わが子を見ていて「どうしてこんなことができないの?」と、周りの子と比べてイライラすることはありませんか?
つい叱ってしまう自分にもモヤモヤして、「どう接すればいいの?」と悩んでいる方も多いはず。
今回は、自分の子どもに対して「どんくさいな」と感じ、将来に不安を感じて悩むパパからのご相談です。
親ができる心構えや、アドラー心理学に基づいた前向きな向き合い方を解説します。
“どんくさい”と感じるのは“できないこと”に注目するから
保育園に通う息子は、周りの子と比べていつもモタモタしていて、どんくさいです。
要領も良くないし、運動も苦手だし、こんな感じでこれから大丈夫かと不安になってついつい強い言葉を言ってしまいます。
良くないとはわかっているのですが、どう向き合っていったらいいか知りたいです。
保育参観や授業参観でわが子の姿を見たときに、ついつい周りのこと比べてしまう気持ちには共感できる人が多いと思います。
特に、自身が子どもの頃から“できる子”だったりするとなおさらかもしれません。
とはいえ、その関係性はちょっと改善が必要だと感じるので、向き合い方について考えていきましょう。
まず変わるべきは親である自分
まず、大前提として人を変えるのはとても難しいことです。
それは相手が大人でも子どもでも変わりません。
例えば、今回の件でいえば、あなたが息子さんに強い言葉をかけたところで、その期待通りに動くことはほとんどありません。
だから困っているんだと思います。
だとすれば、あなた自身が変わる必要があるでしょう。
親と子どもは違います
言われなくてもわかっていると思いますが、人は誰でもいきなりなんでもできるわけではありません。
できないことを練習してできるようになる。あなた自身もそうだったはずです。
ただ、そのできるまでのスピードが人それぞれ違います。
あなたの息子さんはちょっと時間がかかるタイプなんだと思いますが、どうでしょうか?
親としては、もっと早くできるようになってほしいと望みがちですが、その望み通りにならないことは当たり前。
「自分はできたのに!」と思うかもしれませんが、そもそもあなたと息子さんは違う人間なので、過度な期待をかけることは決していいことではありません。
なぜなら、過度な期待に応えられずにダメ出しをされ続けることが、その子のやる気を失わせてしまうからです。
あなた自身にも苦手なことがあると思いますが、その苦手な部分を妻や仕事の上司などから指摘され続けたらどうでしょうか?きっと、やる気はなくなってしまいますよね。
人はできないことばかりに注目されると、挑戦することができなくなってしまうのです。
息子さんの将来を案ずるのであれば、それでいいでしょうか?
子どもが頑張る姿に注目し認めてあげよう
アドラーが考える子育てで大切なこと
アドラーは子育てにおいて大切なことについてこう言っています。
アドラー心理学のポイント
「愛され、認められた経験が、子どもに人と支え合いながら生きる力を与える」
人は仲間とともに協力し、貢献しあうことで、幸せを感じ、前向きに生きていくことができるという「共同体感覚」はアドラー心理学の特徴的な考え方です。
できないことに注目され、ダメ出しばかりを受けて育つと、やる気も失いますし、周りを信頼することもできなくなってしまいます。
人と支え合いながら生きるためには、それではいけないですよね。
であれば、ただ「ダメ出し」をやめればいいのか?というと、そうではありません。
言葉でダメ出しをしなくても、心の中では「どんくさいな」と思っていたら、それは見透かされてしまいます。
心から認めていくことが必要です。
そのためには、ちょっと息子さんへの向き合い方を変える必要があると思います。
どんくさくても頑張る過程に注目しよう
確かに、息子さんが何かをやろうとしてうまくいかないと「どんくさい」と感じるかもしれません。
でも、そのやろうとしたことに一生懸命だったり、いろいろ工夫したりしていたのであれば、そっちに注目して「頑張ったね」と言ってあげられると思いませんか?
大切なのは結果ではなく、過程。
自分と違う人間と力を合わせていくためには、互いに認め合うことはとても大切ですよね。
わが子にそういう人になってほしいと思うなら、まずはあなたから過程を認められる人になってみてはどうでしょうか?
子どもの才能はいつ、どこで、どう開花するか?誰もわかりません。
今はできなくても、その頑張りを認めて応援していくことができたら、あなたが「どんくさい」と思っている息子さんも、いつかいろいろなことができるようになるかもしれません。
子どもの価値は「できる」「できない」で変わりません。
仕事であれば「業績」、勉強であれば「点数」で評価できますが、人間そのものの存在価値はそうではありませんよね。
もしもあなた自身が息子から「パパはこれができるからすごい」「パパはあれができないからダメ」と評価されていたらどうでしょうか?
親として、ありのままの息子を見守っていってあげてほしいと思います。
熊野さん、ありがとうございました!
改めておさらいすると…
ポイント
- 過度な期待をして「ダメ出し」をすることは子どものやる気を失わせてしまう
- 結果ではなく過程に注目。頑張っていることを認めることが大切
- 子どもの価値は「できる」「できない」で変わらない
自分が子どもの頃の記憶は美化されがちだそうです。
「自分はこのくらいできた」と思っているかもしれませんが、もしかしたら実際はそんなにスムーズじゃなかった可能性も大いにあるのです。
そんなことも頭の片隅に置きながら、ありのままのわが子に注目していきましょう。
著書のご紹介
また、熊野さんのアドラー式コミュニケーションの講座では、家庭はもちろん仕事でも使えるコミュニケーションのコツを学ぶことができます。
「子育てが思い通りにいかない」「仲良くしたいのに夫婦関係がギクシャクしてしまう」「職場の人間関係がうまくいかない」など、悩みを抱える方は自分で解決できるためのコミュニケーション術を学びます。
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