幸せがわからない…“順調なのに満たされない理由”をアドラー心理学が解き明かす

最近は“幸せ”やウェルビーイングという言葉をよく耳にしますが、

実際には「幸せがわからない」「本当に幸せなのか不安」という人も少なくありません。

今回は、仕事も家庭も順調なのに幸せを感じられないパパの悩みに、アドラー心理学の専門家が回答。

他人の物差しではなく“自分で幸せを決める”ための考え方や、日常でできる幸せの見つけ方をお伝えします。

幸せは誰かが決めるものではない

質問者

結婚して、子どもにも恵まれ、仕事も比較的順調な人生を送っていると思います。

周りからは幸せそうでうらやましいと言われ、これといって不満があるわけではないのですが、一方で本当に自分は幸せなのか?と考えるとよくわからないのです。

これっておかしいでしょうか?

幸せとは何か?とても哲学的で深い問いのように感じます。

誰しも一度は考えるけど、なかなか答えにたどり着けない難問かもしれませんが、一緒に考えていきましょう。

幸せは追うと見失う

一般的には、経済的に恵まれていることや、パートナーや子どもがいること、住宅環境が整っていることなど、いわゆる豊かな生活を送ることができている人を幸せだと考える人も多いと思います。

確かにそういう人の多くが幸せを感じているかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。

まさに今のあなた自身がそうなのかもしれません。

他人や世間の価値観や目に見えるもので幸せを計ることは、実は結構難しいものなんだと思います。

一方で、周りから見れば決して恵まれているようには見えない環境にいても「幸せだ」と感じている人もたくさんいます。

この違いは何なのでしょうか?

「幸せは感じるもの」と言われることも多いですが、少なくとも「これって幸せなのかな?」という疑問を持つ時点で、幸せを感じることができていないように感じます。

幸せは決めるもの

アドラー心理学では、人間は過去や環境に縛られるのではなく、未来をどう生きるか自分で選ぶ力を持っていると考え、それを「自己決定論」と言います。

アドラーはこんな言葉を残しています。

アドラー心理学のポイント

「人は、自分の人生を描く画家だ。あなたの絵はあなたにしか表現できない」

つまり「人生は自分で決め、自分の手で作るもの」と語っているのです。

そう考えると、幸せもまた、自分で決めていいということです。

  • 自分はどうありたいか?
  • 自分はどういう状態になったら心地よいか?

まずは自分の心の声に耳を傾けてみましょう。例えばそれは、

  • お金持ちになりたい
  • おいしいものを食べたい
  • 愛する人と楽しい時間を過ごしたい

といったことで構いません。

大切なのは自分軸を持つこと。

自らが考えて決め、そこに向かって進むことが幸せの第一歩です。

もしかしたらあなた自身は、どうなりたいかをあまり考えないまま、流れに身を任せて今の状態にたどり着いたのかもしれません。

だからこそ、幸せを見失ってしまったようにも感じます。

ただ、願った通りお金持ちになったとして、その時にあまり幸せだと感じないこともあるかもしれません。

そんな時は、決して憂う必要はありません。

また別のありたい姿を描いて上書きすればいいのです。

幸せになる練習をしてみよう

小さな決定を積み重ねる

いきなり大きな目標を描いてしまうと、簡単にたどり着くことができないので、なかなか幸せを感じられないと思います。

だったらまずは日常にある小さいことから自分で決めて動く練習をすればいいのです。

  • 何を食べる
  • 何時に寝る
  • どの動画を見る

そんなことで構いません。

自分で決めて、それに向かって動くということこそ、まさに自分で自分の人生の絵を描くことです。

「あーおいしかった!」「あーよく寝た!」「あー面白かった!」など小さくてもひとつひとつを叶えることで、きっと手ごたえが感じられる瞬間がやってくると思います。

“何かを望むこと”は“叶えて満たされること=幸せ”を実現するわかりやすい方法なんです。

当たり前をもう一度見直す

小さな幸せを感じられるようになったら、今あるものにもう一度目を向けてみてほしいと思います。

家族、友達、家、仕事、収入など、今のあなたにとっては当たり前の存在かもしれません。

でも、改めて自分はこうありたいと考えてそれらを見た時に、もしかしたらすでに自分の近くにあったことに気付ける可能性も十分にあると思います。

自分にないものに目を向ける前に、あるものに注目する方が建設的でしょう。

自分で決めて、自分で行動することで、その瞬間からあなたの人生は自分らしく描くことができます。

そして、そうなれば人と比べることなく、自分の幸せに気づくことができるようになって、幸せに疑問を抱くことも減ってくるように感じます。

幸せは感じるものであると同時に、気づくものでもあるんだと思います。

小さな幸せを感じるところから始めて、身近にあるかもしれないたくさんの幸せに気づける人になっていってもらえたらと思います。


熊野さん、ありがとうございました!

改めておさらいすると…

ポイント

  • 幸せを他人のものさしで決めるのではなく、自分で決める
  • 日常的に自分で決めて動くことで、小さな幸せを感じる練習をする
  • 改めて、自分の周りの当たり前を見直して、幸せに気づく

幸せそうな人って近くにいるだけで周りにも幸せが広がっていくような気がします。

自分で決めて幸せになって、どんどん周りを幸せにしていってほしいと思います。

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