子育て中に起こる子どものケガや病気。
すぐにできる応急処置の方法や、病院に行くべきかどうかの目安が知りたいものです。
パパしるべでは、この度東京・神奈川近辺で夜間・休日の往診サービスを展開する「HOMEドクター」とコラボ。
子育て中に起こることが多い、病気やケガについて現役ドクターによる解説をお届けするシリーズ企画「教えて!HOMEドクター 自宅でできる子どもの応急処置」がスタートします。
今回は、「子どもがよくかかる感染症にかかったらどうしたらいいか?」。
特に注意してほしいノロウィルスにかかった時の自宅での対処法について、HOMEドクターのアドバイザー杉本啓一先生に伺いました!
子どもが感染症になったら、まず自分の身を守ろう!
春になってもまだまだ油断できない感染症
子どもの急な体調不良は本当に困るものです。
とはいえ、子どもだってもちろんわざと感染しているわけではないですし、何より一番辛いのは子ども自身。
しっかりと対応していきましょう。
感染症には様々な種類があって、予防接種があるものもあればないものもあります。
季節ごとに流行がありますが、中でも冬は感染症が流行しやすい季節です。
春が近づき一般的には流行がおさまってくるタイミングではありますが、4月から保育園に入るという子どもも多い時期。
たくさんの子どもたちと関わることでもらってきてしまうケースもよく聞くので、春だから安心とも言い切れません。
特に注意してほしいノロウイルス
この時期に流行が起こることが多い感染症としては、インフルエンザや溶連菌感染症、そしてノロウイルスやロタウイルスによる感染性胃腸炎などが代表的です。
これらの感染症はいずれも発熱を伴うことが多いのですが、ノロウイルスやロタウイルスによる胃腸炎は下痢や嘔吐を伴うのが特徴です。
これはパパやママが処理をしないといけないものですから、注意しなければいけないポイントになります。
しかも、ノロウイルスやロタウイルスは特に感染力が強い。
ロタウイルスは基本的に3歳未満の乳幼児が中心ですが、ノロウイルスは大人にもうつるのが怖いところ。
家族全員に感染が広がったというケースも。
パパやママが感染してしまうと、看病がままならない状況になってしまうので、自分たちにうつらないように気を付けることはとても重要です。
おおざっぱパパは特に注意!ノロウィルスの処理は念入りに
ポイント1:密室での空気感染に要注意!
インフルエンザや溶連菌感染症は、飛沫感染や接触感染が主な感染経路になります。
一方、ノロウイルスやロタウイルスは、飛沫、接触よりも空気感染に気をつけないといけません。
感染を媒介するのはウイルスを含んだ便や吐しゃ物。
まさにパパやママが処理をしなければいけないものです。
乳幼児であればオムツ替えの必要があるので、より感染の恐れが高まるとも言えます。
なので、とにかくこれらの処理を丁寧にすることが重要です。
まず、オムツの場合、便をしたらすぐに交換すること。
この時、手袋やマスクは必ずしてください。
そして、できればオムツは毎回、部屋の外に移動させるようにしてください。
一戸建てであれば外のゴミ箱、マンションなどであればベランダなど。
使用する袋は、密閉できるジップロックなどが理想ですが、たびたび使うとなるともったいないですし、スーパーのレジ袋などでも部屋の外に出せれば十分です。
便や吐いたものが手についてしまったら、とにかく早く洗う。
また、布団や衣服についてしまった場合は、ハイターなど次亜塩素酸ナトリウムが含まれている塩素系漂白剤を薄めて使用してください。
希釈の目安は50倍から100倍程度です。
ポイント2:パパの出番!消毒用スプレーのスタンバイ!
感染性胃腸炎になったら、すぐにハイターなどを薄めた消毒液を作って、使いやすいスプレーボトルなどにいれたものを用意しましょう!
自分たちにうつることを予防するためにも大切なものです。
ただし、作り置きできるものではないので、常備することができません。
ハイターなどの漂白剤は家にあることが多いので、いざというときのために、スプレーボトルをいくつか買っておいたり、マスクや手袋などとセットにしておくことをオススメします。
ポイント3:嘔吐物や排泄物の拭き残しに注意!
処理するとき、手や衣服につかないようにすることはできたとしてもまだ安心はできません。
入念にチェックしてほしいのが拭き残しです。
もしも部屋のどこかに飛び散ったものが残っていたりすると、それが乾燥して部屋の中にウイルスを含む小粒子が舞い上がり、それが口などに入って空気感染してしまいます。
そして、だからこそ乾燥している冬に感染が広がりやすいというわけです。
処理したものを部屋の外に出すのもそれを防ぐため。
回数が多いからといって、いったん家のゴミ箱に入れておいて、あとからまとめて処理をするということは避けましょう。
ノロウィルスの大敵は脱水症状!
ポイント4:水分摂取はジュース、アイスでもOK
子どもが病気になった時に注意が必要なのが脱水を防ぐこと。
下痢や嘔吐は水分が出ていってしまうものなので、特に気をつけなければいけません。
乳幼児であればミルクでもいいですし、ジュースでも、アイスでも構いません。
子どもが水分を摂ることを最優先にしてください。
基本的に発熱、下痢、嘔吐の症状がみられたら、まずかかりつけの小児科にかかるようにしてほしいですが、特に水分補給ができない場合は点滴をしなければいけないので、できるだけ早く対応しましょう。
月齢や年齢にもよりますが、吐き気止めなどの薬を使うことも脱水しないためには有効です。
とにかく水分補給すること、そして感染を家族に広げないように便や吐いたものは、迅速に丁寧に処理することを心がけてください。
ポイント5:パパの活躍ポイント!この先3日のスクランブル対応を決定せよ!
ノロウイルスなら長くても2、3日。
ロタウイルスはもう少し長くなるかもしれませんが、登校や登園できるようになるまで1週間続くことはほとんどないと思います。
共働きであれば、それぞれ仕事を休むなど調整するのが大変だと思いますが、その時のそれぞれの仕事の状況を踏まえて、おおむね1週間の看病期間スケジュールは負担が偏らないようにローテーションを組みましょう。
また、睡眠時間を確保するなど親自身も体調を崩さない工夫をしないと、疲労で免疫力が低下します。
夫婦で互いの健康にも気遣いを忘れないようにすると、結果、スムーズに乗り切ることができると思います。
平日の日中など病院があいている時間ならまだしも、子どもは夜や休日に突然体調を崩すこともよくあります。
「HOMEドクター」は東京・神奈川近辺で夜間・休日の往診サービスを展開しているので、気になった方はHPをチェックしてみてください!
【杉本啓一】
平成9年昭和大学医学部卒業。
勤務医として活動した後、平成17年に独立。
独立後より在宅医療を開始し、小児~お年寄りまで診療。
現在は在宅医療の他に神奈川県横浜市に2院、東京都豊島区に1院の合計3院の医療法人社団あおい会の理事長も務める。
HOMEドクターのアドバイザーも務める。