子育てに理解がない上司にどうしたらいい?アドラー的対応の仕方

職場にはいろいろな人がいますが、価値観などが違って折り合いをつけるのが難しい人がいる場合もよくあります。

ただ、その相手が上司で、しかも家庭観や子育て観に隔たりがあると、なかなか辛いモノ。

今回は、コミュニケーションの専門家でアドラー式子育ての熊野英一さんに、子育てに理解のない上司とどう折り合いをつけていけばいいのか?

アドバイスを聞きました。

まずは上司のメガネに関心を持とう

質問者
職場にバブルを謳歌したことを自慢するタイプの50代の上司がいます。

今はそんな時代じゃないと思うのですが、ことある毎に当時の価値観を押しつけてきて、特に僕が子どものことで会社を早退したり、休みを取るといい顔をしないので辛いです。

なんとかわかってもらうことはできないでしょうか?

とても勝手な想像ですが、白いポロシャツにピンクのカーディガンを肩からかけて、靴下なしで革靴を履いている色黒な人が浮かんでしまいました。

(きっとそんなことはないと思いますが)企業に勤めるといろいろな世代の人がいて、そういう人たちと力を合わせてチームを作っていくことが求められます。

しかし、当然それぞれの考え方ややり方があるので、うまく協力するためには努力が必要。

その時に、それぞれの考え方のクセのようなものが邪魔をしてしまうことがあると思います。

アドラー心理学では、「人はそれぞれ、その人独自のメガネをかけている」と表現をすることがあります。

要はそれまでの様々な経験によって作られた価値観のメガネ。

場合によっては「こういう人はきっとこうだ」と決めつけてしまうようなことにも繋がります。

例えばさきほど挙げた人物像も、ご質問から「きっとこうだ」という考えのクセで思い浮かべてしまったものだと思います。

問題は、そのメガネをかけていることではありません。

あまりにずっとかけているため自分自身もかけていることを忘れてしまうこと。

そして、相手も自分と違うメガネをかけているということを忘れてしまうことです。

もしも相手のメガネが濃いめのサングラスだとしたら同じモノを見ても見え方が変わることはありますよね。

そのようにしてギャップがある状態で「こっちの見え方をわかってもらう」のは簡単ではありません。

今、上司のメガネを通して見える世界はどんなものなのか?

まずはそれを考えてみて、であればどうしていけばいいのか?考えていく必要がありそうです。

世代が違うから、バブルを経験したから、子育てをやらないできたから、などと過去の要因を探っても解決に繋がることはほとんどないと思います。

お互いに「わかってほしい」と思っている

質問の最後に「わかってもらうことはできないでしょうか?」とありましたが、おそらく上司の方も「オレの言うことをなんでわかってくれないんだ?」と思っている部分があるはずです。

どんな関係でもコミュニケーションはたいがい「わかってほしい」のせめぎ合いなのです。

まずは、この互いがファイティングポーズを取って向き合っている立ち位置から、横に並んで一緒にゴールを目指す立ち位置に移動してみることをオススメします。

あなたの立場でいえば、自分の考えていることを率直に伝えること。

例えそれが上司と違ったとしても、自分が子育てをしたいと思っていることやそういう働き方をしたいことは少なくとも伝えた方がいいと思います。

その上で、その課題解決に協力して欲しいというスタンスに立つことも大事ではないでしょうか?

そうなると、必ずしも上司自身に変わってもらう必要はなくて、考え方うんぬんではなく、もう少し具体的な解決法が見えてくるかもしれません。

一方で、上司の課題にも協力するスタンスに立ってみることもアリだと思います。

少なくともあなたに対してそうであるように上司の持っている価値観がうまく伝わらないケースや、モノによっては時代にそぐわなくなっているケースもあると考えると、上司自身も時代の変化に適応するために、うまくいかなくて悩んでいる部分があると考えられます。

そのこと自体は、いわば「上司の課題」となるわけですが、その解決にあなたが協力できることは本当にないでしょうか?

それも一度考えてみることも選択肢の一つにいれると向き合い方は変わってくると思います。

あなたが子育てで仕事休むときに「いい顔をしない」ということですが、その上司の表情の受け取り方はどうなると思いますか?

「協力者」を「敵」にしないためには

きっと、今までだったら、上司の渋い表情を見て「またわかってくれない!」と腹を立ててあなた自身も不機嫌な態度を取っていたかもしれません。

でも、ちょっとだけ捉え方を変えてみた時に「先輩、いつも困らせてすみません」くらいライトな対応を取れそうな気はしませんか?

そして、そういう後輩や部下の方が「もう仕方ないなー」となりそうな気がしませんか?

もちろん、実際のところはそんなに簡単にはいかないかもしれませんし、時間がかかることの方が多いとは思いますが、少なくとも上司が、「倒さなければいけない敵」ではなくなると思います。

アドラー心理学は「人はどうやったら仲良く過ごせるか?」ということが考えのベースにあります。

仲良くなることで協力体制が取れれば、前に進むことも増えるはず。

「完璧な上司」がいないように、あなた自身もまた「完璧な部下」ではないはずです。

まずはとにかくやってみて、ダメだったら次の方法を考えましょう。

もちろん、働き方を変えるために転職することだって選択肢ではあると思いますが、もう少しできることを探してみてからでも遅くはないと思います。


熊野さん、ありがとうございました!

改めておさらいすると…

ポイント

  • まずは上司がどのように捉えているかを考えてみる
  • 自分も「わかってほしい」が、上司も「わかってほしい」と思っているはず
  • 上司を変えようと向かい合うのではなく並んで協力体制を取ってみる

上司と部下という関係だけでなく、夫婦や親子でも同じことが言えるスタンスの取り方だと思います。

特に自分が否定されると反射的にファイティングポーズをとってしまうことが多くなってしまうとは思いますが、ここはひとつ冷静になってみましょう。

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