子どもが不登校に…親の対応で迷ったときに知っておきたい「信頼」と「応援」

年々増え続け、社会問題にもなっている不登校。

わが子が学校に行かなくなったとき、親はどう対応すればいいのでしょうか。

今回は、不登校の支援活動やフリースクール「ビリーバーズ広尾」の運営経験もある、アドラー式子育ての熊野英一さんがアドバイス。

不登校の子を否定せず、親ができることを整理し、信頼して応援する関わり方を考えます。

不登校の子はダメじゃない｜親の対応はまず受け止める

社会問題にもなっている子どもの不登校ですが、確かに年々増えていて今や35万人を超えているというデータもあります。

不登校の定義に当てはまらないが、休みがちな子も含めると100万人を超えるレベルともいわれる中で、親としての接し方はどうしたらいいのか？

私がフリースクールを運営してきた経験も踏まえて、一緒に考えていきましょう。

不登校は「勇気ある決断」と捉える

小学生ともなれば、少なくとも学校に行くことが“普通”という感覚は確実にあると思います。

もちろん“普通”という表現があっているかは別として、多くの人がやっていることで、やるべきことと感じているはずです。

原因はいろいろあると思いますが、そんな中で「自分は行かない」という決断をするのは、なかなか難しいことであり、勇気ある決断とも捉えられると思います。

大人でも難しい自分で決めるという力や勇気は、認めてもいいことでしょう。

これだけ多くの子どもが学校へ行かないことを選び、先生の中にも学校に行くことを避けるケースも増えているという状況を踏まえると、戦後から整えられてきた学校教育のシステムは、時代の変化の中でなかなか難しいものになっているのかもしれません。

そんな違和感にいち早く気づいた不登校の子どもたちは、もしかしたら敏感で繊細な感覚を持っているのかもしれません。

義務教育の本当の意味

質問を見ると、無理に学校に行かせようとはしていないようですが、不登校に関してよく聞くのは、親がなんとか行かせようとして、親子の関係が悪くなってしまうというケースです。

特に学校に行くことがマストだと思ってきた親にとっては、学校に行かないわが子の将来に不安を感じるのは仕方ないことかもしれません。

ただ、時代は変わっています。

今は厚生労働省も「無理に学校に行かせようとしなくていい」という方針で、フリースクールをはじめ学校に行く以外の選択肢も増えています。

時々、親が「義務教育なんだから行きなさい！」と子どもを責めることがあると聞きますが、これはそもそも「義務教育」という言葉の意味を勘違いしてしまっています。

つまり、子どもが学校に行かないという選択をした場合には、「親の方が学校以外のいろいろな選択肢を探して、教育を受けられる環境を整える義務がある」ということになるのです。

不登校の親ができること｜子どもを信頼して応援する対応と選択肢

不登校の背景を決めつけない

アドラーは学校についてこんな言葉を残しています。

不登校を経験していても社会で活躍している人はたくさんいます。

一方できちんと学校に通ったとして必ず活躍できているとは限りません。

考えてみれば当たり前のことですが、人の幸せは学校に行ったかどうかでは決まらないのです。

では、子どもの問題に寄り添うとはどういうことか？

まずは子どもの選択を尊重し、未来への可能性を信じることです。

アドラー心理学では「人は必ず今よりもよくなりたいと考えて行動している」と考えます。

なので、学校に行かなという選択も、子ども自身が「よくなりたい」という思いからのものだと考えられます。

詳しい理由はわからなくても、現状子どもが今の学校というスタイルに合わないと気づいた状況なのであれば、子どもの気持ちに共感し、選択に寄り添うことから始めてみてはどうでしょう。

アスリートたちが、試合後のインタビューで「皆さんの応援が力になりました」と話すのをみたことがあると思います。

頑張っていることを応援してもらえると、大人も子どもも活力を得ることができるものです。

子どもたち自身も前に進みたいと思っていることを信じて、親として応援していくことが大切だと思います。

フリースクールの実例と“子どもたちのその後”

フリースクールの運営を5年ほどしてきて、学校に行くことをいったん休んだ子どもたちを見てきました。

もちろん個人差はありますが、学校とは違ってありのままでいられる場所で過ごしているうちにいきいきした姿を取り戻す子どもがたくさんいます。

そして、その子たちは自分から次のステップに進んでいくのです。

学校に戻る子もいれば、また別の教育を受けられる環境に行く子もいます。

選択はいろいろですが、運営や親が「こうしなさい」と言わなくても、自分で選択するのです。

時には子どもたち同士で「これからどうする？」と話し合っている姿も見かけます。

子どもたちもずっと今のままでいいとは思っていないのです。

不登校が望ましいとは言いませんが、そういう選択をした子どもたちを、もう少し信じて応援してあげてもいいと思います。

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熊野さん、ありがとうございました！

改めておさらいすると…

応援は、される側だけでなく、する側も元気になれるとても素敵なことだと思います。

なかなか気持ちを整えるのは難しいと思いますが、本当に子どもを大切に思うのであれば、大変な時こそ応援してあげた方がいいのではないでしょうか？

また、熊野さんのアドラー式コミュニケーションの講座では、家庭はもちろん仕事でも使えるコミュニケーションのコツを学ぶことができます。

「子育てが思い通りにいかない」「仲良くしたいのに夫婦関係がギクシャクしてしまう」「職場の人間関係がうまくいかない」など、悩みを抱える方は自分で解決できるためのコミュニケーション術を学びます。

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