあれば、本人もよくわかっていない可能性もあるからです。
なので、もちろん話すことも大切ですが、行動や表情などを観察することが大切だと思います。
どんな時に「無理」と言っているのか?反対に「無理」と言わないのはどんな時か?
時間がかかるとは思いますが、注意深く見ているとその違いに気付けるかもしれません。
本当は完璧主義でパーフェクトにやりきりたいと思っているがゆえに、全部やり切る時間がないと感じた瞬間に「無理」と言ってしまっていたり。
一方、たくさんやることをためてしまった自分に絶望して「無理」と言っていたり、そもそもその家事が苦手で失敗するのが怖いから「無理」と言っていたり・・・いろいろな可能性が考えられます。
もちろんそれまでに培われた「ライフスタイル=性格」でやる前から諦めるクセがついている場合もありますが、だからといって何もせずに諦めてしまうのではなく、ぜひ観察をしてみてください。
その2:どこまでが「無理」か見直してみる
質問者さんのケースですと、「無理」「できない」が口癖のように感じるかもしれませんが、おそらく全てのことに対して「無理」と言っているわけではないと思います。
でも、どうしてもネガティブなところに注目がいってしまい、しかもそれがまるで全てのように感じてしまう。これはもう人間の習性のようなものなので、仕方ないことです。
「また無理って言った・・・」そう感じるかもしれませんが、冷静になってみてみると、実は7割は黙ってやっていて「無理」と言っているのは3割程度、みたいなことがよくあるんです。
だからこそ、大切なのは「何ができているか?」言い換えれば「どんなことが得意か?」という部分に注目してみてほしいのです。
質問の中では、洗い物と洗濯の話が出ていますが、掃除はどうでしょうか?
片付はどうでしょうか?
などなどもう一度見直してみると、そもそも「なんでも無理って言う人」から「時々苦手なことに当たると無理って言う人」のようにとらえ方が変わることもあります。
あなた自身がそうやってネガティブな捉え方でなくなることで、家庭内の雰囲気が変わったり、余裕が出てくることで相手にも変化が出てくる可能性もあると思います。
その3:自分もすべてを「無理」して引き受けない
質問によると、妻が「無理」「できない」と言ったときに、あなたがやってしまっていますよね。
もちろん生活を回すためには仕方ないのかもしれませんが、それによって妻は「なんとかしてくれる」と頼り切っている可能性もあります。
要は、あなたに対しての「甘え」のようなものです。
きっと誰にでも「無理」とは言えるわけではないと思います。
仕事はもちろん、ママ友などとのやり取りの中では「無理」とは言えないことも多いはず。
そのストレスをあなたにぶつけている、甘えている可能性は十分に考えられます。
もしかしたらあなたはその作戦にのってしまっているのかもしれません。
では、例え無理と言われても、絶対に代わりにやってはいけないのでしょうか?
別に、問題なくできるならやってもいいと思います。
ただ、それが精神的なストレスになるなら、あなたも「無理」「できない」と断ることも大切です。
それはあなた自身を守るためにも。
それでもやらないといけないのであれば、一人で全部尻拭いをしてしまうのではなく、一部でも一緒に、もしくは体を動かさないまでも一緒に考えるというプロセスはあった方がよいと思います。
そうすることで、少なくとも「無理って言えば夫がやってくれるもの」ではなくなり、そこから自分も関わり方を考えるようになるかもしれません。
いずれにしても、妻に強く言葉をかけたりして、変えようとしても現状は変わらず、むしろ悪化する可能性があります。
いったん深呼吸して自分ができるアプローチの方法を考えてみてください。
熊野さん、ありがとうございました!
改めておさらいすると…
ポイント
- その1:まずは共感。観察してみよう
- その2:全部「無理」なのか?もう一度見直してみる
- その3:作戦にのらない、断る時は断る
時間もないし、やることもたくさんあるから本当に「無理」って言いたくなることはありますよね。
それはきっとパートナーも、周りにいる人も同じなんだと思います。
大変なのはお互い様!前向きに協力していくためにも肩の力を抜いて臨んでいきましょう!
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