男女どちらも、仕事や家事育児をすることが当たり前な時代の流れになってきています。
しかし、どっちも自分が頑張らないと!と一人抱え込むタイプの女性は今でも多くいるように感じます。
そうなると家事育児は必然的に妻任せになり、仕事もある中常に妻が疲れている...という状態になってしまいます。
今回は妻がそういうタイプであることをなんとか変えたい、そしてサポートしたいと悩むパパからのご相談。
アドラー心理学を基にしたアドラー式子育ての熊野英一さんからアドバイスと、例えラクになってほしいと思っていても、妻には言わない方がいいNGワードとは?
妻は家事も育児も「自分でやった方がいい」と考えるタイプ
そして今も、回らないほどの仕事をしながら、子どもの事や家事を自分でしないと気が済まないらしく、いつも大変そうです。
自分もどうにかサポートしたいと思っていますが、まずは妻のそんな性格を変えることが出来ないかと悩んでいます。
何かいい方法はないでしょうか?
まずは何より妻の大変な状況を感じて、なんとかしたいと考える思いが素晴らしいと感じます。
またその思いがあるからこそ辛いと感じるでしょう。
夫婦でどうやってこの現状を乗り切っていくか?
できればやらない方がいいと思うことと、ぜひオススメしたいことをお伝えしていこうと思います。
だいたい10歳までに決まると言われるライフスタイル
アドラー心理学では、その人の行動や言動を決めるキャラクターのようなものを「ライフスタイル」と呼びます。
そしてこのライフスタイルは、だいたい10歳くらいまでの生活環境や経験を元に基本的なものが出来上がると考えられています。
今回で言うと、妻は「一人で抱え込む」というライフスタイルの人ということになりますが、そうなった背景もいろいろあると考えられます。
例えば、周りの人に頼んだことでうまくいかなかった経験や、誰かがうまくできないことを自分がやってうまくいった経験。
さらにはいろいろなことを引き受けてこなしたことで、ほめられた経験も影響しているかもしれません。
様々な経験をしてきた中で、自ら「このキャラで行こう」と選んだものが現在のライフスタイルに繋がっていると思います。
そう考えると、大変だけど全部引き受けて自分でやるということは、妻にとってこれまでの経験を踏まえたある種ベストな選択として自己決定、自ら選んでいるかもしれません。
「一人で抱え込むタイプ」を言い換えてみる
そもそも抱えこむタイプであることは、全てが悪いわけではありません。
言葉としても、「一手に引き受ける」「一人で何役もこなすユーティリティプレイヤー」というポジティブな表現に言い換えることもできます。
また、そのすべてをしっかりやろうとする責任感の強さも素晴らしいことですし、そもそもいろいろなことを頼まれることから、周りから頼りになると見えているのもいいことです。
周りから見たら「いろいろなことを押し付けられたことを一人で抱え込んで大変そう」かもしれません。
しかし本人からすると、「いろいろな人から頼りにされて、それを一手に引き受けてやりきろうと頑張っている」と考えていて、「これを全部こなせてこそ自分らしい」とか「それを乗り越えることで達成感ややりがいが感じられる」など、口では「大変」と言っていたとしても、本当はちょっと「大変な自分が好き」という自己満足的なところもあるように見えます。
そうなると、余計に周りから「変われ」と言われることは受け容れられない状況だと思います。
夫の思いやりのある言葉が妻にとってはNGワードに
「もっと周りを頼るべき」はNGワード
きっとこういう人を見た時、
「もっと周りを頼った方がいいよ」
と声をかけてしまう人が多いと思います。
でも、これが一番のNGワードだと思います。
おそらく口では「私は周りを頼れないタイプ」とは言っていますが、先ほども言ったように妻は自ら「頼らない」という方法を選んでいるでしょう。
「頼ればいい」という言葉は「頼らない」という選択を否定してしまっています。
自分が信じている選択であればあるほど、否定されると意固地になるものですよね。
同じように考えると
「そんなに大変ならやらなくてもいいよ」
「もう少し手を抜いたらいいんじゃない」
という言葉もまた「大変だけどやると決めた」「手を抜かずにやりたい」という妻を否定してしまうことになります。
どれも優しくて思いやりのある言葉であり、それ自体が問題なわけではありませんが、そもそも妻が本当に求めているものとずれてしまうとNGワードになってしまうというわけです。
例えば「洗濯」で考えてみる
妻自身の「抱え込むこと」と「大変でも全部こなす」という「ありのままの姿」や、「自分らしく感じられること」を変えずに実際の負担を軽減するのが一つの手だと思います。
今までは、「洗剤を買う」ところから始まり「洗濯物をまとめる」「洗濯機を回す」「干す」「畳む」「収納に入れる」という工程のすべてを妻がやっていたとします。
おそらく妻はこのすべてを自分でやらないと気が済まないかというと、そうではない可能性は高いでしょう。
ただ妻のライフスタイルを想像すると、「自分でやった」と感じることや「頼んでやってもらった」と感じさせないことは大事。
頼まれる前に洗剤を買っておき、洗濯物をまとめた上で「洗濯機を回すのはお願い」と最後だけパスするという方法もいいでしょう。
干し方、畳み方、仕舞い方にこだわりがあってどうしてもそこは自分でやりたいと妻が言うなら、それをしている間に別の家事をできる限り進めておくというのも手でしょう。
他にも「いつもやってくれてありがとう」とか「やってくれると本当に助かる」といった言葉をちゃんと伝えることも、頼られたい妻の気持ちに届くはずです。
寄り添うことで得られるもの
このように妻のライフスタイルを変えるのではなく、ライフスタイルを活かすために寄り添った形でサポートをしているうちに、だんだん「この部分は任せてもいいかも」となる可能性は多分にあります。
そもそもなぜ頼まないか?という背景には「任せたら自分が思うようにやってくれない」と思うから。
だから「この人なら私のやりたいことを理解して実践してくれる」と感じれば、頼られるようになるはずです。
もちろんスキル的に「頼りにならない」と思われる場合もありますが、そこは練習などでスキルを高めることで信頼を勝ち取る必要はあると思います。
「自分を頼ってくれない」と感じているケースの多くは、相手が頼りたくなるような信頼が得られていないことが多いと感じます。
人によっていろいろな方法があると思いますが、何よりもまずは信頼を得ることから!
さあ、まずはもう一度「変えたい」と思っていた妻のことを、見直してみることからはじめましょう!
熊野さん、ありがとうございました!
改めておさらいすると…
ポイント
- 抱え込んで大変そうな妻が、本当に望んでいることに目を向けてみる
- 妻のありのままを変えないでサポートできる方法を考える
- 寄り添うことで信頼をえたら、少しずつ変わってくるかもしれない
「そこまでやらなくてもいいよ」という言葉は、家に限らず、仕事でもついつい言ってしまいがち。
良かれと思っていて逆効果になってしまったら、それは本当にもったいないことなので、気をつけないといけませんね。
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