夏といえば、旅行する人がたくさんいると思います。
しかし、家族旅行ってなんだか誰かが怒り出してもめごとや喧嘩に発展することが多いような気が…。
楽しみにしていたせっかくの家族旅行なのに、結果クタクタに。
これってどうにかならないんでしょうか?
今回はコミュニケーションの専門家で、アドラー式子育ての熊野英一さんからのアドバイスをお届けします。
家族旅行中に喧嘩が起こりやすい理由は
妻と小学2年生の長女と4歳の長男の4人で行くのですが、ちょっとしたおでかけでもだいたいケンカが始まるわが家。
片道3時間の遠出が果たして平和に終わるか心配です。
何か対策はあったら教えてください。
家族旅行は子どもが小さいうちに素晴らしい思い出を作るチャンス!
大きくなるとなかなか一緒に行動できないですしね。
ただ、一方でそんな素敵なはずの家族旅行が、もめごとばかりで散々な思い出になってしまったら…絶対に避けたいところです。
とはいえ、家族でおでかけしたときってもめごとや喧嘩が起こりがちですよね。
そこにはどんな理由があるのか、考えてみましょう。
思い返してみると、旅行中の喧嘩の多くは、予想外のことが起きて、予定通りに進まなくて、誰かがテンパって…みたいなことが多いように感じます。
人は、予定していたことができなかったり、期待通りの結果にならなかったりするときに残念、落胆などいろいろな思いが出て、それが二次感情の「イライラ」や「怒り」として発揮されることが多いと思います。
そして、旅行というものは、日常生活と比べてスケジュールが割と細かく決まっていることが多いと思います。
何時何分に出発して、何時何分の電車に乗って、この場所でご飯を食べて…などなど。
それが予想外、想定外の出来事で出来なくなっていくことに対して、平静を保てなくなる。
そう考えるとスケジュールが決まっているからこそ、もめ事が起きやすいシチュエーションであると考えられます。
また、もしも日常の中で同じように想定外が起こってイライラしたとしても、ちょっとその場を離れるなどいつもやっている対処法があるはずですが、旅行中という時間も移動も限られた中ではそれもできない。
つまり挽回するチャンスも少ないのです。
さらにさらに、旅行に行くまでの準備も簡単じゃありません。
お金も工面して、休みを取って、家族で合わせて…やっとのことで楽しみにしていたからこそ、そうならないとイライラするもの。
であれば、そのイライラを全部無くすことはできなくても、要素を少し減らす努力を、事前にすることができるようにも感じます。
まず、一番シンプルなのはスケジュールをできるだけ詰め込まないこと。
スケジュール通りにいかないことでイライラが生まれるのであれば、その機会を減らすという方法です。
今回の質問の目的が帰省であるのなら、最終的に実家に着くことが大きなミッションで、それ以外のことは「やってもやらなくてもいい」ということにするなど。
いわば「余白」をたくさん持つということですね。
ただ、特に子どもが小さい時は、すでに多くの方は余裕を持ったスケジュールを組んでいると思います。
その上で、電車の時刻など、もはやどうにもできないものだけにしている人も多いかもしれません。
ぶっちゃけ、やることを減らすだけ減らして、可能な限り余裕を持っていても、それでもうまくいかないことはありえます。
ここまでした上でダメだったら「それはもう仕方ないよね」としか言いようがありませんが、そもそもこういう最終的にお手上げの状態を出発前に共有しているだけでも、予想外が起こった時の気持ちは違うような気がします。
旅行の前に家族で共有した方がいいこと
出発前に家族で共有することとして、一番大きい部分を占めるのはスケジュールですよね。
そして先ほども言いましたが、ここまでゆるくしたので、もうこれでダメだったらお手上げだね、というポイントも共有した方がいいと思います。
このときにもう一つ共有した方がいいなと感じるのが、その旅行の「目的」です。
今回の家族旅行の行き先は「パパの実家」。
いわば帰省になるわけですが、帰省する目的はなんでしょうか?
意外とそこをちゃんと話し合っていない家族がいるように感じます。
「お盆だしもちろん帰省するよね」という感覚はどこかにありませんか?
パパとしては、生まれ育った故郷に戻って育ててもらった両親の顔も見たいし、懐かしい景色を見て癒されたいという気持ちもあるでしょう。
だったら長く休みが取れるお盆に帰省するのがセオリーかもしれません。
では、妻や子どもも同じように感じているでしょうか?
ここからは想像の範囲ですが、妻からすれば夫の実家はアウェーで行くと疲れると感じているかもしれませんし、子どもからすると、祖父母の家の近くにある海に入りたい!という目的を持っているかもしれません。
どんな時でもそうですが、家族とはいえ立場によって同じ行動でも臨む気持ちは違って、誰かの思っていることが当たり前では無いはずです。
意見を言う余地も無く、ついていくだけというのは、もはや行く前からモヤモヤする可能性はありますよね。
なので、そもそも行きたいかどうか?という意志。
行く目的を一緒に考えた上で、どの意志を今回は尊重するのか?
ある程度の年齢であれば、子どもも一緒に考えてみませんか?
例え完全一致は難しくても、互いの気持ちをわかった上で協力する体制を取ることができれば、前向きに旅行に迎えるはずです。
冒頭にも書いたように家族旅行は行きたいときにいつでも、そしていつまでも行けるものではありません。
トラブルも起こりますが、それもまた家族旅行に行けるからこその幸せの象徴だと前向きに捉えて、楽しんでいきましょう!
熊野さん、ありがとうございました!
改めておさらいすると…
ポイント
- スケジュールはできる限りゆるく作り、それでも上手くいかないときは「仕方ない」ということも共有しておく。
- 出発前に目的やそれぞれの思いを共有しておく。
- 家族旅行は貴重な機会、トラブルも幸せの象徴だと思って前向きに楽しむ!
改めて考えてみると、家族旅行を貴重な機会だと思いすぎるから、予定を詰め込んでしまうのかもしれませんね。
そもそもそこに全力を注ぎ込まないで、いい余裕を作れるように日々を送るといいかもしれませんね。
また、熊野さんのアドラー式コミュニケーションの講座では、家庭はもちろん仕事でも使えるコミュニケーションのコツを学ぶことができます。
こちらも気になった方はぜひチェックしてみてください!