「周りの子はもうできているのに、うちの子はまだ…」そんな不安を抱いたことはありませんか?
言葉や動作の発達が遅れているように見えると、「発達障害では?」と心配になるのも自然なこと。
特にここ数年で急速に「発達障害」という言葉を聞くようになり、子育て世代にとってはひとつの心配事になっています。
でも、発達のスピードは人それぞれ。
今回はアドラー心理学の視点から、わが子の発達にどう向き合えばいいのか、そして家庭でできる支援や声かけの工夫について考えていきます。
発達は人それぞれ。完璧な人間はいない
保育園に通う2歳の息子のことで相談です。
周りの子はどんどんおしゃべりが上手になっていく中、うちの子はまだほとんどおしゃべりができません。
とても心配です。
やはり、最近よく聞く「発達障害」の検査などを受けに行った方がいいでしょうか?
「発達障害」という言葉が聞かれるようになって、認知も広がりました。
だからこそ不安に感じる人も多いと思います。
今回はそんな時にどう向き合っていくか、心構えについて考えていきましょう。
「発達障害」の検査に行った方が良いのか?
まず、質問にある「検査に行くかどうか」についてお話ししましょう。
「発達障害」という言葉が広がった背景には、まさに「検査」に行く人が増えた、ということがあるでしょう。
様々な病は、診断方法や判断基準が決まって診断されるようになると一気に患者数が増えるものです。
それは単純に患者数が増えたのではなく、今まで診断されていなかった人が表に出てきただけという見方もあります。
本当のところは調べることができませんが、「発達障害」についても同じことが言えると考えられます。
検査に行って診断されると、それまで漠然とした悩みだったものがクリアになる部分があるので、少し気持ちが落ち着くという人もいると思います。
一方で、人によっては「違うと言ってほしい」と思っていたけど、それが叶わずに落ち込む場合もあると思います。
そこは、夫婦の性格やキャラクターによるものなので、踏まえて考えてみてほしいです。
ただ、もし検査に行く場合に覚えておいてほしいことは「どんな結果が出たところで我が子の価値は変わらない」ということ。
もし発達障害と診断されてもされなくてもその子はその子。
診断結果はあくまでひとつの目安だと捉えてほしいと思います。
みんな何かの発達が未熟かもしれない
「世の中に完璧な人間はいない」と言いますが、実際にパパもママも苦手なことがあると思います。
そして、基本的にはそれを「個性」と捉えることが多いはずですが、もしかしたらそれは、何かの発達が未熟なのかもしれません。
多くの人は自分にはできることが周りの人もできて当たり前だと考えがちです。
だからこそ、できない人に向かって「なんでできないの?」と言ってしまうことがありますが、それはあくまで「できる人の尺度」での話。
言われた方はなんでできないかなんてわかりませんし、「できないのは良くないこと」と捉えてしまうこともあるでしょう。
それは本当に「良くない」のでしょうか?
そんなことないですよね。
誰しも苦手なことがある以上、良い悪いではないはずです。
アドラー心理学では「ありのまま」でいることが大切だと考えます。
もし何かができなくてもその「ありのまま」を認めることこそが、そのあとどうしていくかに繋がっていくと思います。
発達の遅れを心配する前に、子どもを信じて待つことが必要
できている当たり前に注目する
成長や発達についてアドラーはこんな言葉を残しています。
アドラー心理学のポイント
「人は誰でも成長(優越)を求める。その実現には勇気と自信が必要だ」
アドラー心理学で「優越」は「成長したい気持ち」を意味します。
成長の道のりは長く、時には失敗もあります。
その過程で「なんでできないの?」と叱ったり、兄弟や友達など周りの人と結果を比べたりすると、その子の勇気をくじき、挑戦する気持ちをそいでしまうことになりかねません。
先ほども伝えたように「ありのまま」を認めるのであれば、まずは周りと比べることをやめて、その子のペースを尊重していくことを考えてみましょう。
具体的には、親としては言葉や態度で「あなたが成長できると信じている」と伝えていくことが大切です。
できない部分ではなくできている当たり前に目を向けて、「よく頑張っているね」とか「続けているのはいいと思うよ」といった声をかけることもいいと思います。
目指すのは毎日自己ベスト更新。
他の誰かとの比較ではなく、その子の成長に目を向けてみてください。
もちろん更新できない日があってもそれはそれでOKです。
親が「待つ」ために必要なこと
ただ、その子のペースを尊重するのって本当に難しいことです。
時間がない中では、「早くやって」とも言いたくなりますし、できないことにイライラしてしまうこともあるでしょう。
理想を言えば、時間がかかったとしても「大丈夫だよ」「まだ間に合うよ」「ゆっくりやってごらん」と言いたいところですよね。
親としてそれを実現したいのであれば、それはもう時間と心に余裕を持つことが超重要です。
子どものことばかりに目を向けているとそこは後回しにしがち。
どんなことをしてあげたらいいのか?どうやって促したらいいのか?と改善方法ばかりを考えてしまいますが、まずはパパママが余裕を持って、イライラせずに受け止められる土台作りがもっとも大切なんだと思います。
おそらく、すでに仕事も家事も効率化していると思いますが、今一度どうしたら時間が作れるかを夫婦で協力して見直してみてほしいです。
例えば10分早く起きるといったわずかな努力や、毎日やっていた掃除を2日に1回にするなどハードルを下げることなど、本当に小さいことの積み重ねにはなると思いますが、今より少しでも余裕を作れることはやってみましょう。
子育てをしていると、心配や不安になることがたくさんあって、それが長く続きます。
しかし親が余裕を持って対応できるように整えておくことは、あらゆる問題の解決に必要になっていくと思うので、まずはそこを見直してみてください!
熊野さん、ありがとうございました!
改めておさらいすると…
ポイント
- 成長のスピードや得意不得意は人それぞれ。「ありのまま」を認める
- 人と比べないで、その子のペースで成長できると信じる
- ペースを尊重するために心と時間の余裕を生み出す努力をしてみる
頭でわかっていても、わが子のこととなると不安や心配は大きくなってしまうものです。
ただ、長く付き合うわが子のことだからこそ、信じて待てることを目指していきましょう!
著書のご紹介
また、熊野さんのアドラー式コミュニケーションの講座では、家庭はもちろん仕事でも使えるコミュニケーションのコツを学ぶことができます。
「子育てが思い通りにいかない」「仲良くしたいのに夫婦関係がギクシャクしてしまう」「職場の人間関係がうまくいかない」など、悩みを抱える方は自分で解決できるためのコミュニケーション術を学びます。
こちらも気になった方はぜひチェックしてみてください!
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