パパしるべ編集長の杉山錠士です!
2022年3月「Urban Innovation OKAZAKI」の取組の一環として、愛知県岡崎市と8月までの半年間にわたる協働事業をスタートさせたパパしるべ。
「ミッション子育て改革!パパしるべが地域の子育てを盛り上げるのです!」
締めくくりとなる第4弾は、イベントの元になったアンケートの結果と「みんなの声でつくる!おかざきこそだて会議」当日に集まった声をまとめて、中根康浩岡崎市長へ届けた報告のレポートです!
-
-
愛知県岡崎市をもっと子育てしやすい町へ!都市部とは違う岡崎市の子育て事情とは~岡崎市×パパしるべ協働事業レポート第1弾
パパしるべ編集長の杉山錠士です! 今回からパパしるべが臨んだ挑戦のレポートを、シリーズ連載としてお届けしていきます。 「ミッション子育て改革!パパしるべが地域の子育てを盛り上げるのです!」第1弾は、編 ...
-
-
まさかの急展開!準備期間約2ヵ月で子育てイベント開催へ!~岡崎市×パパしるべ協働事業レポート第2弾
パパしるべ編集長の杉山錠士です! 2022年3月「Urban Innovation OKAZAKI」の取組の一環として、愛知県岡崎市と8月までの半年間にわたる協働事業をスタートさせたパパしるべ。 前回 ...
-
-
猛暑が思わぬ効果!市民参加型子育てイベントに人は集まったのか!? ~岡崎市×パパしるべ協働事業レポート第3弾
パパしるべ編集長の杉山錠士です! 2022年3月「Urban Innovation OKAZAKI」の取組の一環として、愛知県岡崎市と8月までの半年間にわたる協働事業をスタートさせたパパしるべ。 岡崎 ...
声を聞くことで期待度は上がったかもしれない
イベントからしばらく経った7月のある日、再び岡崎市へ。
おかげさまで天気には恵まれましたが、恵まれすぎてこの日もまた猛暑(汗)。
市役所に着く頃には汗だくでした。
目的は、アンケートに加えてイベント当日に参加してくれた皆さんが、どのような声を届けてくれたのか?
またどんなことに共感していたのか?
これを中根康浩市長に報告することです。
行政の施策に100点満点はない、ほぼ不可能だと思う。
多種多様なニーズに応えるということについて、全てのニーズに応える正解は見つけにくい。
そんな中でみんなの声を聞くというのは、一人一人の皆さんが行政を我が事としてとらえていただきたいという気持ち、100点満点にはならないけれども少しでも納得を得られる答えを出せるよう、みなさんの声を聞く機会を多く設けさせてもらっている。
イベント当日もそう話してくれた中根市長ですが、こうして報告の時間を取ってくれるなんて本当に有り難い限りです。
この日もとても真剣にこちらの話に耳を傾けてくれました。
すでにイベントにはお越しいただいていたので、現場での様子に関する報告は短めに伝え、その上で来場した皆さんに聞いたイベント全体に対するアンケートの結果から伝えることとしました。
「ステージやブース」「共感シールなどを使ったワークショップ」についての満足度はいずれも高く、約9割の方に5段階で4以上の評価をいただきました。
そして、おそらく市長として最も気になるところであるコチラも報告。
子育て環境改善に対する市役所への期待度
市役所や行政の子育てに関する取組に期待できると感じていますか?
- 期待できる 男性6.7% 女性4.0%
- やや期待できる 男性26.5% 女性35.4%
- あまり期待できない 男性36.3% 女性36.4%
- 期待できない 男性12.6% 女性11.6%
- わからない 男性17.9% 女性12.6%
「期待できる」「やや期待できる」を合わせても、男女ともに3~4割だったのです。
会場に足を運んでくれたということを考えれば、この中でも前向きな回答をしてくれるような方が多かったということも考えられますが、それでも8割の支持を得られたことはとてもうれしいことです。
皆さんの声を聞こうという市長も含めた我々の姿勢が、少しは伝わったのではないかと感じました。
共感や意見が多かった「育休退園」と「遊び場環境の改善」
今回、ホールには事前にアンケートで集めた声から約60個をピックアップして掲示。
来場者に共感シールや意見を貼ってもらいましたが、どのような声が特に多かったのかをまとめたところ、このような傾向がありました。
- 「お母さんのケア・託児に関する要望」として、一時保育を含めた「託児」や「母親のケア」に関して共感が多く見られました。
- 「保育園・幼稚園に関する要望」として、「育休退園」や「求職中の保育」、「給食の質向上」「オムツ関連」についての共感、及び意見が多く見られました。
- 「遊び場・イベントに関する要望」として、「室内遊び場」や「公園の美化(トイレを含む)」についての意見が多く見られました。
中でも特に多かったのが、子ども(3歳未満)が保育園に入っていても、次子が産まれて育休に入ると退園することとなる「育休退園」についてのもの。
「岡崎市の遊び場の拡充」、とりわけ天候を気にしないで遊べる施設についてのものでした。
いずれもトークセッションでも話題に挙がったこちらについて、改めて市長の思いを聞きました。
育休退園については長年の課題だと考えています。
ただ、育休退園の措置をすぐにやめてしまうと、その分待機児童が増えてしまうのが現状です。
根本的な解決をするためには、まずは受け皿となる保育施設を増やすことが大切なので、市内の幼稚園に対して、保育の機能もあるこども園になってもらうように働きかけを続けていきます。
また公園の整備についてもまた長きにわたる課題であり、岡崎の中央東西南北で作りたいと思っています。
中央でいえば太陽の城跡地活用、南部は南公園の室内遊戯施設など、すでに動き出しているところもあり、数年以内には実現できるよう考えている。
さまざまな声が届く中で、他に市長が印象的だったと挙げたのはオムツに関するもの。
オムツに対して、ここまで声が多かったのは予想以上でした。
みんな苦労していることがよく分かった。
保育園でのオムツの廃棄問題や、オムツのサブスクや無償化など、他の自治体も積極的に取り組んでいる課題だけに、市長としても検討の必要性を感じていました。
共感や意見が少なかった「男性育休」
この2022年度は改正育児・介護休業法が施行され、世の中的には男性の育休に関する注目が集まっています。
ところが、今回のイベントでは男性の育休に関する共感や意見はそれほど多くはなかったことが、ひとつの傾向として挙げられます。
とはいえ、岡崎市の方がそこに興味がないかというとそうではありません。
実際に、事前に取ったアンケートではこのような結果になっていました。
男性も育休を取った方がいいか?
男女ともに約85%が前向きな回答で、半数は「とても思う」とかなり積極的な回答でした。
男性に対してのみ聞いた「育休を取りたいか?」という質問に関しても「とてもとりたい」「ややとりたい」が合わせて8割以上。
この数値は全国値とほぼ変わりありません。
ただ、ここまで積極的な姿勢でありながら反応は少なく、かつフリーコメントには「どうせ取ったところで気が向いたときしかしない」「今のところ期待できないし、ワンオペになる未来しか見えない」といった女性からの辛辣な意見や、「育休は理想論であり、実際は無理」といった男性の声もチラホラ見受けられたこともまた事実です。
この男性育休に対して、市長はどのように考えているのでしょうか?
こういうご時世で、やはりお金の不安が広がっているので、取得を躊躇する気持ちはわかるし、仕方ないところもあると思う。
ただ、実際は社会保険料の免除や非課税になることなどでイメージよりはカバーできるところがあって、そういう正確に伝わっていない部分もあるように感じます。
これはもっとわかりやすく、しっかりと伝える施策をしていかないといけないかもしれませんね。
前向きな人が多いものの取得者が少ないという現状は、日本中の課題になっています。
制度が変わったこのタイミングでぜひ一歩進んで欲しいところです。
また、イベントではアンケートから抽出した声に対するものだけでなく自由に意見や悩み、愚痴などを書き込めるボードを用意したところ、本当に様々な声が届きました。
こういった様々な声を見た市長は、こんなことを話してくれました。
生活スタイルが多様化している中で悩みも多様化してきました。
市としては子育てに限らずいろいろな施策を考えて、ある程度は対応している部分もあるとは思うけど、それを伝え切れていないことも課題だと思います。
よかったらぜひ一度、市役所などに問い合わせをしてほしいとは思います。
こちらとして紹介できることもあるかもしれないし、市民のリアルなニーズや今の制度とのギャップを知るきっかけにもなると考えています。
ただ、現状は問い合わせもしにくいところがあるという声もあります。
みんな気軽に聞いていいんだということを伝えることや、LINEの活用も含め、やりとりがしやすくなるツールを使うことも進めていきたいと思います。
男性育休のことだけでなく、「伝える」ということはとても大事な側面です。
いくら頑張って作った制度などがあったとしても利用する側に届いていなければ、ただただもったいないことになってしまいますよね。
約30分にわたる報告をじっくりと聞いて、市長はこれからについて力強く語ってくれました。
声を聞くということは、とても難しいこと。
セミナーや講演会を行ってそれだけでやりました、という実績として謳うケースもありますが、声を聞いた場合には、それを聞きっぱなしにしてはいけません。
LINEやメールの返信をしないで怒られてしまうのと同じです。
でも話を聞かないと何も始まらないので、これからもできる限り前向きに聞いていこうと思います。
着手できるところからはじめて、ひとつずつでも前に進みたいですよね。
そして、そういう取組は継続していくことが大切。
今後も変わっていく環境やニーズを知るためにも一回やるだけではいけないと思います。
パパしるべの母体であるファザーリング・ジャパンでは、これまで様々な自治体の取組に参加してきましたが、ここまで市民の声を積極的に聞こうとしている自治体は多くはありませんでした。
こういった姿勢が今後も続いた結果、少しずつの変化が大きな変化になっていくことを、我々も引き続き応援していきたいと思います。
最後に編集長が印象に残ったイベントでのやりとりをひとつ。
事前アンケートに寄せられた「もっと気軽に預けられるところがほしい」という女性からの要望。
こちらに対して「事前申請が必要ですが、リフレッシュ目的に一時預かり保育が利用できます」と市役所の担当が回答。
すると、さらに「1,2ヶ月以上前に申請して月1回。これのどこが『利用できる』ですか?不便すぎ」と来場者のコメントが書かれていたのです。
これぞまさに今回のイベントの真骨頂だと思います。
ニーズと制度のギャップに気づくきっかけになるものであり、また、一人の市民のダイレクトな言葉が直接市長にまで届いたということです。
30分程度の報告では、全てを伝えきったとは思っていませんし、我々が伝えきることは難しいところ。
でも、確実に届けることができる、聞く姿勢があることはわかっていただけたと思うので、皆さんも声をあげ続けてもらえたらと思います。
さて!最後に岡崎市民の皆さんにパパしるべからのプレゼントともいうべく施策が残っています!
次回、ラストは岡崎市の遊び場マップをお届けします!